宋飛21
劉明将軍の副官である李京という将校が兵の編成に関しては手配してくれた。
「二百騎は全員が騎兵になる。だが、この隊に配属されるのは全員が新兵だ。だから将校は元々のお前の部下だった、班礼と王蓮にする形がいいだろう」
「分かった。俺は二百騎全体の動きをを見ていたいと思う」
「そうすると、二人に九十騎ずつ、お前が二十騎を率いるというのでどうだろう?」
「それでいい。頼む、副官殿」
李京は質が揃った馬と二百名分の具足を用意してくれた。
「宋飛、お前もこれで、揚州軍の兵の命を預かる隊長になる。揚州軍の真の目的のためには、遊軍の働きが欠かせない。将軍だけでなく、俺も期待しているぞ」
李京が去っていった後、班礼と王蓮と調練の仕方について話し合った。
まずは、兵に体力をつけさせること、そして馬と武器の扱い方を学ばせることだった。
全体の動きを揃えることはその次だと三人で決めた。
それからは、日が出ている間はひたすら原野や山林を駆け回らせた。
1日が終わる頃には、兵達は皆何とか立っていられる状態だった。
柄だけではなく、宋飛達も同じ調練に参加している。班礼など最初はついていくのがやっとの様子だった。
その繰り返しも数ヶ月経ち、ある程度戦に耐えられる体力がついたところで、ようやく武器を扱う調練に移った。
この頃になると、頬は削げ落ち、目が飛び出しているような兵が多くなった。賑やかだった新兵達が段々と無口になっていった。
「お前達は、いずれ揚州軍最強の部隊になる。今は、そのために死ぬ思いをしている。だが、それは戦場で死なないためだ。戦場で死なないために、ここで死ね。この軍は遊撃隊として、常に戦場を駆け回る。立ち止まってはならないのだ。誰よりも速く駆け続けなければならない。敵だけでなく、味方すらも追いつけない速さで戦場を突き進んでこそ存在意義がある。いずれ、この軍の旗を見ただけで敵は震え上がるようにするぞ」
休みのない調練に脱落する者も出ていたが、宋飛は手を緩めなかった。まだ死者は出ていないのだ。
それに、新兵だけあって、若い兵が多い。どんなに疲労していても、一晩寝ればある程度は体力も回復している。
そして、身体の力がついてくれば、癖がついていない分だけ技術面の飲み込みも早かった。
中には血気盛んな奴らもいたが、その都度全員でかからせても、宋飛や王蓮に一撃も浴びせることができなかった。
個人の武の強さなら、宋飛は元から誰にも負ける気はしなかった。
しかし、兵達と一緒に基本の調練を積み重ねることで、自分の力の更なる高まりを感じていた。
いつしか兵達も、厳しすぎる調練を恨みながらも、宋飛を隊長と認めていた。




