高校生編 6話 ~選抜試験~
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出会い頭、対戦を求められた俺はどうしようか悩む。
すると近くにいた高坂部長から声が掛かった。
「賢治、それなら選抜試験まで待ってくれ。お前も調整する時間はいるだろう?」
「まぁそうか。今回は高坂部長に従ってやるよ」
野村はそう言うと部室を出ていった。
「すまないね龍之介くん。あいつは強い奴がいるとすぐに戦いたくなる奴なんだ。きっと何処かで君の噂を聞いたに違いない」
「いえ大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
俺は高坂部長にお礼を言うと練習場に向かう。
今日もいつも通りの練習をした後、部活が終わった。
練習中、野村から時々視線を感じたものの特に声を掛けられることも無かった。
数日が経ち、選抜試験の日になった。
剣道部の練習場には全員が揃っている。
みんなが揃ったのを見計らって高坂部長が話し始める。
「俺たちはこれまでインターハイ予選、県大会と勝ち進んできた。だけどここからが本番だ!8月3日のインターハイ本選を勝ち進むため、そして優勝するためにベストメンバーを決める」
今日の選抜試験は団体戦の出場メンバーを決めるものらしい。
5名プラス2名の計7名で登録するらしく、男子と女子で計14名が選ばれるそうだ。
「今日と明日の2日間を使い、ここにいるメンバーは総当たりして勝率の良いメンバーを選抜する」
高坂部長が説明しながら、隣にいる新庄先輩が対戦表を掲げる。
各自3本勝負で対戦して勝敗を書いていく様だ。
3本勝負というのは同じ相手と連続で戦い、先に2本取ったら勝ちというものだ。
「それでは始めてくれ!」
高坂部長の掛け声と共に対戦が始まった。
俺が準備をして対戦相手を待っていると、現れたのは野村だった。
「いきなりお前とか。これは楽しみだ」
「よろしくお願いします」
俺は一礼をして開始線まで移動する。
「はじめ!」
俺は野村の出方を見る。
しばらく待っていると野村が上段の構えでこちらに向かってくる。
野村はあえて下段、中段に隙を見せている。
打ち込むのは簡単だが罠の匂いがするので無視して中段で構えて待機。
野村は上段で構えたままこちらまで近付いてくると、面打ちを連続で繰り出してきた。
俺は相手の竹刀を受けながら野村の横を通り抜ける。
双方振り返り、再度構える。
今度はこちらから攻める。
野村は上段で構えたままだ。
誘いに乗ってやる!
俺は野村に近寄り胴打ちを仕掛ける。
野村は待っていたかのように俺の竹刀を往なすとそのまま面打ちを連打。
堪え切れず俺は面打ちを食らう。
「やっぱり誘われてたか」
野村は面打ちの技術がずば抜けている。
もしかするとそれ以外はあまり考えていないかもしれない。
そこがチャンスかもしれないな。
1本目は野村の勝利となった。
続いて2本目。
今度はこちらから攻める!
俺は中段で構える。
ただ面打ちしたところで往なされるだけだろう。
俺は突きから面打ちの連続技を繰り出す。
だが野村の体勢は崩れない。
こいつの強みは体感の強さか。
ここで習った剣術では勝ち目が無い。
そう思った俺はザッシュから学んだ帝国流に切り替える。
帝国流は対人では無双の強さを誇る剣術だ。
その理由は圧倒的なスピードでのカウンターにある。
俺は抜刀術の様な構え方、剣道で言う脇構えの形を取る。
野村は一瞬動揺したがすぐに平常心を取り戻し、上段から攻めてきた。
上段から振り下ろされる竹刀を下段から振り上げる様に往なす。
野村の竹刀が浮き上がったタイミングで胴打ちを仕掛ける。
パーーーン
2本目は俺の勝ち。
次が最後だ。
野村と向かい合う。
目の前の面から覗く目と口が笑いを隠し切れない表情をしている。
野村は変わらず上段から竹刀を振り下ろしてくる。
俺は中段で往なそうとする。
だがここで野村の攻撃に変化があった。
「面から小手、そして胴のコンビネーション?!」
この時のためにあえて隠していたのだろう、野村のコンビネーションに俺は成すすべなく胴打ちを食らった。
「一本、それまで」
審判からの声で試合が終わる。
終わってから分かった。
野村に試合を支配されていたのだ。
「これが剣道か・・・」
「お前、技術はあるがそれだけだな。これじゃあ誰にも勝てないぜ」
すれ違いざま、野村から声が掛かる。
俺はぐうの音も出なかった。
完敗だった。
次の試合は何とか勝ったものの、俺は最後まで調子が上がらず勝ちと負けを交互に繰り返した。
初日の結果は3勝3敗。
残り6試合。
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