第16話 破壊された街 前編
「ここは…?」
港街を出てオレ達が向かった先は廃墟となった街並みだった。
3人共その景色を呆然と眺めていた…そしてその景色に一番ショックを受けていたのはアサウェルのようだった。
今までこの世界のどんな出来事に遭遇しても平然と構えていたアサウェルが何故?
しばらく誰も言葉が出なかった中でついにアサウェルが重い口を開いた…。
「ここは…私の生まれ故郷です…」
「えっ…」
アサウェルがショックを受けていた理由が判明した。
一体この街に何があったのか…住人がもう一人もいない状態では分かりようがない。
もしこれが敵の攻撃によるものだとしたら…この先の試練がどれほどのものになるかは想像に難くなかった。
「ひどいね…」
「ありがとうございます」
レイがアサウェルを慰める。
現実を受け入れたアサウェルはもう普段通りの顔に戻っていた。
しかしいつこの街は破壊されたんだろう?
元の住人達は無事だろうか?
頭の中を疑問符だけがグルグルと巡っていく。
「私が最後にこの街に訪れたのはタダシともう一度一緒に悪夢帝を倒しに向かった時…たった3ヶ月前です」
「じゃあそれまでは…」
「ええ…ここはそれはもう立派な街でした…」
何があったかは分からないけれどこの街にはとんでもない事があったんだ…それだけはハッキリしている。
それはまるでオレ達の旅の未来の姿のような気がして正直震えが止まらなかった。
「ちょっと街を調べてみましょうか?街がこうなった原因が分かるかも?」
「あ、そうだ、スマホあるならまずネットで調べてみれば?」
「詳細は分かっています…当時それなりに話題になりましたから…実際に目にするまで信じたくはなかったですが…」
アサウェルはそう言ってスマホを取り出し当時のニュースを見せてくれた。
そこにはこの街がどうしてこうなったか詳細に報じられていた。
敵の力の誇示と今後の勢力拡大のダシに使われたというのが真相のようだ。
ちなみに住人はほとんどがこの大陸を捨て船で脱出したらしい。
何人かは…犠牲になっと記事には書いてある…。
「あれ?ここには敵の支部がある言って記事に…」
「支部って言ったって見渡す限りの廃墟じゃないか…」
「ああ…その後支部は移転したらしいです…移転後、この街は徹底的に破壊されました」
「それじゃあこの街にいても仕方ないのかな…」
オレがそう言うとアサウェルは一人街の中心部に向けて歩き始めた。
どうしたんだろう?破壊されても故郷だから愛着があるのだろうか?
思い出の場所を確認するため…とか?
オレ達は戸惑いながらアサウェルの後をついていくしかなかった。
見渡すかぎり破壊しつくされた街並みを見ながらオレは紛争地帯の景色を思い出していた。
ここではもう破壊行為は終了していて瓦礫が続いているばかりだけれど…。
そう言う意味では巨大地震に襲われた街並みの方がイメージとしては近いのかも知れない。




