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レベル-99の大佐が異世界転生したら、身体の耐久度が水に濡れたティッシュ並みだった件〜天才的な脳だけで生き残る〜  作者: ティラピア池
What If — The Road I Should Never Have Chosen(選んではいけなかった道)

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IF第5話: 闇に呑まれる者

はじめましての方も、お馴染みの方も、お越しいただきありがとうございます!作者のティラピア池です。今日も皆様に楽しんでいただけるよう、気合を入れてお届けします!

数か月が経った。


僕は、まだあの場所にいた。


時間というものが、もはや何の意味も持たなくなっていた。


来る日も来る日も、僕はただ、自分に起こるすべてを受け入れるしかなかった。


僕の身体は、何度もポーションによって回復させられた。


奇妙なことに――時間が経つほど、僕の身体は強くなっていった。


再生能力が向上していく。


耐久力も上昇していく。


そして――システムそのものまで変化し始めていた。


《身体能力に変化が確認されました》


《再生能力が上昇しました》


《各種耐性値が上昇しました》


僕は、無表情のままステータス画面を見つめていた。


昔の僕なら、おそらくすぐに分析していただろう。


原因を探し。


対処法を考え。


どうすればここから抜け出せるのかを考えただろう。


だけど、今は――


もう、考えることすら疲れてしまった。


少しずつ消えていったのは、身体の力ではない。


僕自身だった。


僕は、自分が何者だったのかを少しずつ忘れ始めていた。


科学者。


軍人。


かつて目的を持っていた人間。


かつて誇りを持っていた人間。


そして――


アラリック・シロガネという名前を持つ人間。


それらすべてが、まるで他人の記憶のように感じられた。


そして、ある日――


部屋の扉が開いた。


一人の男が、数人の人間を連れて入ってきた。


「旦那様。どうやらこいつは、我々の部下として十分に使えそうです。」


男は、僕を見つめた。


「そうなのか?」


「ええ。特に――この頭脳です。これほどの天才は、そうそう存在しません。」


「ならば、こいつをリーダーにしろ。」


「リーダー、ですか?」


「そうだ。四人を付けろ。」


「五人一組ということですね。」


「その通りだ。」


僕は、すべてを聞いていた。


拒絶したかった。


嫌だと言いたかった。


けれど――


僕の身体は、勝手に動いた。


「もちろんです、旦那様。」


僕は、固まった。


今の言葉は――僕が言ったんじゃない。


僕じゃない。


僕はまだ、この身体の中にいる。


すべてを聞いている。


すべてを考えている。


それなのに――


僕の身体は、もう僕のものではなかった。


男は満足そうに笑った。


「よし。それでは、最初の任務を聞け。」


「影響力の大きい貴族を、可能な限り多く捕らえろ。」


僕の身体は、迷うことなく答えた。


「了解しました、旦那様。可能な限り多く捕らえます。」


僕の心の中では――


「やめろ……。」


その声を、誰も聞いていない。


「頼む……やめてくれ……。」


返事はなかった。


すると、男が僕に十個の奇妙な果実を差し出した。


「これを全部食べろ。」


「それは、お前のレベルを上げるためのものだ。」


僕の手が伸びる。


一つ。


二つ。


三つ。


僕は、次々と果実を口にしていく。


そして――


十個すべてを食べ終えた。


その瞬間。


《LEVEL UP》


《LEVEL:10》


《マイナスレベル状態を解除しました》


生まれて初めて――


僕のレベルは、マイナスではなくなった。


だけど、嬉しくなかった。


誇らしくもなかった。


喜びも、何も感じなかった。


ただ――空っぽだった。


僕の後ろには、四人の人間が並んでいた。


「隊長、安心してください。」


「俺たち四人は、今回の任務で足手まといにはなりません。」


僕の身体が答える。


「分かった。」


叫びたかった。


「僕を隊長と呼ぶな!」


けれど、僕の口から出たのは――


「それなら、準備しろ。」


四人は一斉に頷いた。


「了解しました、隊長。」


そして、僕たちは歩き始めた。


僕には、自分の身体を止めることができなかった。


ただ、見ることしかできない。


聞くことしかできない。


そして――考えることしかできない。


「やめろ……。」


僕の足は、止まらない。


「僕は……嫌だ……。」


少しずつ。


少しずつ、闇が僕の思考を覆っていく。


自分が誰だったのかという記憶が、少しずつ消えていく。


アラリック・シロガネ。


その名前さえも、遠いものになっていった。


僕の誇り。


僕の存在。


僕の人格。


そのすべてが、ゆっくりと沈んでいく。


「僕は……まだ、ここにいる……。」


けれど、闇は答えない。


ただ、僕の心を飲み込んでいく。


そして――


僕は、抗うことをやめた。


諦めたからではない。


どうすれば、自分自身でいられるのか。


もう、それすら分からなくなっていたからだ。


僕の身体は、四人の部下と共に歩き続ける。


最初の任務へ。


この世界の誰も知らない場所へ。


自分の身体の中で――


一体、誰が歩いているのかさえ知らない世界へ。


そして、空っぽになった僕の心の奥には――


まだ、小さな声だけが残っていた。


「……やめて。」


けれど、その声も少しずつ遠ざかっていく。


少しずつ。


少しずつ。


そして最後には――


闇だけが残った。

少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部の**【ブックマークに追加】や【評価(★★★★★)】**をいただけると嬉しいです!皆様の応援が執筆の大きな励みになります!もしかしたら「こういう設定の小説は途中でエタる(エピソードが途絶える)んじゃないか……」と思って、ブックマークをためらっている方もいるかもしれません。ですが、断言します。私はこの作品がライトノベル化、コミカライズ、そしてアニメ化するまで絶対にエタりません(更新を止めません)!ぜひ大佐の行く末を、一緒に最後まで見届けてください!

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