宋飛33
「火事だと?」
この洞窟は数本の地上へ通じる道と、海へ出る大きな入り口がある。
中心部へ向かうと、確かに地上への道の方から煙が立ち上っているのが見えた。
「煙が厄介だ。童順、お前は燕広様を連れて船着き場から一旦海へ出ろ。私は火を食い止めるために道を塞ぐ」
「承知しました」
童順が周りに声をかけながら駆け去っていった。
「しかし、どういうことだ?」
ここは洞窟であり、火が弱点であることは重々承知していた。
だから燃えやすいものは少なく、消火できる水の流れも近くにある。
何かがおかしい。
火元に向かって扈応は駆けていった。既にかなり燃え広がっているようだ。
すると突然、目の前で火の対処にあたっていた者たちが次々と倒れた。
一瞬、扈応は何が起こったのか分からなかった。
煙に紛れて黒い影が何体か見えた。
いきなり背後から拳が飛んできた。
直前で、前に倒れ込むことで威力を殺した。
「ほう、できるやつがいるな」
急いで起き上がったが、声の主は扈応に構うことはなく、すぐ消えた。
「敵襲だ!気をつけろ!」
扈応は叫んだが、近くの味方は既に軒並み倒れていた。
「何なのだ、これは」
敵がいるとなれば、火への対処どころではない。煙に巻かれてしまう。やむをえず海への出口に走った。
扈応がたどり着いた時には、ほとんどの者たちは既に海へ出たようだった。
弓と剣を持ち、残っていた小船に乗り込んだ。
沖へ出ると、広がる光景を見て息を呑んだ。
「やられたな」
蘇州軍の船が海上一面に展開されていた。




