橋づくり3日目
――3日目。
タツゾウ
「今日で終わらせるぞ!!」
朝から声が飛ぶ。
タツゾウ
「気ぃ抜いたやつから落ちると思え!!」
ディジル
「物騒すぎるだろ!!」
作業は、最初から速い。
イネリア
「次、持ってきたべ!」
ディジル
「こっち寄こせ!!」
フワン
「釘、いきます……!」
アマリュウ
「そこ、角度が甘い」
みちる
「次これ持ってくるね!」
モフリオンたち
「もふー!」
昨日とは違う。
最初から、噛み合っている。
タツゾウ
「いいぞ、そのまま流せ!!」
声が響く。
橋は――
形になり始めていた。
――だが。
ギシッ……
嫌な音。
ディジル
「……今、鳴らなかったか?」
アマリュウ
「……鳴ったな」
次の瞬間。
ミシッ――!
タツゾウ
「止めろ!!」
全員が止まる。
木材の一部が、わずかにズレている。
イネリア
「やばいべ……これ……」
フワン
「く、崩れたり……しませんか……?」
空気が張り詰める。
タツゾウ
「……ズレてやがる」
低い声。
タツゾウ
「このまま続けりゃ、全部パーだ」
ディジル
「マジかよ……ここまで来て……」
みちる
「……っ」
橋を見る。
少しだけ傾いている。
ほんのわずか。
でも――
確かにズレている。
タツゾウ
「直すぞ」
即答。
ディジル
「は!?時間ねぇだろ!!」
タツゾウ
「だからだ」
タツゾウ
「ここで手ぇ抜いたら終わりだ」
沈黙。
みちる
「……これ」
ぽつり。
みちる
「昨日、ここ……」
みんなが見る。
みちる
「少しズレてたかも……」
ディジル
「え?」
みちる
「そのとき、ちゃんと確認しなくて……」
うつむく。
一瞬の静寂。
タツゾウ
「……気づいたなら言え」
低い声。
みちる
「……ごめんなさい」
タツゾウ
「謝るな」
短く言う。
タツゾウ
「今言ったのは正解だ」
みちる
「……!」
顔を上げる。
タツゾウ
「直すぞ!!」
タツゾウ
「全員、位置戻せ!!」
ディジル
「よし……やるぞ!!」
イネリア
「押すべ!!」
フワン
「さ、支えます……!」
アマリュウ
「角度、右に三度だ」
ユズハラ
「ほらほら、気張りや〜♪」
モフリオンたち
「もふー!!」
ギギ……ッ
ズレた木材が、ゆっくり戻る。
タツゾウ
「……止めろ」
ピタッと止まる。
タツゾウ
「……よし」
小さく頷く。
ディジル
「戻った……のか?」
アマリュウ
「問題ない」
タツゾウ
「続けるぞ!!」
そこからは、早かった。
声が飛び。
手が動き。
迷いが消える。
みちる
「次、ここ!」
ディジル
「ナイス!!」
イネリア
「いい流れだべ!」
フワン
「できてきてます……!」
そして――
タツゾウ
「最後の一本だ!!」
その時。
バタバタと足音。
弟子たち
「す、すみません棟梁!!」
全員が振り向く。
弟子たち
「腹壊して寝込んでました!!」
ディジル
「今かよ!!」
タツゾウ
「……っっかやろ……!!」
タツゾウの肩が、わずかに震えている。
その声は、どこかかすれていた。
弟子たち
「ひぃっ!?」
タツゾウ
「来たなら働け!!」
弟子たち
「はいっ!!」
全員で持ち上げる。
タツゾウ
「いくぞ!!」
ディジル
「せーのっ!!」
イネリア
「よいしょだべ!!」
みちる
「……っ!!」
モフリオンたち
「もふーー!!」
ガシッ――
最後の木材が、はまる。
静寂。
タツゾウ
「……」
橋を見る。
ゆっくりと頷く。
タツゾウ
「――完成だ」
ディジル
「……マジで?」
イネリア
「やったべ……!」
フワン
「できました……!」
みちる
「……できた……!」
モフリオンたち
「もふー!!」
ユズハラ
「ええもん見せてもろたわ♪」
タツゾウ
「……」
少しだけ笑う。
タツゾウ
「悪くねぇ出来だ」
――三日間の橋づくり、完了。




