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宋飛35
「また会ったな、宋飛」
そこにいたのは、かつて牢城を一緒に抜け出した武逹だった。
「お前が海の中に潜んでいたのか。いや、助かった。最後の弓は際どいところだった」
「間に合ってよかったよ。こいつが海戦で脅威なのは分かっていたからな」
武逹は気を失っている扈応を縛り上げながら言った。
「それに俺の部隊は、戦闘よりもこういった撹乱が本来の任務なんだ」
「なるほど。最初の敵の拠点の火の騒ぎもお前たちの仕業か」
武逹がにやりと笑った。
「俺たちならどんなところにも忍んでいける。そして何日でも動かずじっと耐えられる。兵としては異質だが、そういうのが得意な奴らも必要だろう?」
「今回でよく分かったよ。ところで、そいつはどうするんだ?」
「この海賊団にしては比較的まともなやつだ。俺が調べた中では最も欲しい人材だな。こいつを連れて俺は一度離脱する。まだ終わったわけじゃない。気を抜くなよ、宋飛」
そう言って武逹は船で陸地に去っていった。
周りを見ると、ちょうど他の戦線も佳境に差し掛かっている。
朱立は肩をきつく縛り上げて血を止めて、すぐに宋飛を乗せて船を走らせた。
今最も激戦なのは、馬冲の一団のところだ。
馬冲が戦っているのは、燕広のもう一人の腹心、童順だった。




