第18話 ゾンビの街 前編(2)
「きゃーっ!」
レイの叫び声が廃墟の街に響き渡った。
人のいない静かな廃墟の街は少しの音も大袈裟に反響させる。
オレはその叫び声に緊急のものを感じて急いで声の元に駆けつける。
「うおっ!」
オレがレイの元に駆け寄ると彼女が土から現れた何者かの腕に足を掴まれていた。
その何者かって…これ間違いなくゾンビだよね…。
夢の世界は何でもありの想像の世界…ゾンビがいても不思議じゃないな。
「何やってるの!早く何とかしてよ!」
急に異形の者に足を掴まれて気が動転してるレイ。
しょうがないなとオレがそいつに近付こうとしたところ…。
ぬぅーっ!
さっきまで腕だけの存在だったそいつが土から姿を表した。
それはホラー映画やゲームでお馴染みのゾンビの姿そのものだった。
そう、腐った死体だ。
「キャーキャーキャーッ!」
ドゴォン!
レイのエネルギー弾のヒットでゾンビはふっとばされる。
けれど彼女の足を掴んでいた手はしっかりと彼女の足を握ったまま…。
そう、ゾンビはレイの足を握っていた腕を残してふっとばされていたのだ。
「こ、これ取ってー!」
レイが五月蝿いのでオレはその腕を取って遠くに放り投げた。
怖がるレイの顔を見てオレはちょっと彼女を可愛いと思ってしまった。
おうふ…いかんいかん。
ぬぅーっ!
ぬぅーっ!
ぬぅーっ!
このやり取りをしている間にゾンビがどんどん蘇って来ていた。
いつの間にか辺りはすっかりゾンビ天国になっていた。
「うわーっ!」
カッ!
ドゴォォォォン!
レイが力を込めて前方のゾンビ軍団を強力なエネルギーの放射でなぎ払う。
映画風の谷のナウシカの巨神兵の攻撃のように一瞬で辺りは火の海に包まれる。
しかしゾンビは巨神兵の攻撃を物ともせずに突っ切る王蟲のようにレイの攻撃を物ともせずにオレ達の前に迫ってくる。
決定的な殲滅手段を持たないオレ達の攻撃なんて結局ゾンビにとっては焼け石に水だった。
「とりあえずここは押し通そう!攻撃は必要最低限にして早くこの街から出るんだ!」
そう言ってオレは後ろを振り返る。
アサウェルがちゃんと追い付いて来ているか確認するために。
振り向いた時、オレの視界にアサウェルが映ったので一応彼に確認を取る。
「アサウェルもそれでいい?」
「それしかないでしょうね」
アサウェルにも確認が取れてオレ達は走り出した。
しかしこの街の土地勘がないのは3人共一緒だった。
この世界の生き字引だと頼りにしていたアサウェルでさえこの街の事はハッキリとは知らなかった。
「何でアサウェルこの街の事知らないんだよー!」
オレは走りながら嘆いていた。




