第12話 植物の国(5)
スッ!
その攻撃を今度はアサウェルがあっさりかわす。
戦いは膠着状態になりそうにすら見えた。
「私は事前に逃がされました…その後の事は何も知らないのです!」
そう言いつつ、アサウェルの拳がクニルを捉える!
ビシュッ!
その攻撃をかわしながらクニルは不敵に笑う。
「それは不憫な事で…タダシを探しているなら無駄な努力だぞ」
クニルはそう言いながらアサウェルに必殺の一撃を打ち込んだ。
ガシッ!
そのクニルの必殺の拳を受け軽く受け止めるアサウェル。
もしかしてアサウェルは…。
「クニル…君が私の知りたい事を何一つ知らない事が今分かりました」
「だから…?」
アサウェルの言葉にニヤリと笑い応戦するクニル。
この戦い、二人のどちらも一歩も引かない。
二人の瞳から強烈な火花が散る!
実力者同士の戦いは長期化するが…この戦いの場合は?
ドガァッ!
オレがようやく後数mのところまで登り詰めようとした頃…急に植物が収縮を始めた。
これってつまり…決着がついたって事だよね。
そんな…ここまで登りついてこの仕打ちはないよ…アサウェルもちゃんと空気読んでよ…(泣)。
シュルシュルシュル…。
恐ろしい勢いで植物が元に戻ろうとしていた。
そして驚くほど短時間で植物は元の大きさに変わり…更に人間の姿に戻った。
オレ達が悪戦苦闘していた植物に姿を変えられていたのはこの国の国王だった。
ドサッ!
アサウェルに倒されたクニルが気絶している。
此処から先はこの国の警察に任せる事になった。
「何か収穫あった?」
オレはアサウェルに質問した。
アサウェルは少し考え事をしていたようだがすぐに振り返って答えた。
「いえ…有力な情報を掴むにはもっと先へ進むしかないと言う事は分かりましたが」
「そっか…」
そう答えるアサウェルの淋しそうな顔を見たらオレはこれ以上の言葉が出なかった。
きっと色々あったんだろうなと勝手に想像するのみだった。
うん、オレはちゃんと空気を読むからね。
アサウェルがクニルを倒した事で街は元の状態に戻っていった。
植物にされた住人達もみんな元通り。
いつの間にか目の前には緑に溢れた美しい街並みが広がっていた。
「これが本来のこの国の景観だったんだ…綺麗だね」
「ああ…そして此処から先はもっと厳しくなります」
アサウェルのこの言葉にオレは緊張を覚えた。
オレはまだまだ未熟だ…今回もアサウェルに追いつけなかった。
もっともっと鍛えてせめてアサウェルの足手まといにはならないようにしないと…。
境界の門が開く。
東部エリアの旅はここで終わり未知の北部エリアへとオレたちは足を踏み入れていく。




