続・夜と、知らない君と
アマリュウ
「……どこへ行くのだ?」
そう問われて、
僕はすぐには答えられなかった。
「……気の向くままに、歩くんです」
なんとか、それらしい言葉を返す。
アマリュウ
「……それも、面白いな」
初めて会ったはずなのに――
不思議と、懐かしい気持ちがした。
―――
道端に咲く花や、街路樹。
見慣れたはずの街並み。
ぽつり、ぽつりと、
お互いに何かを見つけては話した。
無理に言葉を探さなくても、
沈黙さえ心地よくて――
気がつけば、
見知らぬ海辺にたどり着いていた。
―――
真っ暗な中、
波の音。
風の音。
潮の香り。
空には、星と月だけ。
―――
しばらくの間、
何も言わずに、ただ音に耳を澄ませていた。
―――
ふいに、その人が口を開く。
アマリュウ
「……お前は、神を信じておるか?」
「……宗教の勧誘ですか……?」
思わず、そんな返しをしてしまう。
アマリュウ
「ふはっ……いいや、忘れてくれ」
「……?」
その真意はわからないまま、
再び静寂が戻る。
僕たちはまた、
ただ音を聞いていた。
―――
どれくらい、そうしていただろう。
ふと気づくと、
空がわずかに白みはじめていた。
アマリュウ
「…………」
その人が、急に僕の顔を見つめてくる。
僕も、目をそらすことができず、
ただその人を見返した。
アマリュウ
「……すまん。時間切れのようだ」
(時間切れ……?)
意味を理解する前に、
アマリュウ
「楽しかったぞ」
そう言って――
その人は、やわらかく笑った。
その瞬間、
視界が真っ白に染まった。
―――
気がつくと、
僕は家の前に立っていた。
倒れたのだろうか。
どうやって帰ってきたのか、
まるで思い出せない。
―――
……さて、帰るか。
ほんの少しだけ、
気合を入れて。
あの人の笑顔を思い出しながら、
僕はドアノブに手をかけた。
そして、静かに――
家の扉を開けた。




