第15話 断絶の港(2)
しかし遠隔攻撃が出来る仲間が出来たのはいいけどこれでますますオレの存在価値がなくなったって言うね…(汗)。
これからはレイとアサウェルの二人が戦っているのを生暖かく見守る係になろうかなぁ。
つまりアレだ!水戸黄門の八兵衛的ポジションってやつ?もしくはバトル時における実況担当!
うん、物語においてそう言うキャラって必要不可欠だよね!
「ヒロトももっと鍛えて早く実践で使えるようになってね!」
レイはそう言いながらオレをさげずむ様な顔で見ている。
うん…どうやらそう言う手抜きは許されそうにないね…(汗)。
「そうだ…レイってオレと同じ人間なんだよね?現実じゃどこに住んでるの?」
「はぁ?今その話題必要?あなたのお父さんが生死不明ってこの非常時に?」
オレはちょっと話題を変えようと思っただけなのに…どうやら彼女の頭の中はオレの父さんの事で頭がいっぱいみたいだ。
これは父さんを見つけるまで彼女と余分な話は出来そうにないな…。
向こう岸へと渡るフェリー乗り場でアサウェルが改まって俺たちに聞いた。
何度も念を押さなくてもオレ達の気持ちはもう知っているはずだろうに。
「もう心の準備は出来ていますか?」
「準備も何も覚悟はもうとっくに出来てるわ」
「オレも…構わない」
「よし…それじゃあ船に乗り込みましょう」
オレ達は断絶の港と称されるその港から船に乗って敵の支配下の大陸へと乗り込んでいく。
海は恐ろしいほど静かでそれはまるで嵐の前の静けさのようだった。
この先は何が起こるのか全く予想がつかない。
けれどようやく本当に父さんの手がかりが見つかる気もしていた。
最悪の展開も予想出来るけれど何も分からないよりははるかにマシだ。
さすがに敵の本拠地へと向かう船だけあって船内の客も船員も曰く有りげな人ばかりに見えた。
けれどここで暴れても何の得にもならない事をみんな知っているみたいで襲ってくる輩は誰一人いなかった。
オレ達はそれでも警戒しながら船が無事に向こう岸につくのを待っていた。
不安定な空模様は視界をひどく悪くさせる。
それはまるでアニメとかで敵の本拠地に向かう有り触れた演出のようだった。
けれどこれはこの時期特有の天候のせいで普段は青空が見える普通の海なんだそうだ。
今のこの景色を見てもとても信じられないけどね。
恐ろしく何も起こらないまま、船は無事に航海を終える。
見えてきたその大陸は見た目は余りそれまでの世界と変わらないように見えた。
考えてみればフェリーが往復するんだからそこまで治安が悪いと言う事もないのかも。
オレ達は船を降りた。
此処から先は何が待ち構えているのか…オレの心は不安しかなかった。
港街はそれなりにちゃんとした街になっていて少し早いけど今日はここの宿に泊まる事になった。
「最初に忠告しておきますが…安全なのはこの街が最後だと思った方がいいですね」
部屋に入った途端、アサウェルがいきなり怖い事を言った。
そりゃ…そのくらいの覚悟はしてきたけど。
ちなみにレイは力を存分に振るえるのが楽しみらしい…何て強いメンタルなんだ…。




