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宋飛  作者: たいてん
37/54

宋飛37

「お別れです。童順殿」


力を使い切った馬冲は、船の上に膝をついた。


慌てて部下が駆け寄ってきた。


「馬冲様も深手を負っています。あまり動かないでください」


「いい、それよりも燕広だ。童順殿は時間を稼いでいた。絶対に奴を逃すな」


ついに敵の副将二人を破り、残すは大将のみとなった。


こちらは大将の朱立が負傷しているが、旗船から次々と指示を出しているのが見えた。


どうやら命に別状はないようだ。


その時、馬冲は敵の包囲の締め付けが、ふっと弱くなったのを感じた。


主力を失い、形成を不利と見たのか、ぶつかり合いを避けるように沖に向かって移動を始める船が出始めた。


あろうことかその先頭をいくのが、大将である燕広の船であった。


「まだ戦っている味方を捨てていくのか。そこまで堕ちたか」


敵に遮られているため、すぐに燕広を追うことができない。


「くそっ、このままでは」


一旦この広い海で見失ったら、再度遭遇するのは至難である。


朱立の旗船も気づいたようだが、まだ交戦中で動きが取れない。


ふと、沖の反対側に小さな点が見えた気がした。


見るみる内に、大きな影になっていく。


大型船がとてつもない速度で、燕広の船に迫っている。


「あれは、一体」


旗が上がっている。


蘇州軍の将軍旗である。


戦場に一切姿を見せなかった趙清将軍の旗だった。

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