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希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます  作者: Karamimi


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第3話:領地で休息します

 その日はずっとお母様が傍にいてくれた。お義姉様も私の傍にいてくれようとしたのだが、何分まだ子供が小さいため、お母様が傍にいてくれるという事で話はまとまった。


 ちなみにお兄様とお義姉様は2年前に結婚し、侯爵家の隣に新しい屋敷を建てて、1歳になる甥、ロードと3人でそこに住んでいる。


 まだロードに手がかかるのに、私まで心配をかけてしまい、本当に申し訳ない事をしてしまった。


「お母様、もう私は大丈夫ですわ。今日はありがとうございます。お義姉様にも、お礼を言わないと」


 夕食後、お母様と一緒に居間でお茶をした後、そのまま部屋に戻る事にした。


「ルーナ、本当に大丈夫?今日はお母様が一緒に寝てあげるわ!」


 そう言ってお母様が私の後を付いてくる。


「お母様、私はもう15歳、後1年もすれば貴族学院を卒業するのです。ですから、1人で寝られますわ」


 さすがに15歳にもなって、お母様と寝るのはね…

 それにこの国では、16~20歳で結婚するのが一般的だ。後1年で、私も結婚できる歳になるのだ。でも…もう私には、婚約者はいないのよね…


 そう思ったら、また涙が込みあげてきた。ダメよ、今泣いたらまたお母様が心配するわ。


 そんな思いから、必死に笑顔を作る。


「それではお母様、おやすみなさい」


 そう伝え、急いで部屋に戻ってきた。部屋に着いた瞬間、一気に涙が溢れ出す。そんな私を、メイドたちが辛そうに見つめていた。


 私、メイドたちにまで心配をかけて。とにかく、いつまでも泣いていては仕方がない。洗面台で顔を洗うと、メイドたちに手伝ってもらい、湯あみを済ませ、ベッドに入った。


 ふと今日の事を考える。

 私、本当にエヴァン様と婚約破棄したのよね…エヴァン様が私に冷たくなってから、覚悟はしていた。それでも、心のどこかで昔の優しいエヴァン様に戻ってくれるのでは!と、期待していた自分もいた。でも今日婚約破棄したことで、その淡い期待も消えてしまったのだ。


 気が付くと、また涙が溢れ出ていた。結局その日は、泣きながら眠りについたのであった。



 翌日、目がボンボンに腫れている顔を見て絶句する。幸い今日は貴族学院をお休みする予定だし、まあいいか…


 それでもメイドたちが、私の目を必死に冷やしてくれたお陰で、なんとかそれなりの顔になった。


 少し遅くなってしまったが、朝食を食べる。ちょうど食べ終わった頃、お義姉様がロードを連れてやってきた。


「ルーナちゃん、今からお出掛けしましょう。屋敷にずっといては、気が滅入ってしまうわ」


 満面の笑みを浮かべ、そう伝えてくれたお義姉様。


「ありがとうございます。でも、私は…」


「つべこべ言わずに、行きましょう。さあ、馬車に乗って」


 お義姉様に腕を引っ張られ、馬車に押し込められる。すると、なぜかお母様も乗って待っていた。私が乗り込むと、すかさずお義姉様も乗り込む。ゆっくり走り出す馬車。


「ルーナちゃん、見て。今日はとてもいい天気よ。やっぱり天気のいい日は外に出ないとね。ほら、ロードも喜んでいるわ」


 私の膝の上にロードを座らせる。可愛いわね。つい笑みがこぼれた。


「お義姉様、お気遣いありがとうございます。それで今日はどちらに行くのですか?」


「内緒!でも、とても素敵なところよ。実は私も行くのは初めてなの」


 嬉しそうに微笑むお義姉様。しばらく進むと、王都から出てしまった。一体どこに向かうのかしら?途中休憩を挟みながら、馬車はどんどん進んでいく。


「お義姉様、お母様、本当にどこに行くのですか?もう辺りは真っ暗ですわよ」


 朝からずっと馬車に乗りっぱなしで、もう夜だ。一体どこに向かおうと言うのかしら?


「もうすぐよ。ほら、見えてきた」


 お母様が指さす先には、立派なお屋敷が。そしてそのお屋敷に入って行く。ここは一体…


「さあ、着いたわよ。ロードも長旅、疲れたでしょう。おばあ様が抱っこしてあげるわ。さあ、行きましょう」


「ほら、ルーナちゃんも」


 お母様とお義姉様に連れられ、馬車から降り屋敷に入る。すると」


「「「ようこそいらっしゃいました。大奥様、若奥様、ルーナお嬢様、ロードお坊ちゃま」」」」


 沢山の使用人が出迎えてくれた。


「皆、出迎えありがとう。こっちは変わりない?」


「はい、特に問題はございません。ルーナお嬢様は随分と大きくなられましたね。私が最後にお会いしたのは、3歳くらいでした。それから、若奥様、ロードお坊ちゃま、初めまして。よくいらして下さいました。あの甘えん坊のロイドお坊ちゃまに、こんなにも素敵な奥様とお坊ちゃまがいらっしゃるなんて…」


 初老の男性が涙ぐみながら嬉しそうにこちらを見ている。この人、どこかで見た事がある様な…そうだわ!


「ここはまさか、侯爵家の領地なのですか?」


「あら、ルーナ。あなた今頃気が付いたの?そうよ、今のあなたには休息が必要でしょう。それでね、急遽、女性陣(+ロード)だけで領地に来ることになったの。ミシェルちゃんもロードも、まだ一度も領地に来たことがなかったでしょう」


 お母様がにっこりと笑って、そう言った。


「私ね、ずっと領地に来たいと思っていたの。侯爵家の領地は海があるでしょう。家の実家の領地は山だから。海って素敵じゃない!ルーナちゃん、せっかく領地に来たのだから、海を目いっぱい楽しみましょう。ロイドったら、“1週間したら帰ってくる事”なんて言うのよ。酷いと思わない?」


 お義姉様が頬を膨らませ、怒っている。


「私の為に、お義姉様やロードまで来てくださったのですね。ありがとうございます。そうですね、目いっぱい楽しみましょう」


 まさか私の為に、領地まで付いて来てくれるなんて…

 お義姉様の優しさが嬉しくて、つい頬が緩む。せっかく領地に来たのだから、目いっぱい楽しまないと。

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