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第7話 「村祭り(前編)」

祭りの季節。

山神さまが山を下りる日。


山の麓の村は、

祭り支度で朝から賑わっていた。


太鼓の音、行き交う人の声、

いつもより華やかな空気が漂う。


年に一度のこの三日間だけ、

山神さまは山を下りる。


特別な着物に袖を通すと、

山神さまは人の姿になる。


それでも纏う空気は、

どこか人離れしていた。



村に着いてみると

宿を取っていたはずが、

手違いで満室だと言われた。


山神さまの機嫌は

みるみる悪くなる。


「帰るぞ」


今にも言い出しそうな頃。


「おや、ハルじゃないか」


聞き慣れた声に振り向くと、

源蔵じいさんが立っていた。


「どうした?」


「連れの者が宿を取れず

困っていまして」


ハルがそう言うと、

源蔵じいさんは山神さまを一瞥する。


ほんの一瞬、

目を細めてから笑った。


「それなら、ウチに来ればええ」


「……よろしいのですか?」


「祭りの間くらい、

賑やかな方がいい」


そう言って歩き出す。


山神さまの前を横切るとき、

源蔵じいさんはほんの僅かに

頭を下げた。


誰にも気づかれぬほど

自然な仕草で。


ハルだけがそれを見る。


山神さまは何も言わない。


ただ、少しだけ

不機嫌がやわらいだ気がした。


お読みいただきありがとうございます。

次回は4月15日に、第8話「村祭り 後編」を更新予定です。

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