花言葉は「勝利」 その4
久しぶりの更新です。
すいません。今の今まで更新なくて。
書きたいの書けないという、いわゆるスランプ状態に陥ってました。
…まあ、3週間で終わったのは、幸いでした。
いつもだったら、スランプに陥った時点で、音沙汰がまったくなくなっていたと思うので。
まあ、書けたからいいや。
それでわ↓
黒と白という、背格好がほとんど同じの、対照的な色をもった後姿を追って、俺は駆けていた。
……と、ふいに、二人の歩みが急に止まり、何かを話しているのが見えた。
…なにか、起こったのだろうか?少々気にはなるものの、敵は敵。こんな絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。そう思い、黒と白の少女を抜かそうと、スピードを上げる。
速度を上げると、ものの数秒で追いつき、もう追い抜かそうとしていた。
やはり少々気になるため、ちらりと、走りながらも二人を振り返ってみる。その時に見たシロの妹の表情は、「止まってっ……!」と、切実に語っているように思えた。
その表情に驚き、思わず足を止める。
すると、シロの妹の表情が、切羽詰まった表情から、青白い色に変わった。
………え?
妹の急な表情の変化に、唖然とした俺に声をかけたのは、シロだった。
「リンドウ!今すぐ下がって!!じゃないと―――」
シロが言い終わる前に、加護によって嫌な予感を感じ取った俺は、すぐさま、その場からジャンプで後退した。
それと同時に、さっきまで俺がいた場所に、緑色の鞭のようなものが飛び出してきた。
そして、ボスンという音と共に出てくる……凶暴な牙と口をもつ、巨大な二枚の葉っぱの顔。
「―――そいつに、食われるよっ!!」
そいつは、巨大な食虫植物系のモンスターだった。
巨大なすごく太い茎は、サボテンのような棘が生えており、その茎の根から、緑色の何本かの鞭…触手みたいなものをクネクネ動かし、俺らが飲み込まれそうな、巨大な二枚の葉っぱの顔には、目、耳、鼻などはなく、あるのは獰猛な肉食動物のような凶暴な牙と、それを上にも下にもつけている大きな口。
「大丈夫?リンドウ?」
「あ……あぁ…。また、助けてもらったな。ありがとう」
うわぁ…と、モンスターを見て、後ずさりすると、シロが声をかけてきた。
そして、シロがかけてきた声に、素直にお礼を言えた俺に、正直驚いた。今までの俺では、お礼なんて言ってなかった気がする。
そう思っていると、シロが言った。
「ううん。お礼は、ボーシに言って。ボーシが教えてくれたんだ」
シロの発言に驚き、シロの妹…ボーシを見ると、興味がないかのように顔を、別の方向に向けていた。
そんなボーシに、小さく「…ありがとう。ボーシ」とつぶやくと、驚いたようにこちらを向き……、そして、「…どう…いたしまして…」と、微笑んだ。
それにつられて俺も微笑み、シロも笑った。
そして、三人揃って、巨大な食虫植物系のモンスターに、鋭い視線を向けながら、その方向を向いた。
「とりあえず……、これを、どうしよっか?」
「ん~……。なんか、いい案ないか?」
首を傾げ、悩むシロ。すると、シロが「ん?」と言いながら、ボーシの方を向いた。「うん!わかった」と、ボーシの方を向いて一人でしゃべるシロ。正直、シロが怖い。
独り言が終わったのか、こちらに顔を向けるシロ。それにビビる俺。いや、エアフレンドとしゃべってるのは、本人はいいかもしれんが、周りは怖いってのは、本当だったんだな…。
「えっと、あの食虫植物に、餌を食わせれば…って、リンドウ?」
「い、いや…なんでもない…」
…あなたの、エアフレンドが怖いです。なんて言えない……。そして、なんでボーシは困惑顔なんだ。まあ、そのあとで開き直ったような顔になったから、いいんだろうけど…。
俺がそう考えている間も、シロは話し続ける。
「上に、的っぽいモンスターがいるでしょ?」
「え?」
シロに言われ、食虫植物系のモンスターの頭上を見ると……。そこには、矢などを射る時に的に、子供のラクガキのような羽が生えた、妙にムカつく顔のモンスターがいた。
あのモンスターが、何か打開策に繋がるのだろうか…?怪訝な顔をしながら、シロの顔を見る。
「あの的っぽいモンスター、ボーシの言葉通りだと、植物のモンスターの餌だよ」
そういわれ、食虫植物系のモンスターを見ると、的っぽいモンスターに、自身の腕のような鞭をせいいっぱい伸ばし、振り回し、捕まえようとしていた。
それを、二枚のラクガキのような羽をつかって、器用に逃げ回る的っぽいモンスター。
これに気が付いたのか…。すごいな、ボーシ。……ってか、いつの間に話してたんだ?
「あのモンスターを地面に落として、植物のモンスターが食べてる時に走れば……、たぶん、行けるんじゃないかって」
「………」
行ける……のか?本当に?
今回の大会は、なんというか……異様だ。一歩間違えれば、俺はあそこの湖で死んでいたかもしれない。大会の規定通り、役員の人達が助けに来てくれたとしても。
あの湖は、まだなんとかなった。けど……あれは、一応「魚」だったからであって、今回のは「モンスター」だ。前より数倍危険だ。
何も答えないことに不安になったのか、俺の顔を覗いてくるシロ。それに妙に照れくさくなって、目を背ける。その視線の先には、ボーシがいた。
その眼は…、俺の父親と……、自分の責任から逃げて、母さんに全部押し付けた、あの父親と、同じ眼をしていた。
その眼が、「お前は間違っている」と叫んだ、大嫌いな父親と重なって……。胸にもやもやが詰まると同時に、なんだか、懐かしかった。
「……やろうか」
その懐かしさに惹かれて、俺はいつの間にか、この案を承諾していた。
俺の回答に驚いたのか、「え!?いいの!?」というシロ。ボーシも、口には出さないが、その驚きが表情に出ていた。
「それしかないんだろ?だったら……、それしかないじゃないか」
その時の俺は、久しぶりに、本心からの満面の笑みを、浮かべることができたと思う。
***
作戦を決行してから、まだ、ほんのちょっとしかたってないと思う。
……けど、ここまであいつらが小回りが利くとは……。予想外だった……。
あいつら、結構賢いみたいで、上に飛び上がった所を、隙をついて石を投げたりしたんだけど……。あの羽で半回転して、半身で避けられた。なんか悔しい。
「……どうする?」
「どうもこうも……。三人で追撃するのが失敗したのに…他に、どんな方法があるんだ?」
「………」
俺たちが考えていると、ちょいちょいと、袖を引っ張る感覚がした。
なんだ…?と思ってみると、ボーシが俺の袖口を引っ張っていた。
それでも、ボーシがやろうとしていることがわからないので、頭に疑問符を浮かべていると、何故かそこらへんの石を手に握らされた。
ナニコレ嫌がらせ?と思っていると、ボーシが、一匹の的のモンスターを指差した。
……投げろ。ってこと……なのかな?よくわかんねーけど、とりあえず、投げてみるか。
これであっているかもわからないが、ボーシの指差すモンスターに、石を投げた。
すると、モンスターが、俺たちから見て右の方に逃げた。
やっぱり駄目だよな~…。と、俺が落胆しているとき……それは起こった。
俺の石に別の石があたり、モンスターの方へと向かって、跳ね返った。
その石は、モンスターの体、ギリギリを掠めたが、結局当たらず、そのまま地面に落ちた。
だが…当たる可能性が出てきたことに、希望が見えた。
思わず、隣にいるボーシを見る。その少女は、「今さっき、物を投げましたよ~」というような恰好をしていた。たぶん、ボーシが俺に合わせて投げて、石同士を ぶつけたのだろう。
すごい…。と感嘆している俺に、ボーシの視線が交わり……そして、シロも加わり、三人で頷いた。
三人とも、そこら辺の手短な石を手に取り……そして、まったく同じ動作で、空へと石を投げた。
投げられた三つの石の先には、的のモンスターの姿。それに向かっていくかのように、石は飛んでいく。
だが、モンスターは俺らの予想を裏切り、空へと飛びあがって逃げた。
また、石を三人一緒に投げなきゃいけないのか…と、少々落胆していると、三つの石がぶつかり…俺の石は、モンスターのいる上に向かって弾きとんだ。
そしてその石は…当たった。
パリンと音がして、的にひびが入り、モンスターの意識がなくなり、そのまま真下に、一気に落下していく。
それを見、まだ状況が把握できておらず、目を白黒させているシロの腕をつかみ、巨大な葉っぱの横を通り抜けるために、走り出す。
「う―――わぁ!?」
そんな叫び声が、俺の掴んでいる腕の方から聞こえる。少し見てみると、ボーシも俺と同じ行動をとっているのが見えた。
それがなんだか、俺と同じ仲間ができたみたいで、ちょっと嬉しかった。
自分で走れるようになったシロの腕を放し、自分達で走り出す。幸い、奴はまだ、食事タイムのようだ。
その横を、走り抜ける。
…と、突然、奴が巨大な棘をもった体をくねらせた。
見た目から想像がつかないのと、突然起こったことにより、思わず驚きの声を上げた。
「いっ!…」
「どうした!」
「いや、ちょっと……」
うめき声をあげたシロを見ると、左腕に、傷ができており、そこから、シロの真っ白な肌を伝って、真っ赤な、シロの瞳のような赤が、シロの腕から滴り落ちていた。
それを見た途端、なんだかとてつもなく嫌な予感がして、俺は歩みを止めた。
「どうしたの?」
シロが、突然止まった俺に疑問を抱き、後ろを向く。そのシロの後ろには……。
動こうとしても、足が恐怖という糸で縫いつけられて、動かない。
声を出したくても、出せない。
けれど、以前にもこういうことがあったからだろうか。
俺は、自分でも知らないうちに、言っていた。
「シロォォォォオオオオ!!」
そのシロの後ろには、俺の父さんを殺した、モンスターが大口を開けていた。
俺の嫌な予感は、当たった。
あと2回ぐらいで、リンドウ君のターンは終了です。
終わりが見えてきたので、ちょっとやる気が出てきた。
がんばります。
それでわ。




