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第10話 「吹雪」

もうすぐ

冬の訪れを知らせるような

晴れた日だった。


源蔵じいさんが、

背に大きな籠をしょってやって来る。


「冬山じゃ作るのも大変だろう」


籠いっぱいの野菜を

ハルに渡す。


「春になったらまた来るからな」


そう言って、

いつものように御堂に手を合わせ、

山を下りていった。


それが、

最後だった。



暫くして用事のために

人里へ下りたハルは聞かされる。


源蔵じいさんが

亡くなったと。


帰る道すがら、

空は急に曇りはじめた。


山へ戻る頃には、

雪が強くなっていた。


御堂に着くころには

吹雪になっていた。


戸を開けると、

山神さまが奥に座している。


何も言わない。


ただ、外の風が

荒れている。


三日三晩、

吹雪はやまなかった。


ハルは静かに言う。


「……春になったら、

また来ると仰っていました」


返事はない。


風だけが、

強く唸る。


四日目の朝、

雪は止んだ。


御堂の前には、

膝の高さまで雪が積もっていた。


山は、

何事もなかったように

白く静まっていた。


山神さまは、

いつもより不機嫌だった。


そしてハルは、

その理由を聞かなかった。

お読みいただきありがとうございます。

次回は4月25日に、第11話「山神さまとハル 前編」を更新予定です。

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