大人編 6話 ~【彩夏編】帰国して~
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「まもなく中部国際空港に到着いたします」
私が乗っている日本行きの飛行機がそろそろ到着するみたいだ。
日本に戻ってくるのは10年振りになる。当初はもう少し早く戻ってくる予定だったのだけれど、なんだかんだで時間が掛かってしまった。
日本の情報は常にチェックしていたし、遥にも電話で聞いていた。
遥から木戸君とお付き合いすることになったと聞いた時は驚いたっけ。
そして彼のことも沢山教えてくれた。遥には言っていなかったのだけれど分かっていたそうだ。
遥いわく、あれで分からないのは鈍感な竹内君くらいだそうだ。
個人的には当の本人に気が付かれていない時点で意味が無いと思うんだけど・・・。
飛行機が空港に到着して搭乗客がタラップを渡って飛行機を降りる。
私も荷物を棚から降ろしてから移動を始める。
入国審査を終え、ゲートから出ると遥と木戸君が出口で待ってくれていた。
「彩夏久しぶり!また綺麗になったんじゃない?」
「風祭さんお久しぶりっす!元気にしてたっすか?」
「2人とも来てくれてありがとう!本当に久しぶりね」
私はふと周りを見渡すと、遥が何かに気が付いたのか私を見て笑いだした。
「竹内君は来てないわよ。本当に彩夏は分かり易いんだから」
「アニキは先に会場へ向かったっす」
「会場?」
「遥に聞いてないんす?アニキが今日チャンピオンとタイトル戦があるって」
私は遥を見る。すると遥はてへへと笑いながら手を合わせて謝った。
「ごめん!言い忘れてた!」
彼がボクシングを始めたのは遥から聞いていたが、まさか今日試合があるなんて聞いてない!
しかもタイトル戦なんて・・・。
「そうなのね・・・観たかったわ」
「何言ってんすか?もちろん風祭さんの席は用意してるっす」
私は驚いて木戸君を見ると、ニコリと微笑みながら親指を立てる。
「じゃあ自分は先に会場へ行くんで、2人は後でゆっくりきてくださいっす」
木戸君と別れた私は遥を連れて一旦宿泊予定のホテルへ向かう。
しばらくはホテルに滞在しながら住居を見つける予定なのだ。
私と遥は空港を出るとタクシー乗り場へ行き、待機していたタクシーに乗り込む。
ここからホテルまでは30分程掛かる。それまで私は遥と思い出話に花を咲かせる。
タクシーから見える風景が私が知っているものと違う。10年の歳月を感じるわね。
「それで彩夏は竹内君にいつ告白するの?」
ブフッ。
私は飲みかけた水を吐き出しそうになった。
遥は昔から突然こういう話題を切り込んでくる。
「え?だって・・・。もしかしたら・・・」
「竹内君に彼女はいないわよ。もちろん高校からずっとね」
「な!なんで遥が知っているのよ」
「そりゃあねぇ、親友の好きな人の情報は啓介から全て聞いてるからよ」
「そ、そうよね。木戸君は龍之介の親友だったわね」
「それでいつ告白するの?今日?明日?」
「それは流石に早すぎるわよ。それよりあなた達はどうなの?」
私の質問を聞いた遥はフフフとニヤケた顔をして左手を見せる。
薬指にはキラリと光る指輪。
「実は・・・結婚が決まりました!」
「やったじゃない!なかなか木戸君が言ってくれないって悩んでいたから心配していたのよ」
「啓介に言ってやったのよ。いい加減覚悟しろって」
興奮で声が大きくなっていたのか、タクシーの運転手さんから「すいません、もう少しお静かにお願いできますか?」と言われてしまった。
私達は運転手さんに謝った後、声のトーンを落として会話を続けた。
「おめでと、後で詳しく教えてよね」
「うん。実は・・・赤ちゃんもいるの」
「え??!!」
「すいません、もう少し声を・・・」
遥からの爆弾発言に私は思わず大声を出してしまい、再び運転手さんに怒られることになったのだった。
タクシーがホテル前で止まる。
私は運転手さんに再度誤ってからタクシーを降りる。
そしてホテルでチェックインをして荷物を部屋に運んだあと、龍之介がいる会場へ向かった。
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