高校生編 22話 ~休日2日目 朝~
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休日2日目の朝。
朝食を食べ終わった俺達は、昨日高坂部長から指示のあったミーティングルームへ集まっている。
前に立っている高坂部長と柳田副部長が険しい顔でこちらを向いている。
「みんな集まったな。それじゃあ連絡事項を伝える」
重々しい空気の中、高坂部長から昨日の件について話があった。
高坂部長が話した内容を要約するとこうだ。
野村は昨日1人で道頓堀へ行った。
戎橋を歩いていると向こう側から柄の悪そうな4人組が歩いてきたそうだ。
しかし双方ともに道を譲らなかった結果、橋の中央で喧嘩になった。
野村は相手の1人を集中攻撃してから逃げ出した。
相手の3人は野村を追ってホテルまでやってきたという事だった。
相手が大怪我したって言っていた奴は本当に怪我をしていた。
しかし、大怪我では無くかすり傷程度だったらしい。
「それで野村についてだが、インターハイ本選には出場させないことに決めた。補欠で連れてきた竹内君を繰り上げて次鋒とすることにした」
高坂部長が俺の方を一瞬見た気がした。
「野村は本日付けで帰ってもらうつもりだ。野村と同室だったのは・・・井上か。荷物の片づけを手伝ってもらえるか?話は以上だ」
野村の事件を受けて、今日は全員ホテルで待機することとなった。
高坂部長の話が終わった後、俺は自分の部屋へ向かう。
部屋でのんびりしていると新庄先輩が遅れて部屋に入ってきた。
「竹内君、明日からのメンバーに君が入ることになったよ。賢治の代わりに次鋒で」
「そうなんですね。野村の代わりに・・・」
「君は野村によく絡まれていたからね。思うところがあるとは思うけど」
「いえ、そうではなく・・・野村はああいう男でしたが、強さは本物だったので。出れなくなって残念な気持ちがあります」
暴力は悪いことだ。
野村はやってはいけないことをした。
それは分かっているのだが、部活の事を考えると貴重な戦力がいなくなるのは途轍もなく痛手だ。
俺は野村の性格は嫌いだが、あの強さには一目置いていた。
「高坂部長がさ・・・今回のメンバーは本気で全国優勝を狙えるって言ってた。もちろん君が入部してきたことが一番の理由だけど。部長や副部長はこの大会で引退になる。3年の先輩たちのためにも俺達が出来ることをしよう!」
「・・・そうですね。分かりました」
しばらく新庄先輩と話をした後、身体を動かしたくなった俺は部屋を出てホテル内を探索してみることにした。
ホテル内を歩いているとちょうど庭が見える場所に椅子があったため、そこに座ることにした。
そよ風でなびく草木が真夏の日差しをユラユラと揺らす。
クーラーから流れてくる冷風を浴びながら心地良い夏の太陽光が俺を照らしている。
俗にいう日光浴をしながらボーっと庭を眺めていると、隣に誰かが座った気配がした。
隣に座った人もしばらく言葉を発しなかった。
きっと俺と同じく日光浴をしているのだろう。
「こうやってのんびり過ごすのもいいわね」
隣から聞き覚えのある声が聞こえる。
俺は隣に視線を向けると、体操服姿の彩夏が座っていた。
「折角の休みなのに何もすることがないわね」
「そうだな。・・・でもこういう時間も大切だ」
前世ではこういう時間を持つことは無かった。
周りは全員が敵だと思っていた俺は昼間に外へ出ることは無かったし、会社もブラックだったため日の光を浴びる余裕が無かったのだ。
そう考えると、こうやって日の光をただ浴びるという行為もなかなか出来ることではない。
この時代ではまだスマホが無い。
画面を眺める時間が無い分、こういった時間が取れるのかもしれないな。
「私は昔、身体が弱かったの」
彩夏が庭を見つめながら自分の過去を語りだした。
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