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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第十四章 推しへの愛なら負けません

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第133話

 町の人を救うためにも、そう言ってくるプセーマさんの様子は真剣そのものだ。

 操られているようには見えない……けれど、油断はできない。


(だって、女将さんや町の人たちも私たちに対してただ『離婚しろ』って言ってた時は、それ以外普通だったものね)


 さすがに見つけたら殺せだとかそういった極端な命令に関しては、理性や良心をぶっ壊しているってことであんなゾンビみたいになってしまうんではなかろうか。


 彼女を信頼するかしないか――はっきり言って信頼できる要素がゼロなので無理である。

 とはいえ、もしも本当に味方だとするならば、アエスさんの能力を探るには打って付けの人物であることに間違いはない。

 なんと言ってもウーヌの人なんだからね!!


(アドルフさんはどうするつもりなんだろ……?)


「……神に誓えるのか。町の人々を救いたいと」


「誓います」


「いいだろう。イリステラ、俺の傍を離れるな」


「はい!」


 ウーヌの神官さんたちにとってウーヌゥ神は唯一絶対だ。

 なんでそこまで信じられるんだろうって思う人がいるかもしれないけれど、私たちの国だって実態のない……なんて言ったらだめだけど、神鳥様を信仰しているから似たようなもんだと思う。

 私が聖女長様に聞いた話によると、ウーヌの神官たちの信仰は本当にすごいんだってさ。


 だから、少なくともプセーマさんが私たちを連れて行くのが罠にしろなんにしろ『町の人を助けたい』ということだけは本当のことなんだろう……ってアドルフさんは考えたんじゃなかろうか。


 ほら、私の推しってば面倒見がいいから!

 どうしようもなくなったら切り捨てるかもしれないけど、極力助けられる人は助けたいって思って行動しているからね!!


 どうよ、私の推し、最高に推せるだろ……?


「ではこちらへ」


 アドルフさんの判断に、プセーマさんがあからさまにホッとした様子を見せた。

 アエスさんのように強烈な感じはしないし、雰囲気的にはアニータ様みたいなおっとり美女系の雰囲気を漂わせる人なんだよなあ、彼女。

 こう、なんていうの?

 助けてあげたくなるような感じ!

 庇護欲とはまた違うんだよね、手助けしてあげたいなって思わせるものがあるんだよ。


 とはいえ、美人だからと簡単に信用したりなんかしないよ!


 そうして私たちは人々の視線をかいくぐって、彼女たちが宿泊している家の中に入ることができた。

 私の記憶によると、ウーヌの使節団のうち神官である三人と、護衛が二人、そして家主家族がいたはずだけど……しんと静まりかえっているではないか。


「……現在、この家にいる護衛とご家族は眠っていただいております」


 私の疑問を感じ取ったのか、プセーマさんが気まずそうに視線を逸らしながら言った。

 そうして私たちが案内されたのは、使節団長であるヴァセーヌさんが寝かされている部屋だったのだ。


「実は、アエスさんが暴走を始めたのはヴァセーヌ様が倒れたからでもあるのです」


 プセーマさんによると、怪我こそなかったものの高齢の域に差し掛かったヴァセーヌ様は今回の件で心労が祟ったのかこの町についてから程なくして寝込むようになってしまったのだそうだ。

 アエスさんが強行すべきと言って山崩れに遭い、多くの重軽傷者を出しただけではなく、この町の人々もまたこの悪天候のせいで生活難だというのに自分たちを受け入れたせいで負担が増えたことに対しての申し訳なさと、団長としての至らなさがヴァセーヌさんを追い詰めたのかもしれない。


 まあ実際、アエスさんが強行すべきと進言しても止めるべきだったとは思うし、重軽傷者が出たことも、受け入れ先の負担となったことも団長である彼の責任ではあると思う。

 とはいえアエスさんが〝予言の神子〟であることを知っているだろうことを考えれば、彼女がそう言うなら……って考えたとしてもおかしくはないよね。


(まあ実際はただプレイヤーとして世界の流れを知っているだけなので、細々とした、ゲームに関係ない部分については知らないからこんなことになったんだろうけど……)


 予言なんて大層なこと言わなかったら良かったのにね!


 いや……アエスさんの言動は子供のようで危ういものだ。

 もしかすれば彼女はこの世界に生きているというよりは、現実と理解せずゲームの中を覗いている(・・・・・)感覚なのかもしれない。


 それなら目の前にいる、生きた推しを見て『不幸じゃなきゃ推しじゃない』なんて言えないよね。

 いや、そういう嗜好の人がいることは理解しているけど、心の中で思うだけでわざわざ口に出して言ってくるか? って話。


「アエスさんは普段から突飛な発言も多く、しかし彼女がもたらす予言は世界の流れを見事に言い当てました。そのため彼女を注意できるのは、育ての親であるヴァセーヌ様だけだったのです。わたしは姉弟子として彼女を窘めることはありましたが、聞き入れてもらえず……力不足で申し訳ございません……」


 ヴァセーヌさんは心労から体調を崩したけれど、少し休めば治るからと言い張った結果寝たきりになってしまったんだそうだ。

 なんでも、これ以上町の人の迷惑になるわけにはいかないから……って逆に大問題起きてますよ! アエスさんの暴走を止められる人が倒れたらだめじゃないですかー!!

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