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宋飛16
宋飛、林勝、武逹の三人は夜間に闇に紛れて移動していた。
さすがに管轄区の境は警備が厳しかった。
篝が焚かれ、哨戒の兵の行き来も多い。
「あの人数に見つかったらひとたまりもないよな」
林勝が腰を屈めながら小声で言った。
「それでもここを抜いていくしかないな。機を見て行くぞ」
宋飛は斥候の馬を見ていた。
夜が白み始めた頃、近くで馬の足音が響いたと思ったら大きな騒ぎが起きた。
一斉に人がそちらに集まり始めた。
「今しかない。行こう」
一人馬に乗っている武逹が先頭で走り始めた。
こちらに気づいた兵が大声を上げた瞬間、武逹が兵の中に駆け込み、槍で突き崩して駆け回った。
近くの兵がこちらにも集まってきた。
宋飛と林勝は主人のいなくなった馬を奪い、全員で州の境に向けて疾駆した。
その時、追い縋ってくる敵に向かって凄まじい速度で黒ずくめの騎馬隊が横から突っ込んできた。
数は二百ほどで、全員顔を隠していた。
不意を突かれた敵が崩れ始め、散り散りに潰走したところで素早く反転し、三人に追いついてきた。
「また会ったな、宋飛」
覆面を取り、史令が笑いかけてきた。




