第28話 極北支部の用心棒 前編(3)
「いや、でもね!合うか合わないかなんてやってみないと分からないじゃない!最後は長かったの!2年も続いたんだから!」
「お、おう…」
このレイの怒涛の勢いにオレは納得するしかなかった。
押しに弱いな、オレ…(汗)。
「何をしている!来るのか!来ないのか!」
レイの師匠を無視した形で話を続けてしまい、怒られてしまった。
しかしこんな展開になるなんて想像もしてなかったよ。
「あの、レイの師匠さん、どうしてこんなところに?悪夢帝の手先になったんですか?」
「我が名はシドウ!悪夢帝に与するつもりはないがこれも仕事故…頂いた分は働かねばならぬ!」
ここでレイがオレにこっそりと耳打ちをする。
「…シドウ師匠は腕は確かなんだけど常に金欠だったのよ…」
「ああ…なるほど…」
どうやら性格に問題のある達人っぽい…浪費癖が酷いのかな?
オレはレイにシドウの事について尋ねる。
「あの人結構強い?」
「勿論強いよ!私が会った中でも五本の指には入るね」
「なら!相手に不足なし!」
オレは気合を入れて構える。
構えるのはいつものようにまずは狼の型だ。
「ぬ!貴様!獣の型の者か!」
シドウも早速技を放つ構えを取る。
オレの技はシドウに見抜かれているのだろうか?
次第に辺りに緊張感が満ちて行く。
「レイは手を出すなよ!」
オレはそう言ってシドウに向かって駆け出す!
ここは先手必勝!
うおおおおおっ!
「狼牙虚空拳っ!」
すうっ。
衝撃波込みのオレの拳はシドウに紙一重で交わされる!
流石達人!動きに無駄がない!
「中々の拳筋!」
「お褒めに預かり光栄です!」
カチッ!
シドウが脇の刀に手を掛ける。
今度はシドウの居合の剣がオレを襲う!
シュバッ!
鋭い剣の軌跡をオレも何とか紙一重でかわす。
…と、思ったらかわしたようでかわしきれずオレは髪の毛を数cm切り刻まれた。
「流石、達人の剣技は鋭い!」
「この程度はまだ序の口ぞ!」
拳VS剣の戦い。
普通に考えて拳の方が不利に決まっている。
でもここで逆転を狙えるようでなければこの先の戦いは厳しい…はず。
オレはこの状況でも積極的に勝ちを取りに行った。
シュバッ!
シドウの居合は真空の波を作り出す。
つまりこちらも遠隔攻撃か可能と言う事。
打撃の衝撃波と切れ味の鋭い真空波。
この戦いはそう言う遠隔攻撃同士の攻防でもあった。
「オレ、今までの戦いで避けるのは結構得意になったんだよね」
「いつまでその減らず口を続けられるかな」
戦いは次第にエスカレートして行く。




