宋飛17
史令が馬を降りたので、宋飛たちも馬を降りた。
史令が手で合図をすると、史令の部下たちはそれぞれに動き始めた。
各々の役割があらかじめ決められているのかもしれない。
すぐに斥候に出た者達の他は、まず馬に水を飲ませ、馬体の手入れを始めた。
宋飛は史令に向き直った。
「騒ぎを起こして敵を引きつけたのはあんただったのか。だが、なんで揚州軍のあんたがここにいる。しかも、他所の軍の邪魔をしたことになるぞ」
「当然、今は揚州軍といて動いているわけではない。顔を隠しているのはそのためさ。まあ、そのあたりは後々話そう。まずは、よく武逹を無事に脱獄させてくれた。俺からも礼を言う。俺たちが外から牢を破ろうとすると、どうしても不自然な痕跡が残ってしまうところだった」
「俺は少し手を貸しただけだ。おい、それより、これで約束は果たしたぞ」
「分かっている。俺が勝手に決めた約束をなのにな」
「あいつらは無事なのか?」
史令がもう一度手で合図をすると、黒ずくめの騎馬隊の後方から、数人が飛び出してきた。
顔布を外し、近づいてくる姿を見て、宋飛の視界は一気にぼやけ、涙が頬を流れ落ちた。
「お久しぶりです。班礼他十名、ただいま宋飛隊長の元に帰還しました」
「ずいぶんと減ってしまったな」
「俺は全員を故郷に帰し、解散するつもりでした。ここに残ったのは、どうしても隊長を取り返しに行くと、死んでも離れなかった奴らです」
「みんな生きていたのか」
かつての仲間の顔はそれぞれ涙で濡れていた。




