表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

第6話 「名もなき手当て」

女は一晩よく眠り、

翌朝には顔色もすっかりよくなっていた。


「ありがとうございました。

疲れも随分と取れ、身も軽くなりました」


そう言って深く頭を下げ、

山を下りていく。


その足取りは、

昨日とはまるで違い、軽かった。


ハルはその後ろ姿を見送る。


女は、ふと一度だけ振り返った。


何かを探すように、

ほんのわずかに視線を巡らせる。


だが、やがて小さく首を振り、

そのまま山道を下りていった。


ふと足元を見ると、

傷んでいたはずの足袋には

血の跡ひとつ残っていなかった。


そして御堂の戸口には、

見覚えのない薬草が

さりげなく置かれている。


昨夜、ここにはなかったものだ。


ハルは、横に立つ山神さまを見る。


山神さまは、

興味などない顔で山の方を見ている。


「……人は入れるな、と

仰っていませんでしたか?」


山神さまは眉を寄せる。


「長居されては、山の気が乱れる」


ハルは真面目な顔で言う。


「少しは素直になられては?」


山神さまは、

ふん、と不機嫌に鼻を鳴らし、

さっさと御堂へ戻っていった。


ハルはその背を見て、

小さくくすりと笑った。


もうすぐ祭りの季節だ。

山神さまが山を下りる日も近い。

お読みいただきありがとうございます。

次回は4月11日に、第7話「村祭り 前編」を更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ