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希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます  作者: Karamimi


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8/11

第8話:今日は色々な事が起こります

 その時だった。


「止めないか!ナタリー」


 その手を止めたのは、この国の王太子殿下でナタリー様の婚約者、ハドソン殿下だ。


「ハドソン様、どうして止めるのですか?この女が私に歯向かったらいけないのです」


「だからって、暴力は良くない。とにかく落ち着くんだ」


「なによ、ハドソン様まであの女を庇って!」



 フン!と言わんばかりに、席に付いたナタリー様。すると王太子殿下が私たちの方をクルリと向いた。もしかして、文句を言われるのかしら?そう思ったのだが…


「ナタリーの暴言、本当に申し訳なかった。どうか許してやって欲しい…」


 そう言うと、深々と頭を下げた王太子殿下。


「殿下、どうか頭をお上げください。私は平気ですので」


 必死にそう伝えた。ただ、エマはまだ不満な様で、ジト目で王太子殿下を睨んでいた。もう、エマったら…


 そのタイミングで、先生がやって来たので急いで席に付く。そこには、1年前から留学してきている、メルソニア王国の王太子殿下、クラーク殿下も一緒にいる。一体どうしたのかしら?


「今日は皆さんに大切なお知らせがあります。メルソニア王国から留学に来ているクラーク殿下ですが、父上でもある国王陛下の体調が思わしくないとの事で、急遽帰国する事になりました」


 え…クラーク殿下が?そういえば少し前、父親でもある陛下の調子があまり良くないと言っていたけれど、まさか帰国するなんて…


「先ほど先生からも話があったように、私は明日急遽帰国する事になりました。本来なら皆と一緒に卒業する予定だったのですが、非情に残念です。それでも私はこの1年、皆と学べたことを誇りに思います。私が悩んでいる時、手を差し伸べてくれた友人。隣国の王太子という身分を気にせず気軽に話してくれた皆には、本当に感謝しています。ありがとうございました」


 そう言うと、頭を下げるクラーク殿下。


「今日1日しかありませんが、クラーク殿下との思い出をたくさん作ってください。それでは、授業を始めます」


 いつも通り授業が始まった。それにしてもクラーク殿下が国に帰るだなんて…


 気さくで誰にでも優しいクラーク殿下、私にも良くしてくれた。国に残してきた婚約者に贈り物をするため、一緒に街にアクセサリーを買いに行った事もあったな。私が落ち込んでいた時、よく慰めてくれたクラーク殿下が、国に帰ってしまうのか…


 なんだか寂しいわ…


 そんな事を考えている間に、授業が終わった。


「ルーナ嬢、よかった、今日は来てくれたんだね。聞いたよ、君、婚約破棄をしたのだってね…ずっと学院に来ないから、心配したよ」


 私の元にやってきてくれたのは、クラーク殿下だ。


「殿下、心配をおかけしてごめんなさい。でも、もう大丈夫ですわ。それより、国に帰られるのですね…」


「ああ、急遽決まったんだ。君にはずっと相談に乗ってもらっていたから、どうしてもお礼と挨拶がしたくて。ルーナ嬢、今まで本当にありがとう」


「こちらこそ、色々と相談に乗って下さり、ありがとうございます。国王陛下の容態は気になるところですが、それでもやっと婚約者の方と会えるのですね」


「ああ、君には婚約者の事で色々と世話になったね。国に戻ったら、すぐに国王就任が行われる予定だ。それと同時に、婚約者との結婚式の準備も進めて行こうと思っている。と言っても、結婚は早くても1年半後だけれどね。それでも僕をずっと待ち続けてくれた婚約者には、感謝しかないよ。そうだ、ルーナ嬢、もし君さえよければ、僕たちの結婚式に参加してもらえるだろうか?」


「ええ、もちろんですわ。楽しみにしておりますね。どうか婚約者の方と、末永くお幸せに」


 離れ離れだったクラーク殿下と婚約者の方がついに結ばれるのね。クラーク殿下がこの国を去るのは寂しいけれど、それは仕方ない事。しっかり見送ってあげないと。


「クラーク殿下、私は招待してくれないのですか?ルーナと一緒に、婚約者の女性のアクセサリー選びを手伝ったのに」


 頬を膨らませて抗議をするのは、エマだ。


「エマ嬢、申し訳ない。もちろん、君も招待するよ。ぜひ僕たちの結婚式に来てくれ」


「もちろんですわ」


 嬉しそうにエマがほほ笑んだ。


 そしてこの日は、急遽クラーク殿下のお別れ会が行われた。ほとんどの生徒が参加したが、なぜかナタリー様と取り巻きは、気分が悪いと帰って行った。


「クラーク殿下、ナタリーが色々と申し訳なかった」


 なぜかハドソン殿下が、クラーク殿下に頭を下げている。


 “私は大丈夫だよ。でもあの子、少し我が儘すぎないかい?王妃になる様な人物は、常に物事を平等に評価しないといけないんだ。もちろん、冷静さも必要だ。彼女にはその器がない…この国の為にも、考えた方がいいんじゃないかい?”


 かなり小声でハドソン殿下に伝えているが、地獄耳の私には聞こえてしまった。他国の王太子殿下、しかも優しいクラーク殿下があんな事を言うなんて。確かにナタリー様はあまり王妃様には向いていないわよね。


 今の王妃様は、穏やかでとても慈悲深い人だし。かたやナタリー様は…て、もうそんな事を考えるのは止めよう。


 触らぬ神に祟りなしね…

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