第七章 ひかるの決意
翌朝。
ひかるはアリヤと一緒に、公園のベンチに座っていた。
昨夜の出来事が、まだ夢のようだった。
「ねえ、ひかる」
「何?」
「私のせいで、ひかるまで狙われちゃったね……」
アリヤは申し訳なさそうに俯いた。
「ごめんなさい」
ひかるは首を横に振った。
「謝らないで」
「でも……」
「アリヤが悪いんじゃないよ」
ひかるはアリヤの手を握った。
「それに、私、決めたの」
「何を?」
「悪魔に言われたことを、全部信じるのはやめる」
アリヤは驚いたように顔を上げた。
「悪魔は、私が契約しなければアリヤが死ぬって言ったでしょう?」
「……うん」
「でも、それは悪魔が勝手に言ったことだよね」
アリヤは小さく頷いた。
「私が契約したら、本当にアリヤを助けてくれる保証なんてない」
ひかるの言葉に、アリヤは息を呑んだ。
確かにそうだった。
悪魔は、祖母に会わせると約束した。
けれど、その約束が本当なのか、誰にもわからない。
ひかるは続けた。
「だから、もう悪魔の言うことに振り回されたくない」
「ひかる……」
「アリヤも助けたいし、私も生きたい」
ひかるは少し照れくさそうに笑った。
「それって、わがままかな?」
そのとき、背後から声がした。
「全然、わがままじゃないよ」
振り返ると、セラとレオンが立っていた。
セラは優しく微笑んだ。
「誰かを助けたいと思うことと、自分の命を大切にすることは、矛盾しないの」
レオンも頷いた。
「むしろ、両方を守ろうとするのが一番難しくて、一番大切なことなんだ」
ひかるはほっとしたように笑った。
「じゃあ、二人とも力を貸してくれる?」
「もちろん」
セラが答えた。
「私たちは、そのためにここにいるんだから」




