表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/105

花を探して

ノクシアは静かに一歩前に出る。




懐から、小さな瓶を取り出した。




ノクシア

「……そのままでいいよ」




ポロル

「ロル……?」




笑いながら、ぽろぽろとこぼれる涙。




ノクシアは瓶をそっと差し出し──



一粒、また一粒と受け止めていく。




小瓶の中で、涙がかすかに光を帯びる。




ノクシア

「……これでいい」




瓶のふたを閉める。




ポロル

「ロル……ロル……っ」




まだ少し笑いの余韻を残している。




みちる

「すごい……ちゃんと取れた!」


イネリア

「コッチャンすごいだべ!」


フワン

「コッチャン、やりますね」


ディジル

「まさか成功するとはな……」



コッチャンは胸を張る。



コッチャン

「笑いの勝利だぴん☆」




ポロルは涙をぬぐいながら、首をかしげる。




ポロル

「……ポロルの涙なんて、何に使うロル?」




ノクシア

「エモラの花を採取するのに使うのさ」



ポロル

「エモラの花?」



ノクシア

「あぁ。そのままだと、霞になっちまうからね」



ぱっと目を輝かせる。



ポロル

「見たいロルー♪」



コッチャン

「俺ぴっぴも☆」




ディジル

「……まあ、来るだろうな」




ノクシアはくるりと背を向ける。




ノクシア

「じゃあ行くよ」




杖を軽く鳴らす。




コツン、と乾いた音が森に響く。




──さらに奥へ。




木々は高くなり、光は細く差し込むだけになる。




空気はひんやりと重く、




やがて──




白い霧が、ゆっくりと流れ始めた。




みちる

「わ……霧……」


イネリア

「足元見えにくいだべ……」


ディジル

「転ぶなよ」


フワン

「お気をつけください」




そのとき。




アマリュウが前に出る。




アマリュウ

「……少しだけ、払おう」




静かに手をかざすと──




霧が、すっと薄れていく。




みちる

「すごい……!」




アマリュウは軽く咳払いをする。




アマリュウ

「……当然である」




ノクシア

「助かるよ」




ほんのわずかに、口元がゆるむ。




霧が和らいだ先。




足元に、ぽつり──




また、ぽつりと。




何かが咲いている。




みちる

「……あれ?」




近づく。




淡く光る花。




花びらの縁だけが、透けるように透明で、




まるで空気に溶けているようだった。




ポロル

「……きれいロル……」




ディジル

「これが……?」




ノクシアは、ゆっくりとうなずく。




ノクシア

「そうさねぇ……」




ノクシア

「エモラの花だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ