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転生者な俺と勇者な私  作者: みなと
12/17

ルララの森

 俺と魔王は岩山に出来ていた洞窟から出て西に見えるルララの森と呼ばれる場所へと歩いて行った。

 生い茂る木々の中、昨晩の寒い雨の夜とは違いどこか蒸し暑くもある道をただ進む……


「あつい……」


 シャツの胸元で仰ぎながら魔王の後ろをついていく。

 割と長い時間歩きっぱなし……流石に疲労もかなり溜まっていく。

 元々俺は引きこもり……運動なんてそんなにしてるはずもなく……


「……そろそろ休憩するか」


 そんな俺を見てか魔王が休憩の提案をしてきてくれた。

 せっかくのご厚意だむげにするわけにはいかない。


「あっ、お願いします」


 俺達は道の横に倒れてる大木を椅子代わりして座る。


「お前あまり体力ないなぁ、もう少し運動した方がよいぞ?」


 呼吸が多少乱れてる俺に息一つ上がってない魔王が心配そうに言う。


 その時だった俺達2人の背後にある草むらがザワザワっと音を立てて揺れた。


 その音を聞いた俺達はすぐにその場を離れ、草むらから出てくるものを見た。


 出てきたのは鋭い爪や牙を持ってこちらを睨みつけている……狼のようだが俺が知っているのより体が一回りほど大きい獣だった。


「あれは魔狼、爪で獲物を切り裂き牙で獲物に喰らいつく凶暴な魔物だ」


 魔王が魔狼と呼んだ獣を見つめながら俺にその獣の特徴を語った。


「で、デカい……」


 ボスゴブリン程ではないが魔狼の大きな体に萎縮する。


「奴は凶暴だ……だが、あの魔物はお前で倒せ」


 萎縮している俺に魔王がいきなりアレを倒すよう命じた。


「えっ……?」


 いきなりの言葉に呆気に取られていると魔王がシュッと俺や魔狼とは離れた場所に移動していて俺と魔狼が一対一で見合う状態になったのだ。


「これを使え」


 後ろからそう聞こえ何かが投げ渡される感じがして俺は手を前に突き出した。

 そして俺の手にスポッと落ちて来たのは……例え革製の鞘に入ってても重さと感覚でわかる……小太刀だ。


「これ……って……」


 体や口を震わせて後ろにいる魔王に声をかける。

 しかしそんなのお構い無しに魔狼は近くにいる俺に襲いかかる。


「うわっっ!!」


 飛びかかってくる魔狼をなんとか避けて距離を取り小太刀を鞘から取り出そうとする。

 しかし刃が見えた瞬間、体がそれ以上動かなくなる。


 俺の前世?での死因でもある刃物……

 その恐怖が今もなお消えてはいない。


 ゴブリンの巣でリティアの剣を持っても動きが止まることがなかったのは剣に触れてたのがほんの数秒のだけなのとリティアが危険な目に遭っていて剣への恐怖よりも助けないと……という意思が強かったからだ。

 それに剣を本格的に使ったのは俺ではなくリティアだったのもある。


 でも今は違う……今回は俺1人の力でなんとかしなきゃいけなく、今現在刃物に対しての恐怖が出てしまいまともに戦える状態じゃない……


 なら魔法か……?

 俺にはもう一つの攻撃方法、魔法がある。

 俺の死因である刃物ではないなら恐怖で固まる事はないだろうと思い、魔狼に魔法をくらわせようと構える。


 手を前に突き出して集中して魔力を集めようとする……がしかし。


 その瞬間に脳裏によぎる2人の男の死に様。

 それは俺が魔法で死なせた人達だ。

 今もなお覚えているあの血の感触……魔法を使おうとした瞬間にそれを思い出して集まった魔力が霧散する……


 魔狼が俺への距離を詰める、俺は動けない。

 魔法を使った事で起きた悲劇を思い出した事で魔法が失敗しそのまま呆然と立ち尽くす。


 魔狼の鋭い爪と牙が光る、今からコレに体を裂かれるのかと思うと……怖いな。

 そんな恐怖から逃れるために目を閉じた瞬間だった。


「ここまでだな」


 そんな声が後ろから聞こえ、そのまま後ろから何かが俺を素通りし魔狼を切り裂いた。

 あまりにも素早い展開……どんな魔法だとかもよくわからなかった。


 唯一わかることと言えばその攻撃の主が俺の後ろにいた魔王だということだ。


 魔王は俺へ歩いて近づく。


「まだ……早かったか」


 その一言だけを発して移動を再開した。

 その間俺と魔王には会話がなかった……何を言えばいいのか……俺にはそれがわからなかった。


 けれどしばらく歩いたその先は……


「着いたぞ、アレが……」


 森を抜けた先にあったのは田舎を彷彿とさせるような小さな田畑や家屋以外の建物はなく……町と聞いていたがこれはどちらかというと村のようだった。


「アレがルーライオだ」

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