花を探して
ノクシアは静かに一歩前に出る。
懐から、小さな瓶を取り出した。
ノクシア
「……そのままでいいよ」
ポロル
「ロル……?」
笑いながら、ぽろぽろとこぼれる涙。
ノクシアは瓶をそっと差し出し──
一粒、また一粒と受け止めていく。
小瓶の中で、涙がかすかに光を帯びる。
ノクシア
「……これでいい」
瓶のふたを閉める。
ポロル
「ロル……ロル……っ」
まだ少し笑いの余韻を残している。
みちる
「すごい……ちゃんと取れた!」
イネリア
「コッチャンすごいだべ!」
フワン
「コッチャン、やりますね」
ディジル
「まさか成功するとはな……」
コッチャンは胸を張る。
コッチャン
「笑いの勝利だぴん☆」
ポロルは涙をぬぐいながら、首をかしげる。
ポロル
「……ポロルの涙なんて、何に使うロル?」
ノクシア
「エモラの花を採取するのに使うのさ」
ポロル
「エモラの花?」
ノクシア
「あぁ。そのままだと、霞になっちまうからね」
ぱっと目を輝かせる。
ポロル
「見たいロルー♪」
コッチャン
「俺ぴっぴも☆」
ディジル
「……まあ、来るだろうな」
ノクシアはくるりと背を向ける。
ノクシア
「じゃあ行くよ」
杖を軽く鳴らす。
コツン、と乾いた音が森に響く。
──さらに奥へ。
木々は高くなり、光は細く差し込むだけになる。
空気はひんやりと重く、
やがて──
白い霧が、ゆっくりと流れ始めた。
みちる
「わ……霧……」
イネリア
「足元見えにくいだべ……」
ディジル
「転ぶなよ」
フワン
「お気をつけください」
そのとき。
アマリュウが前に出る。
アマリュウ
「……少しだけ、払おう」
静かに手をかざすと──
霧が、すっと薄れていく。
みちる
「すごい……!」
アマリュウは軽く咳払いをする。
アマリュウ
「……当然である」
ノクシア
「助かるよ」
ほんのわずかに、口元がゆるむ。
霧が和らいだ先。
足元に、ぽつり──
また、ぽつりと。
何かが咲いている。
みちる
「……あれ?」
近づく。
淡く光る花。
花びらの縁だけが、透けるように透明で、
まるで空気に溶けているようだった。
ポロル
「……きれいロル……」
ディジル
「これが……?」
ノクシアは、ゆっくりとうなずく。
ノクシア
「そうさねぇ……」
ノクシア
「エモラの花だ」




