小学校編 22話 ~小柄な男との取引2~
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昼過ぎに神社へ来たはずが、もう夕暮れが近づいている。
日中の暑さが涼しさに変わってきたのを感じつつ、俺達は話を続けていく。
次はこちらに来てから今日に至るまでの事を聞いてみるか。
「ロイドさん、こちらに来てからの事を聞かせてくれませんか?」
「分かりました」
ロイドはコクリと頷く。
「まずは目的である君の捜索から始めました。容姿や名前はリーファ様に見せてもらっていましたので、それを頼りに聞き込みをしていきました」
ロイド達はリーファから俺の動画を見せられたそうだ。
それが大人の姿だったこともあり、聞き込みをしていく中で小学生の俺を見つけたものの、初めは同姓同名の別人だと対象から外していたらしい。
だが、いくら探しても特定の人物に行き当たらなかったため、ダメ元で俺と接触する事にしたのだそうだ。
俺と接触するにあたりロイド達は念のためダンジョンにいる仲間をこちらに呼び出そうとしたが、転移盤は何をしても起動しなかったため、合流を諦めて2人で作戦を実行に移すことにした。
「これが僕達が関わった全ての情報です」
ロイドから思ったより重要な話を聞くことが出来た。
リーファは俺が大人だった頃の映像を保持している。恐らく魔王討伐時のものだろう。
そうなると仲間も危ないかもしれない。
父は俺の方を向くと、俺の目を見てから頷く。
どうやらこれからロイドを味方に引き入れる交渉に入る様だ。
俺は父の邪魔をしない様に少し後ろに下がって状況を見守る。
「ロイド、君に話しておくことがある」
父は、俺がアフロディーテから聞いた話をロイドに伝える。
リーファという女神が実は魔族の女神だという事、リーファはこちらの世界を魔族に支配させるつもりだという事など。
話を聞き終わったロイドの表情が絶望に変わる。
「僕達は騙されていたってことですか?」
「その可能性が高いだろう。考えても見てくれ、ダンジョン入口にいたというフードの男はなぜ1人でそこにいた? 魔族領のど真ん中で何をしていた?」
「それは・・・」
「フードの男は魔族、あるいは魔族の協力者だろう。そして自分の手を汚さない様に君達を利用した」
「・・・深層にはフードの男と一緒に来ました。仲間達はどうなっているのでしょうか」
父は首を左右に振り、ロイドを憐れむ表情を浮かべる。
「息子を発見した際に転移してこなかったことを考えると、既に口封じで殺されている可能性が高い」
「僕はこれからどうしたら・・・」
不安げなロイドに追い打ちを掛けるように、父は帝国が近いうちに滅亡することをロイドに告げる。
「帝国が滅亡するというのは本当の事ですか?」
「本当だ。これから20年以内に魔族の手によって滅びると女神から聞いた」
「転移盤が動いていれば・・・」
父は説得力を出すためにあえて女神から聞いたと嘘を付いた。
どちらにしても転移盤が機能していない時点で戻ることは出来ないのだが、戻ったところで何も出来ないだろう。
遠い地で祖国の滅亡を聞き、戻ることも出来ないもどかしさをロイドは感じているのだろう。
ロイドは話を聞くと俯いたまま動かなくなった。
よく見ると涙を流しているようだ、俯いた顔から雫がポツポツと落ちている。
「どの道、君たちは使い捨てにされた。魔族の手によって」
「もう殺してください・・・生きている意味が無い」
「俺が言えることでは無いが、君達はアーク帝国の意思を次いで生きるべきだ。もし君が協力してくれるなら全力で助ける」
父は続けて、俺達はこちらの世界で魔族と戦っている事をロイドに告げる。
「俺達は仲間が必要だ。一緒に魔族と戦ってくれないか?」
ロイドはしばらく考えていたが、決意を持った表情で父を見つめて言った。
「分かりました。協力します」
<アースロットのダンジョン深層・????>
男は血まみれのフードを脱ぎ捨てる。
「まったく人間風情が。人族の世界だと言うから送り込んだのに何の役にも立たなかったな。女神も女神だ、こんな面倒な仕事をさせやがって」
無残に転がる帝国兵の死骸を見つめ、男はため息を付く。
死骸を放置していればモンスターがこの部屋にやってくる。偶然、転移盤を踏んで転移するモンスターもいるだろう。
「死んでいる方が余程役に立つ。次に送り込むとしたら・・・人族に似たあいつらか。精々頑張ってくれ・・・・・・龍之介」
男は暗闇に消えていった。
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