花言葉は「勝利」 その2
25日の短編で、今年の投稿は終わりにしようと思ったけど、なんだか完成しちゃったから、投稿。
寝起きで書いたから、結構適当になりました。自分でもわけわかんない。
そのうち改稿するかもしれません。
それでわ↓
パンッ!という音とともに、小人族が一斉に飛び出す。
そのまま、大人数で最初のトラップまで駆ける…かと思いきや、参加者の半数が、転んだ。
まさかの出来事に止まりそうになる足を叱咤して、走り始める。チラリと後ろを見ると、どうやら、始まってすぐそばにあったトラップに、皆、引っかかったらしい、
トラップといっても、子供のいたずらとかでよくある、玄関先でロープをピンと引っ張って、相手を転ばせるという、単純明快すぎるトラップなんだけどな。
とりあえず、半数はこれで出遅れたため、よっしゃっ!と思いながら、走る速度を少し上げる。…と、前方向に、見慣れた……といえるのかわからないが、真っ白な髪の毛に、真っ黒な髪の毛をした、対照的な二人の少女が走っていた。
あの二人は、トラップに引っかからなかったのか…と思いながら、わずかな対抗心を燃やしながら、二人との距離を縮めていく。
これで二人を追い越して、俺が前へリードすれば、シロもすごいと思ってくれるに違いない。
そう思いながら、徐々に、しかし確実に、二人との距離を縮めていく。
突然、足に地面の確かな感触が、なくなった。
え……?と、半ば絶望したように下を見る。その感覚は、とても遅く、早く進みたい俺にとっては、その感覚は、邪魔でしかなかった。これが、ある意味俺を冷静にさせる時間をくれたのだが。
下を見ると、真っ暗で何も見えない。さながら、奈落の底のようだ。
なんだか、どこかで既視感を覚え、そのおかげで、俺の頭は、とても冷静になることができた。
確か……前回の徒競走の時も、このトラップはあった。前は、前の人たちが、突然消えたから、これは落ちたのか?と思って、飛び上がってみたら、真っ暗な奈落の底みたいな穴があって……。
思い出しただけでも寒気がしそうな穴が、今、自分の足元にあるのだと思うと、焦りそうになる。しかも、この下はゴールまで道が続いているらしいが、今このコースを走るよりもずっと険しいと、前にあの穴に嵌った人に聞いていたため、勝つためには、この穴に落ちてしまったら終わりだ。
まだ……いける!そう思いながら、奈落の底へゆっくりと落ちていくスローモーションの世界で、俺は体を捻り、穴の淵を掴む為に手を伸ばす。
もうちょっと……もう少しなんだ!!自分に言い聞かせながら指先を伸ばす。その指先がわずかに触れ…もう少しという所で届かず、スローモーションの世界が終わりを告げようとしていた。
ゆっくりと下に向かって落ちていく体。あと少しで、この遅い感覚も、早く感じるようになるのだろう。たまにある。速いものが遅く感じることが。
なんどもあれに助けられたが、今回は……ダメだったのか。
でも……せめて。と、最後の足掻きに、手を上に伸ばす。何かに掴まれれば、それでいい。落ちてしまったら……それでも、俺は精一杯走ろう。勝つ可能性が1%でもあるなら、勝利の女神にかけようじゃないか。見放されたら、それはそれで…しょうがない。
なんだか、今日の俺は、いつもと違う。そんな気がした。けど、こんな俺も、いいんじゃないかな。
その時、俺の落下が止まった。
何かに掴まれたのか?いや、でも、この感触は……。不思議に思いつつ上を見ると、そこには、太陽に照らされた透き通るような真っ白い髪の毛が。
シロだ。シロが、俺を助けてくれたんだ。なんで、という思いと同時に、感謝の思いがせりあがってきた。
「大丈夫…?いまっ、引き上げるから…!」
「なん……で」
「はぁ?それこそ愚問だよ。だって、僕たちもう―――」
―――友達でしょ?―――
その言葉に呆けている間に、シロが俺を、穴から外へ引き上げる。
………一つ、聞いていいか?友達って…自己紹介しただけだぞ?それだったら、世の中全員が友達なんじゃないか?
そう突っ込みながらも、俺の中では、嬉しさが心の中で充満していた。それと同時に、俺はどれだけ馬鹿なんだと思っていた。
こんな綺麗な心の持ち主を、自分のものにしようだなんて…。本当は、今の時点で彼女はトップだったはずだ。だが、俺を助けるために戻って…、今現在、俺たちの順位は、最下位から数えた方が早いんじゃないかと思うほど、下に下がっていた。
すると、シロが唐突にしゃべり始めた。
「……え?自己紹介しただけじゃ、友達って言わないの?…あれ、僕が前に聞いたときは、しゃべれば皆友達って聞いたんだけど…」
一瞬、俺の心の声が、外に漏れてしまったのかと思ったが、どうやら違うようだ。シロを見ると、その視線は、シロの妹に向けられている。その瞳の中には、呆れの感情が映っていた。
「え、えーっと……。……まあ、いいや!いまから友達になれば、問題ないでしょ!」
そういって、俺の左手を、自らの両手で包み込むように手に取るシロ。
それに驚き、そして、女子と今まで手をつないだことがない俺は、顔が真っ赤になった。
「リンドウ君。僕と……友達になって、くれますか?」
その言葉が、なんだか告白の言葉に聞こえて……俺の顔をさらに真っ赤にさせた。頭の中がとても混乱していて、何を言えばいいかわからないから、妹に視線で助けを求めると、「承諾した方が早い」と返ってきた。
妹の言うとおりに、首を縦に振って承諾すると、「よかった~」と言って、俺の手を放した。
こっちがよかったって言いたい。ほんと…心臓に悪い。シロの妹には、感謝しないとな。
そう思っていると、シロが妹と視線を交わらせていた。その光景が、なんだか会話をしているように見えて、俺…頭おかしくなったかな?と思ってしまった。
「…えっ、ん~…。…そうだね。実際に、味方はボーシしかいないわけだし…。うん。じゃ、そろそろ行こうか。あっ、リンドウ君。じゃあ、僕らはいくね!君もがんばってね!」
本当にしゃべってるみたいだ。と呆けている俺をよそに、シロは、音のように、去って行った。妹の方は、俺に一回お辞儀をしてから、シロの後を追いかけるように、その小さい体のどこに、そんな速さが眠っているんだという速さで、駆けていった。
数秒後、こんなことをしている場合ではない。と、俺はシロ達の後を追いかけるように、駆けて行った。幸い、俺はまだ、負けてはいない。
これは、勝利を手に入れるための競争じゃない。これは……楽しむための競争だ。
今まで、そんな簡単なことに気が付かなかった。ずっと勝ち続けていたからか、俺は、それに気が付かず、自分の力に慢心していた。
そんな俺の目を覚まさせたんだから、シロはすごい。そう思いながら、今まで楽しまなかったのがもったいないと思った。
俺はその日、初めて、小さいころからずっと悩まされて、今じゃ、慢心の元になっていた、俺だけが聞こえる、敗者の声から、目を背けることができた。
いや、でも、これはないよ。やっと、本当の勝負ができると思ったら、皆が湖を渡れなくて右往左往してるって。
この回の落とし穴のトラップ。実際は、自力でリンドウ君が上がる予定だったんだけど、書いてたらいつの間にかシロ兄が助けに来てました。
シロ兄…今まで出番なかったからっていっても…もうちょっと自重してくれ…。この章の最後あたりで、あなたが主人公のお話、書く予定だから。
次回は、今回の続きです。3で終わる予定だったのに…シロ兄ェ……。
それでわ。




