表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/101

効きすぎる

ノクシアは、ゆっくりとしゃがみ込む。




小瓶を取り出し、光る涙を一滴──




そっと指先に乗せる。




ノクシア

「よく見ておきな」




みちるたちは息をひそめる。




ノクシアは、エモラの花へと手を伸ばす。




イネリア

「素手で平気なのかだべ……?」




ノクシアは軽く肩をすくめる。




ノクシア

「慣れだよ」




ノクシア

「ただし──」




一瞬だけ、視線が鋭くなる。




ノクシア

「近づきすぎるんじゃないよ」





触れた瞬間──




花の輪郭が、ふっと揺らぐ。




ディジル

「おい、消えるぞ……!」




その瞬間。




ぽたり、と。




涙が花びらに触れる。




ふわり、と揺らいでいた花が、ぴたりと止まる。




みちる

「……止まった」




フワン

「これが“固定”……」




ノクシア

「今だよ」




迷いなく、花を摘み取る。




霞むことなく、確かな形を保ったまま。




ノクシア

「……ひとつ」




ポロル

「すごいロル……!」



みちる

「きれい……」



ポロル

「触ってみたいロル〜♪」



ディジル

「おい、やめ──」




あっ──




ポロルの小さな手が、花へと伸びる。



指先が、触れた瞬間。



ふわっ、と。



花が揺れる。




ポロル

「……ロル?」




次の瞬間。




胸の奥が、じんわりと広がる。




ポロル

「……きれいロル……」




その言葉が、少しずつ変わっていく。




ポロル

「すごいロル……すごいロル……!」




葉っぱの羽が、ぶるぶると震える。




みちる

「ポロル……?」




ポロル

「もっと見たいロル……!」




ディジル

「おい、離れろ!」




ポロル

「もっと……もっと……!」




声が高くなる。



感情が、どんどん膨らんでいく。



ポロル

「ロル……ロル……っ!」



楽しい。

嬉しい。

きれい。




その全部が、あふれ出す。




ノクシアの目が、すっと細まる。




ノクシア

「……来たねぇ」




イネリア

「え、なにがだべ!?」




ポロル

「ロルルル……っ!」




笑いが混じる。




でもそれは、さっきと違う。




ポロル

「……っ、ロル……!」




止まらない。



羽がしおれたり、また張ったり、落ち着かない。




フワン

「感情が、増幅されています……!」


ディジル

「だから言ったろ……!」




ポロルは花に手を伸ばし続ける。




ノクシアは、ゆっくりと杖を持ち上げる。




ノクシア

「……加減を知らないと、こうなる」




その声は、静かだった。




ノクシア

「さて……どうするかねぇ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ