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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第十四章 推しへの愛なら負けません

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第136話

 情報を整理するために、二人きりにして欲しい。

 そうプセーマさんにお願いして、私とアドルフさんは別室に移動した。


 簡易結界を張って周囲から内部を探れないようにしつつ、二人してホッと一息つく。

 ……と言ってもアドルフさんはそこまで表情変化はないけど。

 作戦実行中と同じような厳しい表情をしているその姿にはかっこいいと見惚れると同時にこちらも背筋を正さなくちゃなって気分になる。


「どう思いますか」


「胡散臭いな」


「ですよねえ~……」


 プセーマさんの言葉は、一見、筋が通っているように思う。

 ヴァセーヌさん以外叱責できない、アエスさんという問題児の封印が解けかかっていて、その術を再度施すためには本人が抵抗できないよう準備を整えてから行わなければってのはわかった。


 そのために、彼女の目を逸らすって意味でもこの使節団に入れたってのもわかる。

 ヴァセーヌさんの傍なら安心だってね。


(でも何かが引っかかるんだよな)


 封印の術以外にも、拷問器具紛いの封印具があってそれは極力使いたくなかった。

 それもわかる。


 じゃあ何が引っかかるのか。


「プセーマさんは何がしたいんでしょうね」


「さあな」


 話を聞けたのがヴァセーヌさんではなく、プセーマさんだけ(・・)である以上、彼女の言葉からこちらはあれこれ推測して想像するしかない。

 しかしながら、全面的に信頼するには値しない状況だ。


 だってこの状況になったのは、ウーヌの人たちのせいだからな!

 いっくら目を逸らしたいからって、アドルフさんが死んでないのがおかしいとか言う人たちをよこしたことは絶対に許さないからな!!


「……俺の目には、アエスという猛獣を捕獲するために、俺たちを利用しているように思う」


「まあそれはありますよね。プセーマさんはもうあの封印具を使うことを前提で話していましたし」


 そう、一番の違和感はそれだ。

 アエスさんの魅了が云々はまあ危険だよね、わかるわかる。


 おそらく彼女は寝食を普通にしているだろうし、その間も魅了された人たちはゾンビ状態でウロウロしている……かどうかはもうちょっと観察しないとわからないけど、そこまで待ってらんないし……。


 そもそも魅了の力が判明して封印術が弱まっているってわかってんならそれ相応の対応してから他国に出せ!!


「あくまであの封印具も、私たちにつけさせようとしていましたね」


「ああ。捕獲して連れて来させるとかそういうこともできるだろうに、一方的に俺たち頼みだしな……それに、ヴァセーヌ殿に近寄らせなかったことも気になる」


「ええ。いくら眠っていると言っても、この異常事態にあそこまで寝込むほど具合が悪かったならとっくに騒ぎになって私たちの耳にも届いてよかったと思うんですよね……。それに、噂に聞くような責任感の強い方なら、もっと早くに私たちに接触していたのでは?」


 この町に来た段階で、アドルフさんと私が宿屋にいるってことは知っていたはずだ。

 彼らの使節団から出た怪我人の治療にあたったわけだしね。


 勿論休暇中の身なのでそれ以上の接触はしないでくれた……と好意的に捉えることはできるけど、今はそんな状況じゃないし。

 そもそもアエスさんがした予言(?)にアドルフさんが関連している以上、あちらさんが警戒していたとも思うけど……それはそれで非接触を貫く意味もわからない。


(体よく押しつけられて、もし万が一アエスさんが命を落とすことになってもウーヌ側は監督責任だけで逃れようとか……?)


 持て余しているって感じは確かにするんだけども……釈然としないな。


「どうしましょう」


「……封印具は一旦俺が預かる。使うかどうかはまた別問題だ。いずれにせよこの状況下で手をこまねいていても仕方がない」


「それはそう、ですね」


「あの女の位置を探り当て、あの女を捕縛する。意識を失わせた状態で何が起こるか、何ができるかを確認してから次を考えるしかないだろう。例の封印具がウーヌの神官が言うような効力があるかどうかすら定かでない状態で使うにはリスクが高すぎる」


「はい。……捕縛後、魂の状態を確認してみても?」


「俺の目の前でならかまわない。……対象を確認後、獣化して一気に駆け抜け、昏倒させる。その間はお前を安全な場所に一人にする形になる可能性があるが……」


「大丈夫です! 自分一人なら結界くらい張れますからね!!」


 言うて長時間は保たないんですけども。

 くっ、自分の弱者ッぷりが泣けるぜえ……!


(でもこれさえ乗り切れば……!)


 取り戻すぜ、私の新婚旅行!!

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