第8話: 禁断の魔導書と、謎の少年
はじめましての方も、お馴染みの方も、お越しいただきありがとうございます!作者のティラピア池です。今日も皆様に楽しんでいただけるよう、気合を入れてお届けします!
僕たちは、クロシマの街を歩き続けていた。
しばらくすると、目の前に巨大な建物が現れた。
その建物は街の他の建物とは比べものにならないほど大きく、その内部には無数の本棚が並んでいた。
「……デカすぎるだろ。」
僕は思わず足を止めた。
どうやら、ここは図書館らしい。
これほど巨大な図書館なら、何か面白いものが見つかるかもしれない。
「ほら、早く入ろう。」
アヤが僕の腕を引っ張る。
「待て。お前、ここの図書館を探索したいのか?」
「その反応を見れば分かるでしょ。」
「……確かに。」
僕たちはそのまま、巨大な図書館の中へ入っていった。
中には、見渡す限り大量の本が並んでいた。
いくつもの本棚はかなり高く、上の方にある本を取るだけでも普通の人なら苦労しそうだ。
「これは……すごいな。」
僕は本棚の間を歩きながら、興味深そうな本を探していく。
しばらくして、一冊の本が僕の目に留まった。
その表紙には、今まで見たことのない魔法文字が刻まれている。
本を開いてみると、そこには複雑な魔法についての説明が書かれていた。
「……難しすぎる。」
それでも僕は、内容を理解しようと必死に読み進めた。
どうやら、かなり高度な魔法らしい。
僕は後で試してみるため、その内容をノートに書き写し始めた。
――そのとき、ふと思い出した。
僕のノートはアヤが持っている。
僕がこの世界に来たばかりの頃、アヤは本を読みながら眠っていた。
起こすのも悪いと思った僕は、そのまま彼女を起こさず、こっそりノートを持ってきたのだ。
「まあ……少しくらい借りても問題ないだろ。」
僕はそのまま、本の内容を書き写していく。
すると――。
「おい、相棒。どうやら、その本の内容を写してるみたいだな。」
突然、背後から声が聞こえた。
僕は書き続けながら答える。
「うん。」
次の瞬間だった。
僕が持っていたペンが、ふわりと宙へ浮かび上がった。
「……は?」
ペンは誰にも触れられていないにもかかわらず、空中で静かに動いている。
「待て。お前、詠唱なしでその魔法を使ったのか?」
「もちろん。」
男は何でもないことのように答えた。
「そんなの簡単だぞ。」
「簡単……?」
僕はもう一度、本へ視線を戻した。
「ここには、この魔法は複雑で、習得するのもかなり難しいって書いてあるぞ。」
「お前みたいにステータスがマイナスでも、簡単に使えるぞ。しかも、詠唱すら必要ない。」
「……何?」
僕は思わず男の方を振り向いた。
「どういうことだ?」
「まあ、焦るな。」
男はそう言ってから、何かを思い出したように口を開いた。
「そういえば、まだ自己紹介してなかったな。」
男は僕の方を見る。
「俺の名前は――カイル・ヴァレンティスだ。」
「……アラリック・シロガネ。」
「へぇ……面白い名前だな。」
「世間話はいい。それより、どうやって魔法を覚える?」
「外に出よう。」
「……分かった。」
僕はアヤのところへ戻り、彼女を起こした。
「アヤ、起きろ。」
「ん……あと少し……。」
どうやら、かなり気持ちのいい夢を見ているらしい。
「おい、起きろって。」
「……え?」
アヤは突然目を覚ました。
寝ぼけたまま、反射的に僕へ向かって手を振り上げる。
「おい、ちょっと待――」
手が僕の顔に届く寸前、僕はとっさに念動魔法を使った。
「危なかった……。」
「……あ、ご、ごめん。」
「いや、いい。」
僕はカイルの方を見る。
「じゃあ、行こう。」
「おう。」
僕たち三人は図書館の外へ出た。
「まず確認したい。」
カイルが僕を見る。
「お前には魔法の才能があるのか?」
「……待ってくれ。今、確認する。」
僕はステータスを開いた。
「《ステータス》」
表示されたステータスを隅々まで確認していく。
そして、魔法に関係する項目を見つけた。
「……あった。」
僕はその項目をじっと見つめる。
「でも……本当に僕に魔法の才能があるのか?」
「何言ってるんだ?」
カイルは何かを食べながら答えた。
「もちろんあるぞ。マイナスだけどな。」
「……本当に?」
「本当だ。」
僕はもう一度、自分のステータスを確認した。
「INTは……-70。」
「それでも魔法は使える。」
「……そういうものなのか?」
「そういうものだ。」
カイルは平然と答える。
「分かった。じゃあ、教えてくれ。」
「おう。」
カイルは魔法の基礎について説明を始めた。
「まずは、体の中にある魔力を感じてみろ。」
「……分かった。」
僕は目を閉じ、意識を集中させる。
最初は何も感じなかった。
それでも、何度も繰り返していく。
一時間。
二時間。
三時間。
気がつけば、空は夕暮れへと変わっていた。
「……動け。」
僕は手を伸ばした。
すると、地面に落ちていた乾いた葉がゆっくりと浮かび上がった。
「……できた。」
小さな葉が、僕の目の前で静かに宙を舞っている。
「おお……。」
カイルが突然、黙り込んだ。
「……どうした?」
僕はカイルを見る。
彼は浮かんでいる葉を見つめたまま、少し驚いたような表情をしていた。
「普通なら、これくらいできるようになるまで数週間はかかるんだけどな。」
「……数週間?」
「そう。」
「じゃあ、僕は?」
「今日だけ。」
「……。」
僕は自分の手を見る。
どうやら僕には、本当に魔法の才能があるらしい。
たとえ、ステータスがマイナスだとしても。
やがて空が完全に暗くなり、僕たちは訓練を終えることにした。
「そろそろ帰るぞ。」
カイルがそう言った。
「分かった。」
僕とアヤは帰る準備を始める。
すると、カイルが僕に声をかけた。
「じゃあ、また今度魔法を教えてやるよ、若いの。」
「……待て。」
僕はカイルを見る。
「俺たち、同い年だろ。なんで『若いの』なんだ?」
「……。」
隣にいたアヤは、必死に笑いをこらえている。
「おい、アヤ。笑うな。」
「ふふっ……ご、ごめん……。」
こうして僕たちは、夜のクロシマへ戻っていった。
そして――。
翌日、僕は……。
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