花言葉は「誠実」と「家族愛」
小話的な、そんな話です。エクストラストーリーとでもいうのかな?
よくはわかりませんが、まあ、そんな感じです。
今回、少々恋愛系が入っていますので、苦手な方は避難をお願いします。
甘さはないと思いますけど。
それでわ↓
「どうしよう…」
そういって、机に突っ伏す目の前の彼女。
彼女は、僕の幼馴染であり、この小人族草原種村長の孫娘。名前は、サルビア。
とてもきれいだけれど…家族至上主義者。家族以外には本当に容赦がない。
そんな彼女が今、家族の事で悩んでいる。
なんでも、家族をひどい目に合わせてしまったという。
「ビール!!」
ビールを頼み、それを豪快に一気飲みをする彼女。
いつもは僕がいるときでも滅多にしないのに…それほど、彼女が荒れているということだろうか…。
「ねぇ…どうすればいいと思う?…私…家族にあんなことしちゃって…もうあの子に顔向けできない…」
そういって落ち込む彼女。
こういうときは……自分の意見を言うに限るね。
「…君は、家族にこだわりすぎるんだよ」
「……どういうこと…」
僕を睨んでくる彼女。その眼は、「あんたは家族をどうとも思っていないのか」と語っている。
いや、そういうことじゃなくて…
「君は、家族に執着し過ぎて、個人として他人を見ていないんだよ」
「こ……じん?」
頭にクエスチョンマークを出す彼女。
かわいいな~……じゃなくてっ!
「家族として見るから、家族じゃないものに酷い仕打ちをして後で後悔することになるんだよ。個人としてみれば、その人だけを見るからその人だけの評価が出来上がる。ようする、好きな人は好き、嫌いな人は嫌い…でいいんじゃない?家族関係なしで」
僕がそういうと、彼女は俯いたまま、時折何かを呟くだけで何も言わなくなった。
…静かな沈黙が僕たちの間に広がり…
彼女が、俯いたまま言った。
「…私、皆が私を無条件で好きになっていくのが…怖かった。私には何の魅力もないのに、妖精の加護の力で好きになっていく皆が…怖かったの。それで一回、人を好きになって…酷い目を見たから。だから、家族としてみれば、大丈夫だと思ってた。けど…こんなに傷つけてるとは思わなかったの…!そんなつもりはなかったの……」
俯いたまま肩を震わせ、涙を机の上に零す彼女。
彼女の加護は…「愛」。その加護のせいで、逆に彼女は苦しめられている。自分には魅力がないと、思い込んでしまっている。本当は皆、加護の力なんじゃなく…彼女自身の性格、容姿、行動、仕草、それらが好きだからなのに。
…まあ、僕にも彼女のように苦しんだ時期があったんだけれどね。
加護というのは、必ずしも本人に有利なものではない。だいたい、不利と有利で5分5分ぐらい。
たとえば、僕。僕の加護は「勇気」。けど…僕は、本当の勇気の意味をわかっていなかった。勇気とは、時として「無謀」になる。それを知らなかった無知な僕は…ある人に、大けがを負わせてしまったんだ。
その時に僕を支え、救ってくれたのは、今僕の目の前にいる彼女だった。彼女としては、自分の家族が悩んでいるから救っただけなんだろうけど。
だから、今度は僕が彼女を救いたい。
「…まだ、間に合うよ」
「………え?」
顔をばっと挙げる彼女。その顔には、涙の跡と目にたまる今にも零れそうな雫の塊があった。
その顔を真正面から見つめながら、僕は彼女を救うために言葉を紡ぐ。
「君は何も失ってない。なら…大丈夫だよ。まだやり直せる」
「そんなわけな「くないよ。君が失ったのはただ一つ。君が感じる自分自身への自信だけだよ」自信…」
「自信…」と呟きながら、自分の手のひらを見つめる彼女。
開いたり閉じたりを繰り返し、何回かそれをやった後、手のひらをぎゅっと握りしめて、僕を射抜くような瞳でまっすぐに見つめた。
「…私、がんばってみる。がんばって…人を家族愛なんかじゃなく、個人として見るように、がんばってみる。せっかくあの子が許してくれたんだもの。もう同じ過ちは繰り返さない」
「…そっ…か。……うん。がんばって」
決意を秘めたような彼女の瞳をみて、ああ…変わってないな。と、少し安心してしまった。
僕がそう彼女に返すと、彼女はにっこりと笑った。
「…じゃあ、相談に付き合ってくれたついでに、これを治すのにも手伝ってね。ノース」
「…わかってるよ。それくらい。幼馴染だからね」
彼女がふふっ。と笑うのにつられて、僕もははっ。と笑う。
そうやって笑う彼女の顔には、もう悩んでいることなんて、一つも浮かんでなかった。
***
割り勘で支払を済ませ、店を出る。
ずっと座っていたせいか、背筋が固まっていたようで伸ばすとポキポキと音がする。
とうの相談人の彼女は、あの後、枷が外れたように飲み始め、大酒のみも目を丸くするくらいの飲みっぷりを見せてくれた。
これで少々顔が赤くなるくらいなのだから、すごい。
昔のように二人並んで家に帰る。
今では、彼女に人気がありすぎて出来なかったことだ。なんだか、懐かしい。
ふいに、彼女が立ち止った。
少し歩いた所で気が付き、どうしたのだろう。と思い後ろを振り向くと、彼女が微笑みながら僕に言った。
「…ねえ、突然なんだけど……さ」
「…どうしたの?」
「私……好きな人がいるの」
その言葉にドキリとし、どうして今そんなことを言ったのだろうと思った。
次に思ったのは、また、友人が一人、離れていっちゃうのかな。という、思いだった。
「…今まで、家族に恋をするのは変。これは違う。って、ずっと自分を偽ってきた。…けど、ノースに言われて、考えを改めて、最初に気が付いたのが…この思い。……ありがとう。ノース。この思いに気が付かせてくれて…。それと……」
きっと、彼女の事だ。今まで、ありがとう。そういうのだろう。
そう思ってた僕の思いは、あっさり裏切られた。
「……好きだよ」
僕の横を走って駆け抜ける彼女。ちらりと見たその横顔は、夜だというのにわかるほど、真っ赤な顔をしていた。
「………………え?」
…いや、え?ん?なんでこんなことになってるの?
そう思った僕の頭が最初に出した結論は………
明日から、大変そうだなぁ…。彼女が好きな男性たちからの妬みとか。
そう思いながら、彼女が離れないことに安堵の溜息を吐いた。
サルビアさんとノースポールさんのお話でした。
書きたいなーと思っていたので、かけてよかったです。
ちなみに、この後サルビアさんがノースポールさんに猛アタックします。それはもう、今までサルビアさんを大人しい人だと思っていた人の幻想が崩れるくらいに。
次回は…シロ兄の話しをなんか書きたいです。
それでわ。




