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宋飛  作者: たいてん
20/54

宋飛20

途中で武逹は本来の所属である諜報部隊の指揮に復帰し、林勝も故郷を目指してそれぞれ別れた。


特別な別れはしなかった。


三人とも、まるで明日もまた会うかのように笑いながら、挨拶だけ交わして旅立っていった。


それから、宋飛と史令の一行は揚州一の都である広陵へ進んだ。


城壁に近づくにつれて、段々見えてきたその高さだけでも相当な威圧感を放つのが分かる。


その内部はこれまで宋飛が見たこともないほどの人で溢れ、賑わっていた。


市場には見たこともない異国の品が並び、それらが店の後方まで堆く積み重なっていた。


また、通り過ぎる食堂からは香辛料の匂いが広がり、そこかしこに人の列ができていた。


広陵は宋飛が知っているどの町より活気があり、なぜか訳もなく心が躍った。


その中心に軍の本営はあった。


出頭すると、宋飛と史令の二人だけで練兵場の方へ回された。


中心地から離れた場所に、大きく開けた平地があった。


そこでは、ちょうど三つの部隊が入り乱れて調練を行なっている最中だった。


それぞれが、ぶつかりながら陣形を変え、地形を利用してひたすら走り回っている。


三隊で目まぐるしく動き、互いに背後を取り合っている。


どの部隊も、どれだけ動き回っても隊伍が崩れることはなく、末端まで動きが徹底されているようだった。


宋飛がひと目見ただけでそれが精強な部隊であることが分かった。


全体が見渡せる近くの小高い丘で、調練を観戦している一団がいることに宋飛は気づいた。


揚州軍の旗が上がっている。


揚州の総指揮官である劉明将軍に間違いなかった。


宋飛は近付いただけで、何か巨大なものに押しつぶされるような気を感じた。


隣にいた史令が駆け寄って直立した。


「ただいま帰還いたしました。劉明将軍」


「ご苦労だった。お前が連れてきたその男が宋飛だな」


「俺を知ってるんですか?」


なんとか声を絞り出すことができてほっとした。


「話は聞いている。史令を少人数で追い詰めた男がいるとな。なるほど、聞いていた通り、見上げるような大男だ。力も有り余っていそうだな」


「俺は揚州軍に所属することになるのですか?」


「揚州軍遊撃隊」


「は?」


「お前の仲間を含め、二百名の騎馬隊を編成せよ。そしてそれを極限まで鍛え上げろ。本隊とは別に、遊軍として迅速に動ける軽騎兵部隊が欲しい。宋飛、お前の力を見せてみろ」

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