高校生編 31話 ~龍之介との別れ、そして決意~
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「彩夏いくわよ」
「分かったわ、ママ」
私はアメリカ行の飛行機に乗り込むため搭乗ゲートを通過する。
搭乗ゲートを越えて通路を歩いていると、大きな窓から一羽の鳥が羽ばたいていくのが見えた。
雲一つ無い晴天を眺めた彩夏は、夏合宿で見た青空を思い出した。
「・・・・・・龍之介・・・」
あの事件から1か月。
本当に色々なことがあった。
龍之介が助けに来てくれなかったらどうなっていたのか分からない。
今思い出しても震えが止まらない。
そして、あの時に私は察してしまった。
いくら剣道が強くなっても、多人数の悪意のある暴力には太刀打ちできないという事を。
私は小さい頃から剣道では負けたことが無かった。
誰よりも強いと思っていた。
たとえ不良が束になって襲ってきたとしても、私なら解決できると思っていた。
そう・・・あの時までは。
その自信を木っ端微塵に砕かれた私は、学校に登校できなくなった。
それを見かねた父がアメリカ行を提案してくれたのだ。
心残りは沢山ある。
友達に何も言えず引っ越すことになってしまったこと。
剣道部を辞めることになってしまったこと。
・・・・・・そして龍之介に何も言わず引っ越す決断をしたこと。
龍之介は私の初恋の相手だ。
それは今でも変わらない。
それを打ち明けることも出来ないまま、アメリカに行くことは当然後悔がある。
でも・・・機会はまだあるはず!
龍之介が待ってくれる保証は何も無いけど10年以内に私は必ず戻ってくる。
龍之介に相応しい女の子になるんだ。
そしてこの思いを彼に伝えるんだ。
そうだった!
あの時のお礼も言えていない。
電話でいう事も出来たんだけど、私は会ってお礼を言いたかった。
だから最後に声を聞きたかったのをグッと我慢したの。
待ってて龍之介。
私はアメリカでもっと成長してくるよ。
「いままでありがとう!龍之介」
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