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橋を渡ろう

ディジル

「……で?」


腕を組む。


ディジル

「誰が最初に渡るんだよ」


イネリア

「そりゃ、タツだべ??」


フワン

「タツさん……!」


弟子たち

「お願いします、棟梁!!」


タツゾウ

「……」


橋を見る。


少しだけ目を細める。





タツゾウ

「……俺じゃねぇ」


全員

「え?」


タツゾウ

「最初に渡るべきは――」


ゆっくり振り返る。





タツゾウ

「気づいて、言ったやつだ」


みちる

「……え?」


タツゾウ

「ズレに気づいたのも、言ったのも、みちるだ」


ディジル

「……たしかに」


イネリア

「間違いないべ」


フワン

「みちるさん……お願いします……!」


みちる

「で、でも……!」


橋を見る。


完成している。




でも――少しだけ、怖い。




タツゾウ

「無理はするな」


静かに言う。


タツゾウ

「できることだけやれ」


みちる

「……!」


少しだけ息を吸う。




みちる

「……うん」




一歩。


橋の上に足を乗せる。



ギシ……



小さく音が鳴る。




みちる

「……」



止まる。





ディジル

「大丈夫だ」


イネリア

「落ちないだべ!」


フワン

「支えてます……!」


モフリオンたち

「もふ〜!」


みちる

「……」




もう一歩。




コツン。




しっかりと、音がする。




みちる

「……!」


顔が、少し明るくなる。



そのまま――



一歩、また一歩。



橋の向こう側へ。



そして。




みちる

「……渡れた……!」



振り返って、笑う。



ディジル

「おおお!!」


イネリア

「やっただべ〜〜!!」


フワン

「すごいです……!」


モフリオンたち

「もふーーー!!」


タツゾウ

「……」


小さく頷く。




アマリュウ

「……いい景色だな」


ユズハラ

「ほんまやなぁ」





そのとき――


もくもく……


みちるの目の前に、小さな雲が現れる。


雲はふわりととどまり――


そこから、すっと一本の芽が伸びる。


芽はあっという間に育ち、枝を広げ――



やがて。



きらり。



金平糖みたいな星が、いくつも実る。



みちる

「……星だ……!」



ユズハラ

「出たなぁ♪」


にやりと笑う。


ユズハラ

「“役に立った証”や」




橋の向こう。


最初の誰かが渡りきる。




その瞬間――



もくもくもく――


今度は、みんなの前に雲が現れる。


同じように木が伸び、星が実る。




ユズハラが、楽しそうに手を広げる。



ユズハラ

「この橋が使われるたびに、星は実る」


ディジル

「……ってことは」



ユズハラ

「大儲けや♪」


満面の笑み。



全員

「やっぱりそれか!!」



ユズハラ

「ええやんええやん♪」


星をひょいっとひとつ取る。


ユズハラ

「誰かの役に立って、お金も生まれる」


ユズハラ

「最高の商売やで?」




タツゾウ

「……」


橋と、実った星を見る。



タツゾウ

「……悪くねぇ」


小さく笑う。




タツゾウ

「……よし、みんな渡れ渡れ〜!」


全員

「お〜!!」


モフリオンたち

「もふ〜♪」




夕日に照らされて、橋もみんなも輝く。


星の実った木も、きらきらと揺れる。



――その橋は、誰かをつなぎ。


――その場所を、やさしく照らし続ける。

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