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宋飛  作者: たいてん
13/54

宋飛13

三人が走っていると、馬蹄が遠くから聞こえてくる。


宋飛の予想よりも大分早かった。


逃げた方向はまだ掴まれてはいないはずだが、見つかるのは時間の問題だろう。


「追って来ているな、どうする?」


林勝が息を切らせて聞いてきた。


「この雪だ。当てがなく手探りで走り回っているだけだ。もし追いつかれても少数だ。俺がなんとかしよう」


武逹はまだ汗もかいておらず、大分余力を残しているように見えた。


「東の拠点まで地図は頭に入っているな?宋飛」


「問題ない。しかしお前」


「心配ない。すぐに追いつく。先に行っててくれ」


そういうと、おもむろに武逹が二人に向かって頭を下げた。


「ありがとう。お前たちの協力のおかげでここまでこれた。十分だ。あとは任せてくれ」


岩肌の狭い隘路を抜けたところで、武逹は残り、二人は先に進んだ。


「大丈夫かよ、あいつ一人で」


「とにかく行くしかない。それに、武逹の身のこなしを見て分かった。あいつは強い」


数刻後、二十騎ほどの兵が疾駆してきた。


突然、先頭の馬が倒れ兵が地面に投げ出された。


転がった馬に、後方の騎馬が次々足を取られ折り重なった。


なんとか避けられたのは数騎だけだった。


「なんだ。地面に穴が」


言い終わらないうちに武逹が岩の影から跳躍した。


地面に降りるまでに瞬時に三名を蹴り倒した。


降り立った瞬間さらに二名を拳で打ち倒し、ようやく事態に気づいた残りの兵が武器を構えて応戦する。


その攻撃を武逹は最小限の動きでかわしながら、懐に入り込み一撃で敵を仕留めていく。


武逹は元・揚州軍の将校で体術の名手だった。


幼い頃、賊徒に襲われ両親を失い、劉明将軍に拾われてからひたすら武術を仕込まれた。


死すれすれの調練を積み重ね、二十歳を超える頃には、軍で一二を争うほどの手練れに成長していた。


その後、諜報部隊の隊長となり、各地の不穏な動きを探っていた。


そんな中、ある人物と隣国の繋がりを探っている最中に戦闘になり、包囲を突破し部下を逃すため


に一人で陽動を引き受け、最後は捕らえられた。


なんとしても揚州軍との繋がりは漏れてはならない。


拷問や尋問に耐え、宋飛たちの助けを受けて、ようやく今ここにいる。


最後の一人を馬上から引き摺り下ろし、反撃をいなして肘をこめかみに打ち込み止めを刺した。


「劉明将軍の恩に報いるため、俺はまだ死ぬわけにはいかない」


落ちていた槍を拾い、主人を失った馬に乗って、武逹は宋飛たちを追いかけた。


雪はまだ強く降り続いている。



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