本番後
みちる以外の人間には見えないが――
近くにいたモフリオンたちは、
拍手と同じくらいたくさん分裂して、
嬉しそうにふわふわと踊っていた。
「綺麗だったわねー」
「私も歌いたい!」
「楽しかった〜!」
ガヤガヤと、お客さんたちが帰っていく。
控室に、ノックの音が響いた。
コンコン――
ガチャ
ともこ
「お疲れ様〜!!」
みちる
「ママ⋯!」
ともこ
「……みちる、みなさん……とっても素敵だったわ!!」
フワン
「ともこさんも見に来てくださったのですね。
いやはや、お恥ずかしい」
ともこ
「!! 恥ずかしいだなんて!!
みちるが急に合唱をやるって言った時は、少しだけ心配でしたけど……
一緒にやるのがみなさんと聞いて安心しました。
頑張って練習してたのも見てたんです。
本っ当に素敵だったわ……!!」
ともこは、少し涙ぐんでいる。
みちるは嬉しそうに微笑んだ。
モフリオンも、くるくると嬉しそうに揺れている。
リベルティーナ
「みちるさんのお母様ですか?
わたくしは歌唱指導を担当しました、リベルティーナと申します」
今日は派手なドレスではなく、
髪をまとめ、落ち着いたスーツ姿だ。
ともこ
「まぁ……!先生ですか!!
みちるが大変お世話になりまして……!」
リベルティーナ
「こちらこそ。みちるさんとみなさんのおかげで、
とても素晴らしい合唱になりましたわ!!」
ともことリベルティーナは、互いに感激し合った。
やがて、ともこはみんなの疲れた様子を見て、
差し入れを置いて帰っていく。
ともこ
「みちる、また後でね!」
みちる
「うん!」
みんな
「「ともこさん、ありがとうございました!」」
「だべ!」
リベルティーナ
「さぁ!いよいよ本番ですことよ!!」
ディジル
「え?終わったじゃんかよ!」
リベルティーナ
「何言ってるざます!!
無事に成功した後の宴会――
打ち上げが“本番”に決まってるざます!!」
そう――神様は、楽しいことが大好きだ。
ディジル
「あぁ!それは盛大にやらねーとな!!」
フワン
「うちの店、貸し切ります」
イネリア
「おにぎりを持っていくべ!!」
みちる
「楽しみ〜♪」
アマリュウ
「熱わさび漬けはあるのか?」
モフリオン
「もふ〜♪」
後片付けを終え、
みんなはフワンの店へと向かった。
「「せーの、カンパ〜イ!!」」
テーブルには、誰が持ち込んだのか
たくさんの食べ物や飲み物が並んでいる。
フワン
「最初はどうなることかと思いましたが、
無事に成功してよかったですね……!」
イネリア
「ほんとだべ!リベルティーナが急に来た時は
追い出すところだったべ!」
リベルティーナ
「んまぁ!?わたくしを追い出そうなんて無理に決まっているざます!!
なんたって才能がわたくしを呼んでいるんですもの!!
オーッホッホッホッホッホ!!」
みちる
「本番って、あっという間に終わっちゃうね……!」
ディジル
「本当にな!あれだけ練習したのにな!」
モフリオン
「もふもふ!」
アマリュウ
「……」
ディジル
「アマリュウも、なんか感想ねぇのか?」
アマリュウ
「……いや……リベルティーナの人間の姿が、
普段と違いすぎて……くっくっく……」
リベルティーナ
「そこざます!?
合唱の感想じゃなくて、そこなんざます!?!?」
みんな
「「……ぷっ!!」」
もう誰もこらえきれない。
みんな
「「あははははは!!」」
――みんなの笑い声は、その日、いつまでも続いていた。
−おまけ−
「そばにいる光」
一人 夜の中で
悩み 抱えたまま
落ち込んで うつむいて
抜け出せずにいた
だけど そばにいる
気づけば あたたかい
私の中にある
消えないもの
風が 背中を押して
光が 道を照らす
思い出すよ ほら
もうそこにある
虹が 空にかかる
あなたが ここにいる
重なる声の中で
私は歩き出す




