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小人族の仲介人な私。  作者: 榎本あきな
休憩所:王都
16/24

花言葉は「勝利」 その3

題名を考えないでいいって、とても楽ですね。

そして、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今年最初の投稿ということで、もう一つの方とも一緒に投稿しました。

よろしければ向こうもどうぞ。


それでわ↓

 目の前には、巨大な湖。その周りに、渡れなくて右往左往している小人族がたくさん。

 ……どうしてこうなった…。俺、やっと慢心から目が覚めたってのに…こりゃないよ…。今回は、清々しい気持ちで競争ができると思ったのに…。


 とりあえず、何が起こっているのか、人ごみの隙間を抜けて、湖の状況を、そして、何故皆がこんな風にウロウロしているのかを見ることにした。

 だって、小人族全員は、泳ぐことが必須だ。人間にとってはただの水たまりでも、俺たちだと死ぬ可能性もあるからな。仮に泳げなくても、毎年泳ぐ系は徒競走の難関として、高確率で出てくるから、泳げない奴は、まったくと言っていいほど参加してないだろう。


 人ごみを抜けて湖を見ると……そこは、確実に泳ぎが得意な湖畔種でも、絶対に泳ぎたくない湖があった。

 優雅に泳ぐ魚たち。その大きさは、小さい魚でも、俺たち一人を確実に丸のみできるであろう大きさだった。さらには、優雅に泳ぐ反面、小さい魚を一瞬でパクリと食ったり、波を立てずにすさまじい速さで泳いだりと、なんともまあ、一癖も二癖もありそうな魚ばかりだった。


 これを、どうやって渡れって言うんだよ…。そう思いながら、今までの合同練習などを思い出す。

 この競争は、俺たちの力を試すためでもある。臨機応変に対応することも大切だけれども、それよりも、習ったことをちゃんと活かせるかという方が重要になってくる。

 だから、大抵この競技に出てくるのは、どこかで一回やったことなのだ。思い出せないけど。


 ふと、シロ達がいる方をみる。なんだか、シロの妹なら、俺らが思いつかない奇策を考えそうだと、直感的に思ったからだ。

 すると、妹がシロに何かを耳打ちで伝えていた。それが終わり、妹がつま先立ちをやめて前を向くと、何故かシロが、心底残念そうな顔をしながら、細長い葉っぱを丸めていた。


 何をするつもりなんだ?そう思っていると、シロが丸めた葉っぱを耳に詰めた。

 …どっかで見たことあるぞ…?確かあれは…近所の人が使っていた、音を通さない葉っぱだ。

 「オトナシ」と呼ばれる葉っぱで、森にすむ森林種が最近見つけた希少な葉らしい。その葉は、なんか、中身がぎゅっと詰まっているらしく、音が伝わらないらしい。それを利用して、耳栓にする人も多いそうだ。ただ、サイズが小人族サイズのため、使うのは小人族だけだが。


「――♪――――♪~♪」


 何か、とても懐かしい、それでいて、優しい声が響いてきた。ふと、その声をたどると、それは、シロの妹が歌っているというのがわかった。

 何を言っているのかわからないが、とても優しく、そして、あの妹がこんな歌を歌うというのが驚きだった。


 歌に包まれる感覚に身を任せていると、湖の魚達が、シロの妹の声につられてきたのか、ふよふよと漂いながら近よってきた。

 その魚達の一匹に、妹を抱えて乗るシロ。その間も、妹は歌い続けていた。


 シロと妹をの乗せた魚が、ゆっくりと反対側の岸に向かって泳いでいく。

 それを、ぼんやりした頭で見る俺たち。周りをみると、周りも、この光景を魔法で映像とし流す、空を飛んでいる天空種さえも、ぼんやりとシロと妹を見ている。

 そして、反対側の岸にたどり着き、シロと妹が降りた後、ゆっくりとその声の音量を落とし…


 完全に声が聞こえなくなったとき、突然、目が覚めたような感覚がした。


 はっとして周りを見渡すと、ほとんどの人はまだぼんやりとしているようだった。

 今のうちに向こうへ渡れば、シロと妹には追いつけなくても、トップに近くなれるんじゃないだろうか…?そう思い、さっそく策を練る。策といっても、今まで加護にばかり頼っていた俺に、策といえるほどのものが考え付くのかはわからないが。


 俺の、あまり役に立たない頭で考えて、考えて、考えて……結局出てきたのは、ごり押しだけだった。


 まず、素早く、それでいて攻撃的な性格の魚に目星をつけ、小石を拾い、そいつに向かって2、3回小石をぶつける。

 泳いでいたのを邪魔された魚は怒り、こっちに向かってきた。それを高くジャンプしてその魚の真上に行く。


 まさか、戦闘種の特徴である身体能力を、ここで発揮するとは思わなかったと思いながら、空中で苦笑いする。

 俺ら戦闘種は、抜群の戦闘センスと、身体能力を持っている。イメージしたことを実行するためには、それに相当する筋力やら俊敏力やらが必要だからな。


 その変わり、俺たちの種族は性格に難があるやつが多く、バトルジャンキー系が多い。

 性格に難がなくても、他の…たとえば、料理が壊滅的にダメだったりする奴もいるから、戦闘種は他の種族のように定住することがなく、フラフラといろいろな土地を歩き回ったりして生活する。


 まあ、それはともかく、ジャンプして微妙な風の流れを掴み、うまい具合に魚の背びれを掴む。あとは、あいつが暴れて向こうの方まで行ったときに、手を放せばいいだけなんだけど…。


 速い!すっげぇ速い!しかもこいつ、向こう岸行かないんだけど!

 なんとか背びれを両手で持ち、魚の体にまたがると、周りを見る。見ると、最初よりも結構な人が俺を真似して、行こうとしているようだ。中には、俺よりも前に行き、もうちょっとで向こう岸というのもいる。


 と、その時、魚が水中に潜った。

 操縦もできない俺は、突然のことで用意できなかった少ない酸素で、なんとか耐える。が、それも時間の問題だ。なんとか、この状況を打破しないと、競争初の死人になるぞ!?

 そんな俺の思いとは裏腹に、俺の頭の中に浮かんだのは、シーソーだった。


 奥に乗れば、手前が上がる。手前が上がれば、奥が上がる。

 …………じゃあ、後ろに体重をかけたら?答えは―――


 その答えを出したと同時に、俺は後ろに体重をかける。魚が下へ行こうともがくが、俺は尻尾の付け根を下に押し、無理やり上を向かせる。

 振り払えないと考えたのか、魚は上へ向かって全速力で泳ぎ、そして……


 水しぶきとともに、高く舞い上がった。


 俺はとっさに魚の体をけり、近くの岸に降りる。後ろで、ボチャンという音がした。たぶん、俺が乗っていた魚が、湖に落ちた音だろう。

 後ろを向くと、向こう岸には、まだまだたくさん残っている人々。俺は、運よくこちら側の岸に降りれたようだ。


 水中で消費した酸素を、深呼吸と共に補充し、俺は結構遠くに見える白と黒に向かって、駆けだした。

本当は、ここで終わるはずだったのに…。

たぶん、あと2、3回くらいやります。内容は、簡単に言えば「的当て」「ラスボス」「後日談」みたいな感じです。

意味不明?あえて意味不明にしたんですよ。わからないように。


次回は、これの続きで「的当て」です。短くなったら、「ラスボス」と合体します。…なんか、3つになりそうな予感がしますが…。


それでわ。

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