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希望通り婚約破棄したのになぜか元婚約者が言い寄って来ます  作者: Karamimi


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第21話:エヴァン様とハドソン殿下が助けてくれました

 とっさにエマとナタリー様の間に割って入った。ただ、そのまま扇子が振り下ろされることはなかった。


「ハドソン様…どうして…どうしてこの女を庇うの?」


 そう、ハドソン殿下が扇子を持ったナタリー様の手を、怖い顔をして握っていたのだ。


「ナタリー、君はどこまで問題を起こせば気が済むんだ。そもそも婚約破棄はエヴァンから言い渡した事だ。それなのにあの様な発言、次期王妃としては有るまじきものだぞ!僕は前にも忠告したはずだ。このままでは君は…」


「お言葉ですがハドソン様。あの女は私を侮辱するような発言をしたのですよ!侯爵令嬢の分際で、公爵令嬢の私に意見するなんて…」


「その発想がいけないんだ!王妃とは、自分の身分を振りまかずに、誰にでも平等に優しく対応する事が求められると、王妃教育でも習っただろう?とにかくこれ以上好き勝手するなら、僕にも考えがあるから」


「どうしてよ、どうしてそんな酷い事をおっしゃるの?そんなにあの女がいいの?あなた…ハドソン様にも手を出すなんて…」


 訳の分からない事を呟くナタリー様。すると私をギロリと睨むと、再び扇子を持って襲い掛かって来た。が…


 今度はエヴァン様が私とナタリー様の間に入った。そして、バシっという音が教室中に響き渡る。扇子はエヴァン様の肩に命中した。きっとかなり痛いだろう。


「エヴァン様、大丈夫ですか?」


「ああ、僕は大丈夫だよ。ただ、ナタリー嬢。君、公爵令息でもある僕を扇子で殴ったね。公爵家は父上から正式に抗議させてもらうよ。それから、エマ嬢が言っていたことは本当だろ?君が僕にルーナとクラーク殿下が愛し合っていると言う嘘の情報を流して、僕たちの仲を引き裂いた。ただ…僕は大切なルーナを信用せず、君の様な令嬢を信じた愚か者だ。それに君が僕を騙したと言う証拠もない。だから…この件はもう水に流す。でも、これ以上僕の大切なルーナを傷つけようとしたら、さすがに黙っていないからね。これは警告だ!」


 いつも穏やかなエヴァン様が、珍しく怖い顔をしてナタリー様に迫っている。


「な…何よ!私は次期王妃なのよ。現国王の弟の息子より、私の方が身分は上なのだからね!第一、私の嘘に簡単に騙される様な頭の弱いあなたにそんな事を言われても、怖く何てないわ。本当にどいつもこいつも!」


 顔を真っ赤にして扇子を地面に叩きつけると、そのままガニ股で教室から出て行った。ナタリー様、いくら何でもあなた様は令嬢です。ガニ股はよろしくないのでは…


 そう思ったが、もちろん言える訳がない。おっといけない、エヴァン様にお礼を言わないと。


「あの…エヴァン様、私の為に…」


「ルーナ、僕が教室に来るのが遅れてしまったため、君に嫌な思いをさせてしまって本当に申し訳なかった。皆も聞いて欲しい。僕はナタリー嬢に騙されて、ルーナと婚約破棄をしてしまった。もう既に皆も分かっているとは思うが、ルーナには全く非はない。それから、ナタリー嬢が訳の分からない難癖をつけてルーナに暴言を吐いているが、根も葉もない嘘だ。この教室には彼女の嘘を信じてしまう僕の様な愚かな人間はいないだろうが、くれぐれも彼女の難癖を信じないで欲しい。どうか頼む」


 そう言うと、エヴァン様が頭を下げたのだ。エヴァン様は本来、物事を冷静に判断できる非常に優秀な人物だ。周りからの評判も非常にいい。それなのにナタリー様に騙された事、さらに自分が愚かだったと皆に公表するなんて。


 でも、だからと言ってエヴァン様と婚約したいとは思わないけれど…それでもやはり、エヴァン様は人として素晴らしい人だとは思う。


 さらにハドソン殿下までも


「バレッスレィー嬢、ヴィノーデル嬢、本当にナタリーが申し訳ない。僕からも今日の出来事を父上と公爵家には報告させてもらう。二度とこのような事がない様にするから」


 そう言って頭を下げたのだ。


「殿下、どうか頭をあげて…」


「殿下、さすがにナタリー様のルーナに対する嫌がらせは目に余ります。私たちはナタリー様より身分が低く、言い返せない事をいい事に、彼女はやりたい放題。さすがにこれ以上私達も黙ってはいられませんわ!」


 ちょっとエマ、いくらナタリー様が酷い令嬢でも、そんな事を殿下に言わなくても!これは不敬罪で捕まらないかしら?あっ、でも殿下はお優しいからきっと、そんな事で捕まえたりはしないだろうが…


「君の言う通りだ…他の貴族からナタリーの件でかなり苦情が来ているのは確かだ。それもこれも、婚約者でもある僕の責任でもある。本当に申し訳ない」


 エマに頭を下げるハドソン殿下。


「もうよろしいですわ。ただ、ルーナは私の大切な友人です。これ以上理不尽な事をナタリー様がしない様に、どうかよろしくお願いします」


 そう言うと、ハドソン殿下に頭を下げるエマ。いつもの優しいエマに戻ったわ。


 周りの貴族たちも、温かい目で見守ってくれている。どうか今回の件をきっかけに、ナタリー様の私への嫌がらせが無くなったら嬉しいのだが…

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