大人編 4話 ~祝勝会~
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両親との軽い挨拶を終えると、俺は用意された席へ座る。
隣にもう1つ席が空いている。
「ちゃんと用意しておきましたよアニキ!」
こいつも彩夏の事を知っていたな!
啓介のニヤニヤした顔に苛立ちを覚えた俺は啓介の頭をボカリと殴ってやった。
ポカリでは無い、ボカリだ。
思った以上に力が強かったのか、頭を抑えて啓介が涙目になった。
「酷いっすよアニキ」
「悪いな、遥の分も入れておいた」
「そんな〜」
入口で沢山の人に取り囲まれている彩夏に声を掛ける。
「彩夏の席はここみたいだぞ。早く来いよ」
「ちょっと待って!」
彩夏はみんなに謝りながらこちらへ歩いてきた。
彩夏が俺の横の席に座ると父がこちらを見てニヤリと笑う。
「まさか龍之介にこんな可愛い彼女がいるとは思わなかったな」
「いや彼女じゃない!」
「ち、違います・・・」
父は何か勘違いしている様だ。
俺と彩夏は否定したが、父はそれを聞いてさらに嬉しそうな表情を浮かべた。
「これからも龍之介をよろしくお願いします」
「だから違うって!」
「ローザちゃんが亡くなってからずっと心配していたけど良かったよ」
「ローザちゃん?」
彩夏がローザという言葉に反応する。
「そうか、言っていなかったのか。父さんは余計な事を言ってしまった様だ。すまん」
父はそういうとバツが悪そうに厨房へ戻っていった。
「龍之介、後で教えてね」
彩夏は俺にニコリと笑いかける。
父も浮かれて口走ってしまったのだろうが、余計なことを言いやがって!
俺は彩夏にどう説明しようか考えていると、啓介が立ち上がり司会進行を始める。
「皆さまお揃いの様ですので、これから祝勝会を始めさせていただきます」
啓介の発声でガヤガヤしていた店内がシーンと静まる。
「本日はお忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。まずは主役であるアニキ、一言お願いします!」
指名があった俺は席を立ち一礼する。
「今回は俺の祝勝会に来てくれてありがとうございます。みんなのお陰でチャンピオンベルトを取ることが出来ました!」
俺がベルトを掲げると参加者から歓声があがる。
「これからも応援をお願いします!」
歓声と拍手に包まれて、俺は挨拶を終えた。
祝勝会はガヤガヤと騒がしくも楽しく進んでいった。
久しぶりに酒を飲んだこともあり、少し酔った俺は火照りを覚ますために外へ出た。
しばらく街の喧騒を眺めていると店のドアが開き、彩夏が外へ出てきた。
「外は寒いわね」
「そうだな」
「なんか同窓会みたいで楽しいわ。今日は誘ってくれてありがと」
「啓介と遥からも誘われていたんだろ?」
「それはそうだけど、やっぱり主役の許可がいるでしょ?」
「そんなもんか」
彩夏が俺の隣で立っている。
あの事件を引きずっていない様で安心した。
俺は彩夏を横目で眺める。
肩まで伸ばした黒髪が俺と会話するたびにサラサラと揺れる。
服装もブラウンをベースにしたシックな色合いで、鍛えているのか引き締まった体型なのが服を通して分かる。
「彩夏、あの時はごめん」
「ん?あの時?」
「俺のせいで拉致されて危険な目に合わせてしまった」
「あ~。全然気にしてないわ。というより謝らないといけないのは私の方よ。あの時はお礼も言わず引っ越しちゃってごめん」
「いいよ。とにかく無事で良かった」
「うん・・・」
「そういえば、どうして日本にいるんだ?」
「こっちで仕事をすることになったから戻ってきたのよ」
「仕事?彩夏は何の仕事をしているんだ?」
「あなた・・・剣道部を退部してから剣道に全く興味を無くしたわね」
「まぁな。それが何か関係しているのか?」
「私はずっと剣道していたのよ。アメリカに行ってもね」
どうやら彩夏はアメリカでも剣道を続けていたらしい。
大きい大会にも出場しており何度かタイトルを取ったのだそうだ。
その実力が認められて、新しく剣道部を新設する高校の剣道部顧問にスカウトされたのだとか。
「そろそろ日本に戻ってこようと考えていたから丁度いいタイミングだったのよ」
「ところで、さっきあなたのお父様が言っていたローザちゃんって誰なの?」
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