第20話 血の舞踏
「【鮮血王】か、これはやられた。しかしよくここがわかったね」
「こっちには優秀な相棒が居るんでね」
(へへ……優秀な相棒……へへへ)
露骨に嬉しそうだな……しかし迷彩か。【鮮血王】は体内にある血は操れないから心配だったけど、見えずとも体の外に出た血なら操れるみたいだな
「ふーん、それで? なにしに来──」
瞬間、後ろを取るナギ。
「ちっ、しくった」
「……危ないなぁ君、今話してるでしょ? 性格悪いとか言われたことない?」
そう言ってるが一切の焦りを見せず背後の攻撃をキューブで防ぎ素早く距離を取る。
(あの四角いやつ厄介だな……)
「なに、こういうの嫌い?」
「いや別に、というかここでやり合うつもりないから。こいつ返して欲しいんだろ?」
「…………」
(……あいつ捕えた方が良いよなぁ、でもリスク高いし見逃した方が……どうしよ)
「ま、いっか──あ?」
「ん? どうかした?」
教室の右上をじっと見つめるナギ。男も同じ所を見てみるが何もない。
「誰か見てんのか?」
「え? なんのこと?」
「いや……なんでもない」
ただの気のせいか……
「変な奴」
「それより捕まってくれたりしない?」
「捕まえれるならね〜」
べっと舌を出し、仮面の男はボロボロと無数のキューブに崩れて消えた。
「まぁいいか。それより君は無事?」
「え、えぇ、助かったわ……」
「お礼ならナズナに言ってくれお前のこと心配して学園中走り回ってたんだからな……ってどうなってんだこれ」
椅子に縛り付けられているルナを救出しようとするが手足に付いてるキューブが融合しているのか外れない。
「ルナ、少し目をつぶっててくれないか?」
「わ、わかったわ」
なんのことだかさっぱり分からないから言われた通り目をつぶる。
(【王者】を指先程の大きさに調整して……)
キューブだけを器用に削り取る事になんとか成功する。
(意外と便利だなー……)
「も、もういい?」
「よしもういい、よく頑張った。それで少し質問したいんだけど、答えれないならそれで構わない。なんかあいつに言われたりした?」
「うーん……あ、なんか魔王が復活するとかなんとか言ってた気がする」
「まじ!? あいつの名前とかはわかる?」
「ううん、それは分からないけど自分達のことを〖血の舞踏〗って言ってた」
「なるほど……ありがとう、こんなすぐに聞いて悪かったね。あとはゆっくり休んできな」
「うん、いっ……! あはは、立てないや……」
足を見ると男にやられた傷が思ったより深かったのか血がドクドク流れてる。
「大丈夫、もうすぐ君のお友達が来るよ」
「え?」
──────
「なんだ、せっかくどうやって戦うのか見れると思ったのに残念だな。そう思わないかノクターン?」
「確かにビビりだな! 殺そう!」
「確かに見れなかったのは残念ですが彼なりに考えてるのでしょう。それに……面白い子も見つかりましたし収穫は十分でしょう」
不敵な笑みを浮かべるのはファウスト。
「あの生徒、私の【観測】に気づいてたね。どこの家の子かな」
「貴族を一通りチェックしましたがあんな子は見たことないですね」
「馬鹿な、平民にカシュの【観測】がバレたとでも言いたいのかファウスト?」
「今どき平民とか貴族とかくだらねぇこと言ってるのフェンくらいだぜ? 『脅威だと思ったらすぐ殺す』それが俺らの流儀、だろ?」
「一緒にするな、そんなこと言ってるのはお前だけだ」
「釣れないなぁフェン〜」
「まぁまだ急ぐような時ではありません。近々ヴァーミリでおもしろいイベントがあるのでゲルとフェンリルは向かってください」
「イベントってなんだ?」
「ただのお祭り、ですよ」
「祭りか、ノクターンもどうだ?」
「空いてたら行く! 文句あるか! 殺すぞ!」
「ねーよ」
「では各自行動してください。カシュもお疲れ様でした」
「ん」
カシュが投影を止め、それぞれ席を離れていった。
──────
「ルナッ!」
「ほら来、うおっと……」
「ナズナッ!」
「……なんだ、立てんじゃん」
無事ルナを救出した後、事前にこの教室に来るように指示しておいたナズナが入って来る。それを見たルナは足の痛みを忘れて駆けつけた。
「うっ……大丈夫なの?」
飛散した血がかなりグロい状況を醸し出してるからナズナが嘔吐くのも無理はない。
「うん、平気。ナギくんの異能でちょっと派手になってるだけ」
「馬鹿か、実際かなり痛いはずだ。ナズナも早く一緒に病院に行ってやれ」
「わかったわ」
「助けてくれてありがとナギくん」
「どーも」
ルナの腕を肩に回して慎重に運んでいき、教室から出た直後。
「……本当に、ありがとう」
背を向けたままお礼を残し病院へ運んでいく。
「やべ、ちょっとドキってしちゃった……」
その後廊下からは女子2人の話し声がするが聞き耳を立てるのは野暮だろう。
「……で、これは何事かな?」
後ろの扉から顔を覗かせたのはガンドルフ。騒音がしたという苦情を受けてここまで来たらしい。
「赤の模様が入った黒いローブに仮面を着けた男に見覚えはありますか?」
「いや、無いな、そいつがどうした」
「どうやら最近起きてる生徒の事件はそいつが犯人だった様です」
「なに!? ならもうその生徒達は……」
「死んでいるでしょうね」
「っ……わかった、こっちで対策は考えよう。助かった」
「お願いします」
「あぁそうだ、話は変わるが近々ヴァーミリと対校戦をしたいって所がいるんだ、出てみないか?」
「僕だけですか?」
「そんなわけないだろ、ここの生徒から数名抜粋するんだ、俺はお前を推薦しようと思ってな」
「僕なんかでいいんですか?」
「ここの生徒が全員が束になってもお前''なんか''には勝てないだろうよ」
少し含んだ言い方で言う。
「あはは……考えておきますね」
「いい返事を待ってるぞ」
その場を校長に任せて去った後何事も無く学校は終わっていった。
§ 第20話 血の舞踏 §
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