第30話 極北支部長ゾッド 前編(3)
いや、ちゃんと敵の方を見ろよ。
あの一撃で勝ちを確信するのはあまりに早計だぞ。
「なるほど…それなりの実力はあるみたいですね。安心しましたよ」
「?!」
威力の上がったレイのエネルギー波の直撃を受けたのに何とゾッドはピンピンしていた。
そして何よりその事にレイが一番ショックを受けていた。
「嘘…?」
「どうやら本気で攻撃しても君達なら耐えてくれそうだ…」
ニヤリと笑いながらそう言い放つゾッドのその雰囲気は狂気に満ちていた。
こいつ…やばいなんてもんじゃないぞ…(汗)。
さすがは極北支部長を任されるだけの事はあるな…。
多分実力は四天王につぐものがあるんだろう。
つまり…こいつを倒せれば四天王ともいい勝負が出来るはず。
倒さなければならない敵のボスは四天王よりもっと上の存在だ。
今後の事を考えればこいつくらい余裕で倒せるようにならないと話にならない…。
オレはそこまで考えてちょっと気が遠くなっていた。
ゾッドはレイに向けて手をかざす。
これはエネルギー弾攻撃だ!
すぐに無数のエネルギー弾がレイを襲う!
この攻撃、攻撃方法こそレイと同じだけどスピードが段違いに早い!
レイの攻撃ならなんとか避けられるオレだけど多分このゾッドの攻撃は避けられない…。
ズドドドドドッ!
ゾッドの攻撃はレイに全弾命中。
やはりレイも避けられなかったか…。
ゾッドの攻撃で生じた爆炎が消え去ると…レイは防御壁を展開させていて無事だった。
「…なるほど…やるじゃないの…」
そのレイの言葉が強がりなのはオレでもすぐに分かった。
この戦闘でゾッドは本気なんてまだ欠片も見せちゃあいない。
こんな強敵相手にどんな戦略が通じるって言うんだ…。
ダッ!
オレがゾッド相手の戦略を考えているといきなりレイが走り出した。
素早く動いてゾッドを牽制するつもりだろうか。
走りながらレイはエネルギー弾でゾッドを攻撃する。
ゾッドは必要最低限の動きでその攻撃を紙一重で避けている。
戦闘において明らかにゾッドの方がレイより格が上だ。
オレはこの戦闘の間ヤツに対する戦略を練っていた。
幸いな事にこの戦闘においてゾッドはオレに対して攻撃の意思は持っていない。
勿論単純に不意打ちを狙ってもあの実力なら簡単に返されてしまうだろう。
ゾッドの態度は暗にそれを誘っている雰囲気すらある。
考えろ…考えるんだ。
レイの体力が尽きる前に。
「さて、うまく避けてくださいね」
ゾッドはその手に光の槍を形成させていた。
今度はその光の槍をレイに向かって投げつける。
くんっ!
ゾッドの投げた光の槍がレイに迫る!
腕力で投げたはずのその槍はエネルギー弾と変わらないスピードを出していた!
けれど所詮は真っ直ぐなその弾道を見切れない程のレイではない。
「そんなの当たる訳…」
レイが余裕でその槍を避けたと思った瞬間、その槍の軌道が曲がる!
「嘘?!」
一瞬レイは動揺したがすぐに体勢を立て直して何とか最初の槍の攻撃の回避に成功する。
でも槍はすぐに軌道を修正してしつこくレイを狙う。




