宋飛51
「こっちだよ、おっさんたち」
春と名乗った少年は、彼らの隠れ家に案内してくれるようだ。
「本当は俺たちの隠れ家って、誰にも教えない約束なんだけどね。あんたら悪い奴らじゃなさそうだし、特別だよ」
「お前らの職業柄そりゃそうだろうよ」
宋飛は正直、寄り道してまで家に招かれたかった訳ではなかったが、この辺りの土地勘がある者が多くいるならそれもいいだろうと思った。この辺りは史令が消息を絶った地点に近く、地元の民にとっても何か変わったことがあったかもしれないのだ。
そうはいっても、あまり時間を無駄にもできないので、班礼と王連は先に臨准の城郭に向かって揚州軍の手の者と潜伏の手筈を整えることにした。
そんなわけで今は、宋飛と唐平と春の3人である。
「おい、春よ。こりゃひどい獣道だな、本当にこんな先に家なんてあんのかよ?嘘だったら承知しねえぞ」
乱暴な言葉のわりには唐平は楽しそうだった。
「あともう少しだ。我慢してくれよ、おっさん。簡単に隠れ家がばれたら、俺たちあっという間に捕まっちまうだろ?しょうがないんだよ」
唐平はいつの間にか、ちゃっかりと春に商品の詰まった荷を背負わせている。
春も別に苦ではないようで、自然に受け入れているのが宋飛には少し可笑しかった。
唐平は楽しそうに春と並んで話している。
育った村では元々兄貴分だったこともあり、子供や子分の面倒見は良さそうだった。
春も、さっき逆さ吊りにされたのをもう忘れたのか唐平になついている。
やっと粗末だが家らしきものが見えてきた。
「おいおい。思ったより人数が多いな、春。お前ら何人いんだよ?」
「ここにいるのは7人だよ。でもまだいるよ。あとの3人は今は街に出稼ぎにいってるんだ。俺みたいに。」
「じゃあ泥棒じゃねえか」
「おい唐平、いいから一応辺りを見回ってこい。危険がなさそうだったらそれでいい。すぐ戻れ」
「おっと、了解です。隊長…じゃなくて宋飛殿」
宋飛が唐平を押しのけて春の前に腰を下ろした。
「さて、時間があまりない。早速お前たちに教えてほしいことがある。まずは三峰山の山賊についてだ」




