宋飛30
朱立は情報をまとめ、本営まで伝令を飛ばした。
「思いがけず、なかなかの男に出会ったのかな。宋飛」
「おう。戦闘の腕前だけでも、死なせるには惜しいと思うほどだった」
「それに、馬冲自身もそうだが、何よりも海賊団の拠点の情報を手に入れられたのは大きいぞ」
それこそ趙清将軍が最も必要としている情報だった。
「燕広の海賊団は今や一千を超える集団にまで膨れ上がっているという。予想以上だな」
「蘇州軍がここに投入できる兵力はせいぜい五百だ。あまりに集中させ過ぎると、他が手薄にならざるを得ないからな」
「それでやれるか?相手は倍だぞ」
「問題ないな。陸上の模擬戦では揚州軍に敗れたが、今度は俺たちの力を見せてやるさ」
宋飛が見る限り、そう楽観できる状況とは思えないが、朱立には気負ったところが微塵もなかった。
蘇州軍は、それだけ水軍に自信があるということなのか。
「奴らの拠点は、入り組んだ海岸線にある隠れた洞窟とその一帯だ。場所が場所だけに、一筋縄じゃいかないな」
「油断はしない。奴らはここ最近急に勢力を伸ばし、名が広まった海賊だ。ただの烏合の衆がここまで大きくなることはない」
「実力も伴っているということかな」
「それに、良くも悪くも、人が集まるところにはさらに人材が集まる。宋飛の隊二百と、馬冲の一団五十名にも働いてもらおう」
その数日後、五百名の蘇州水軍が到着したとの知らせを受けた。
宋飛と朱立が迎えに立つと、簡素な軍袍を着た小柄な男が船から降りてきた。
率いているのは、なんと趙清将軍であった。




