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希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます  作者: Karamimi


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7/11

第7話:皆が心配してくれていた様です

 しばらく進むと、貴族学院が見えてきた。なんだか緊張してきたわ、どんな顔してエヴァン様に会えば…て、別に向こうはきっと私を無視してくるだろうから、私も無視すればいいのよね…


 そう、この1年間、ずっと無視され続けてきたのだ。特に今までと何ら変わる事はない。そう思えば、心も随分と軽くなる。


 そして、ゆっくりと馬車が停まった。私たちが婚約破棄したことは、学院中に知れ渡っているだろう。きっと皆、好奇な目で見てくるわ。でも、大丈夫。私には、誰よりも心配してくれる家族がいるのですもの。そう思い、ゆっくり深呼吸をした。


 そして、馬車から降りる。


 すると!


「ルーナ、おはよう。よかった、やっと学院に来たのね」


 ストロベリーブロンドの髪を腰まで伸ばし、水色の瞳をした女性が私に飛びついて来た。そう、親友で幼馴染のエマだ。


「エマ、おはよう、心配かけてごめんね。私、お義姉様と一緒に、ちょっと領地に行っていたのよ。ほらこれ、お土産よ」


「ええ、聞いたわ。それで、領地では少しはゆっくりできた?」


「ええ、とても楽しかったのよ。お義姉様がね、色々と連れてってくれて。本当に私、完全に吹っ切ったのだから」


「それは良かったわ。それにしてもあの男、ついに婚約破棄を言い渡したのね。でもよかったわ、あんな男と一緒にいても、ルーナは幸せに何てなれないもの。そうでしょう?ルーナ」


 私の横で、エマが目を吊り上げて怒っている。


「私の為に怒ってくれてありがとう、エマ。でもきっと、私が何かしてしまったのよ。だから、エヴァン様をあまり悪く言わないでね」


「もう、あなたは。あの男が全面的に悪いに決まっているじゃない。さあ、早く教室に行きましょう。皆あなたを待っているわ。ただ…」


 言葉を詰まらせるエマ。


「私は大丈夫よ。さあ、行きましょう」


 エマと手を繋いで、教室に向かう。すると


「ルーナ嬢、よかった。今日は学校に来たんだね。君とエヴァンの婚約破棄が発表されてから、ずっと学院に来ていなかったから心配していたんだよ。可哀そうに、一方的に傷つけられて…」


 私達の元にやって来たのは、この国の第二王子、アイザック殿下だ。殿下は私より、1学年下の2年生。


「アイザック殿下、私の心配をして下さり、ありがとうございます。実は1週間ほど領地で休息をとっておりまして。お陰ですっかり元気になりましたわ」


「侯爵に聞いたよ。そうそう、僕も君の婚約者候補に立候補したらね。貴族学院を卒業した後、僕は家臣に降り、公爵の爵位を賜る予定なんだ。だから僕と結婚すれば、君も公爵夫人だよ。ぜひ僕との結婚、検討しておいてね」


 私に笑顔で伝えたアイザック殿下は、そのまま去って行った。まさかアイザック殿下からそんな事を言われるなんて…


「アイザック殿下もルーナに気があったのね。他にもたくさんの貴族が、あなたを狙っているわよ。でも、半年間は婚約を結べないのよね…あなた、ある意味この半年は大変かもしれないわ…」


 なぜかエマが遠い目をしている。


「ちょっと、変な事を言わないでよ。きっとアイザック殿下は、婚約破棄された私を慰めるために言ってくださっただけよ。そうよ、そうに違いないわ…」


「そうかしら…まあいいわ。早く教室に行きましょう」



 気を取り直して教室に入ると、沢山の令嬢や令息が私の元に飛んできてくれた。


「ルーナ、よかったわ。1週間も休むのだもの、心配したのよ」


「ルーナ嬢、元気そうでよかったよ。そうだ、今度一緒に、街に美味しいスイーツを食べに行こう。甘いものを食べると、元気が出ると言うだろう」


「おい、お前、抜けがけするな。ルーナ嬢、僕と行こうよ。そうだ、我が家に有名なパティシエを呼んで、スイーツパーティーなんてどうだい?きっと楽しいよ」


 なぜか令息たちが競い合う様にして、色々と誘ってくれる。


「皆、私の為にどうもありがとう。でも私、意外と大丈夫なのよ。そうだわ、実は1週間ほど、領地に行っていたの。これ、みんなにお土産よ」


 せっかくなので、皆にお土産を配る。その時だった。


「ルーナ様、あなたついにエヴァン様から婚約破棄をされたのですってね。あなた、ちょっと調子に乗っていたものね。いい気味だわ!」


 私の元にやって来たのは、ヴィノーデル公爵家のご令嬢、ナタリー様だ。王太子殿下の婚約者なのだが、なぜか私の事を嫌っており、事あるごとにこうやって嫌味を言われるのだ。正直ナタリー様が苦手でたまらないので、愛想笑いをしてやり過ごしている。


 周りの皆も、若干引いている。今回も、適当に愛想笑いをして過ごそうとしたのだが…


「ナタリー様、どうしてそんな酷い事をおっしゃるのですか?ルーナはとても傷ついているのですよ。それなのにいい気味だなんて、よくもそんな酷い事が言えますね。ルーナに謝ってください」


 なんと、エマがナタリー様に文句を言ったのだ。


「エマ、私は大丈夫よ」


「何が大丈夫なの?こんな酷い事を言われて。少なくとも、私は大丈夫じゃないわ。親友に暴言を吐かれたのよ!」


 目に涙をいっぱい溜め、必死に訴えるエマ。その優しさに、私まで目頭が熱くなった。


「ちょっと、あなた!侯爵令嬢の分際で、よくも私に文句を言ったわね!私は次期王妃になるのよ!」


 顔を真っ赤にして怒るナタリー様。さらに怒りが抑えられないナタリー様は、エマを扇子で殴ろうとしたのだ。

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