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第六章 水を求めた男の正体

夜の質屋の前に、一人の男が立っていた。


それは、ひかるに水を買ってほしいと頼んだ、あの男だった。


「……ようやく、ここまで来たか」


男は空になったペットボトルを握りしめていた。


その背後から、声がした。


「あなた、何者なの?」


振り返ると、そこにはセラとレオンが立っていた。


二人の天使は、男を警戒していた。


「アリヤの祖母を知っていると言ったな」


レオンが尋ねる。


男は静かに頷いた。


「ああ。あの子が小さかった頃から知っている」


「だったら、なぜ指輪をひかるに渡したの?」


セラの問いに、男は目を伏せた。


「……あれは、私の意思ではなかった」


男はゆっくりと話し始めた。


数日前、男は道端で倒れていた。


喉が渇き、身体を動かすことさえできなかった。


そこへ、黒い服を着た人物が現れた。


『助けてほしいか?』


男は頷いた。


すると、その人物は一枚のカードと指輪を差し出した。


『これを親切な少女に渡せ。そうすれば、お前は助かる』


男は言われるままに従ってしまった。


「私は……あの子を罠にかけるつもりなんてなかった」


男の声が震えた。


「あの子は、本当に親切だった。見知らぬ私のために、水を買ってくれたんだ」


セラは静かに尋ねた。


「それで、あなたはどうしてアリヤのおばあさんを知っているの?」


男は懐から一枚の古い写真を取り出した。


そこには、若い頃の男と、優しそうに微笑む女性が写っていた。


「私は昔、アリヤのおばあさんに助けられたことがある」


女性は、困っている人を放っておけない人だった。


お金がなくても、時間がなくても、誰かのためにできることを探していた。


「そして、亡くなる前に私に言ったんだ」


男は写真を見つめた。


「もしアリヤが困っていたら、どうか助けてほしい、と」


レオンは静かに剣を下ろした。


「つまり、お前も悪魔に利用されたのか」


「ああ……」


男は苦しそうに頷いた。


「だが、まだ取り返せることがあるはずだ」


その言葉を聞いて、セラは微笑んだ。


「ええ。きっと」

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