宋飛14
宋飛と林勝は、夜通し進みつづけた。村や街道を避け、人気の少ない山道を抜けていた。
さすがに林勝は体力の限界が近くなり、日が中天に差しかかる前に一度休憩をとった。
林勝を休ませている間、宋飛は山に入り、兎を飛礫で取ってきた。
「もうすぐ泗州を出て揚州に入る。安全だという拠点は揚州に入ってすぐだ。」
兎の皮を剥ぎ、枝に刺して焚き火にかざしながら宋飛が言った。
「なかなか来ないな。武逹のやつ。少しここで待ってみるか?宋飛」
「いや、心配ないだろう。武逹は相当強い。まともにやり合ったら俺は負けるだろうな」
「そんなに体力があって、力もあるのにか」
「向こうはそういうんじゃなくて、たぶん技だろうな。武術というやつかな」
宋飛は横になり、ほんの少しだけ眠った。
二人で兎を食い、さらに数日ほとんど休まず山道を進んだ。
こういう山は賊徒の縄張りになっていることが多い。
余計な騒ぎを起こさないように慎重に進んだ。
しばらくすると、不揃いな格好の男たちが道を塞いだ。
「なんでも牢城から脱獄した三人組がいるらしい。州の軍は懸賞金をかけてそいつらを探しているぜ。お前ら、なんでわざわざこんな道を通ってるんだ?」
数を当てにしているのか、にやにやしながら頭目と思われる男が言った。
どうやら少し前から見張られていたようだ。
「私たちは旅の途中です。そこを通らせてください」
宋飛が言った。
「通さねえとは言ってない。とりあえず出すものを出しな」
「今は持ち合わせがないのです」
「ますます怪しいな。おい、捕えて軍に引き渡せ」
男たちが武器を持って囲むように近づいてきた。
一人でも生かしておくと後々面倒になる。
だが、林勝はもう戦う体力は残っていないだろう。
自分もさすがに疲れが見えてきていた。
その時、あるものがふと宋飛の目にとまった。
一呼吸置いて、いきなり宋飛は賊徒の中に飛び込んだ。
一人を勢いのまま殴り飛ばし、剣を奪った。
そのまま剣で切り捨て、次から次へと切り結んだ。
もうあまり余力はない。限界まで剣を振るつもりだった。
賊徒が集まり宋飛を囲み、離れた林勝にも飛びかかろうとした瞬間、後方から馬に乗った武逹が途轍もない速度で突っ込んできた。
槍で次々と敵を蹴散らし、固まっている賊徒を跳ね上げていく。
「待たせたな!二人とも無事か!」




