昭南条約(抄出)
大日本帝国・英国・フランス共和国間の戦争状態の終結並びに領土、賠償及び戦後関係の処理に関する条約(抄出)
【前文】
大日本帝国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国並びにフランス共和国は、
両国間及び各国間における戦争状態を終結せしめ、平和を回復することを希望し、
戦争によって生じた損害、財産、債務及び国家間の請求権を最終的に処理する必要を認め、
オーストラリアにおける国家機能の崩壊並びにアジア及び太平洋地域における旧植民地統治体制の変動に伴う諸問題を解決し、
大日本帝国の安全保障及び戦争損害の補償を確保するとともに、英国及びフランス共和国の本国並びに本条約により地位を変更されない領域における平和的存続を確保することを目的として、
ここに、次の通り協定した。
第一章:平和状態の回復
【戦争状態の終結】
一、大日本帝国、英国及びフランス共和国は、本条約の発効をもって、相互間に存在する戦争状態が終結したことを確認する。
二、締約国は、相互に敵対行為を停止し、本条約及びその附属文書に定める義務を誠実に履行する。
【外交関係の回復】
締約国は、本条約の発効後、相互の外交関係を回復し、必要に応じて外交使節及び領事機関を交換する。
【捕虜及び抑留者】
締約国は、捕虜、抑留された軍人及び民間人の送還並びにその財産及び身分に関する処理を、附属議定書に従って実施する。
【敵対行為の停止及び軍事的措置】
締約国は、指定された地域における敵対行為の停止、部隊の撤退、軍事施設の引渡しその他の軍事的措置を、附属議定書に定める期限及び手続に従って実施する。
第二章:領土及び国家地位の変更
【アジア及び太平洋地域の領土移管】
一、英国及びフランス共和国は、附属議定書第一号及びその別表に指定するアジア及び太平洋地域について、大日本帝国への主権移転を承認し、これに必要な一切の措置を講ずる。
二、前項の移転には、当該地域における領土主権、行政権及び軍事的権限の移転を含む。ただし、個別の権利及び財産の処理については、附属議定書に別段の定めがある場合、その定めに従う。
三、各地域の境界、移転日、行政引継ぎ及びその他の実施事項は、附属議定書に定める。
【オーストラリアの地位】
一、英国は、オーストラリア大陸及び附属議定書第二号に定める付属島嶼に対する大日本帝国の主権取得を承認する。
二、英国は、オーストラリアに関して有する一切の主権上の請求、保護権及び軍事的権利を放棄し、大日本帝国への移管に必要な措置を講ずる。
三、オーストラリアの主権移転は、附属議定書第二号に定める日に効力を生ずる。
四、オーストラリアの旧政府に属した公有財産、債務、行政記録その他の権利及び義務の処理は、同議定書に定める。
【オーストラリア住民の保護及び受入れ】
一、英国は、オーストラリアに残存するオーストラリア人について、附属議定書第二号に定める条件に従い、英国への受入れ及び定住のために必要な措置を講ずる。
二、大日本帝国は、住民の移送に際し、その生命及び安全を保護するため、同議定書に定める協力を行う。
三、住民の移送及び受入れに関する義務は、オーストラリアの主権移転とは独立して存続する。移送の遅延又は未完了は、それ自体をもって主権移転の効力を妨げない。
【ニュージーランドの地位】
一、英国は、ニュージーランドが英国との帝国的及び特別な政治的・軍事的結合を終了し、独立した国家として存続することを承認する。
二、英国は、ニュージーランドに対する帝国的保護権、軍事的指揮権及びその他の特別な権限を放棄する。
三、ニュージーランドの英連邦との関係の終了、軍事的地位及び対外関係に関する具体的措置は、附属議定書第三号及び関係する受諾文書に定める。
【インド洋及びアラビア湾沿岸地域】
一、英国及びフランス共和国は、附属議定書第四号に指定するインド洋及びアラビア湾沿岸地域について、同議定書に別段の定めがある場合を除き、従前の主権及び行政権を保持する。
二、前項の地域における資源、港湾、輸送その他の経済的権利の譲渡は、本条約に基づく賠償の一部として実施される。
三、当該権利の範囲及び履行条件は、附属議定書第四号に定める。
【領土移管の実施】
本章に定める領土及び国家地位の変更は、附属議定書に指定する境界、日程、行政引継ぎ及びその他の実施条件に従って履行される。
第三章:賠償及び経済的清算
【賠償義務の承認】
一、英国及びフランス共和国は、本条約及び附属議定書に定めるところに従い、大日本帝国に対する戦争損害の賠償義務を負うことを承認する。
二、前項の賠償は、金銭、領土的権利、経済的権利、現物、役務その他附属議定書に定める方法によって履行される。
【賠償の構成】
一、本条約に基づく賠償には、領土の移管、経済的利権の譲渡、金融資産の移転、現物及び役務による給付を含めることができる。
二、各給付の評価額、賠償への算入方法及び履行条件は、附属議定書第六号に定める。
三、同一の損害について重複した賠償を課さないための調整は、同議定書に従って行う。
【旧米国連邦政府の債権】
一、英国及びフランス共和国は、旧アメリカ合衆国連邦政府に対して負担する債務及びこれに関連する債権・担保その他の権利について、附属議定書第五号に定める申告及び移管義務を履行する。
二、前項の債権は、同議定書に従い設立される国際戦後清算基金に移管される。
三、当該移管は、債権の有効性、承継者、回収可能性及び基金資産の配分に関する同議定書の定めに従う。
【国際戦後清算基金への参加】
一、大日本帝国は、附属議定書第五号に定める国際戦後清算基金(以下「基金」)の運営及び資産配分に参加する権利を有する。
二、基金の資産は、同議定書に定めるところに従い、旧米国連邦政府に関する債務の清算及び本条約に基づく賠償の履行に充当することができる。
三、基金の設立、権限、運営及び監査は、同議定書及び基金規約に定める。
【賠償の履行方法】
英国及びフランス共和国は、附属議定書第六号に定める期限及び条件に従い、賠償を履行する。賠償の履行は、金銭、現物、役務、経済的権利その他同議定書に定める方法によって行うことができる。
【賠償の最終確定】
一、英国及びフランス共和国の賠償総額、履行期限、相殺及び不履行時の措置は、附属議定書第六号に定める。
二、本条約に基づく賠償の履行が完了したときは、附属議定書に定める手続に従い、当該賠償に関する最終清算を行う。
第四章:財産、債務及び通商
【移管地域の公有財産及び債務】
領土の移管に伴う公有財産、行政記録、公共施設、債務その他の権利及び義務の承継は、附属議定書第一号及び第二号に定める。
【民間財産及び契約上の権利】
一、領土の移管に際し、民間財産、企業資産、契約上の権利その他の私権の処理は、附属議定書に定める。
二、締約国は、同議定書に定める範囲において、適法な財産権及び契約上の権利に関する申立てを審査する手続を設ける。
【戦略資源及び経済的利権】
一、英国及びフランス共和国は、附属議定書第四号に指定する地域における石油その他の戦略資源に関する採掘権、開発権、輸送権、港湾利用権その他の経済的権利を、大日本帝国又は大日本帝国の指定する事業体に譲渡する。
二、前項の権利の範囲、期間、供給数量、価格決定方式及び履行保証は、同議定書に定める。
三、前二項の権利は、本条約に基づく賠償の一部を構成する。
【通商及び海上輸送】
一、締約国は、本条約及び附属議定書に定める制限に従い、相互の通商及び海上輸送の回復に必要な措置を講ずる。
二、大日本帝国の船舶、企業及び財産に関する港湾利用、通商上の取扱いその他の事項は、附属議定書に定める。
三、締約国は、本条約に基づく賠償の履行を妨げる目的で、同条約に定めのない追加的な制限を課してはならない。
【国家間請求権の清算】
一、締約国は、本条約及び附属議定書に明示的に留保された請求権を除き、戦争状態に起因する国家間の損害賠償請求権を最終的に清算する。
二、前項の清算の範囲、例外及び発効時期は、附属議定書第六号に定める。
三、民間人の請求権及び財産に関する申立ては、本条の規定にかかわらず、附属議定書に定める手続に従って処理する。
第五章:安全保障及び軍事的措置
【旧宗主国軍の撤退及び施設の引渡し】
英国及びフランス共和国は、本条約により大日本帝国へ移管される地域から、その軍隊及び軍事要員を附属議定書第七号に定める期限内に撤退させ、軍事施設、兵器、艦艇、航空機その他の指定物件を同議定書に従って引き渡す。
【オーストラリア及びニュージーランドに関する軍事的権利の放棄】
英国は、オーストラリア及びニュージーランドにおける基地、駐留、軍事的指揮その他の軍事的権利を放棄し、その実施について附属議定書第二号及び第三号に定める措置を履行する。
【指定地域における第三国の軍事的権利】
一、締約国は、附属議定書第七号に指定する地域において、第三国による軍事基地の設置、軍隊の駐留その他の軍事的権利の取得を、同議定書に定める条件に従って制限する。
二、前項の制限の対象、期間及び監視手続は、同議定書に定める。
【軍事物資及び施設の処理】
軍事物資、艦艇、航空機、要塞施設、通信施設その他の軍事的資産の引渡し、撤去、廃棄又はその他の処理は、附属議定書第七号に従って行う。
【履行監視及び違反への対応】
一、本条約及び附属議定書の履行を確認するため、締約国は附属議定書第七号に定める監視機関を設置する。
二、締約国は、条約上の義務の履行に関する疑義又は違反が生じた場合、同議定書に定める手続に従い、協議及び是正措置を行う。
三、本条は、本条約に明示的に定める権利及び救済措置を妨げない。
【核兵器及び戦略兵器の研究、開発、製造及び配備の禁止】
一、英国及びフランスは、本条約の効力発生の日以後、核兵器その他の大量破壊兵器の研究、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転及び使用を行わず、また、その領域内においてこれらを行うことを許可しない。
二、英国及びフランスは、核兵器その他の大量破壊兵器を運搬し、又はその使用を主たる目的とする戦略兵器について、その研究、開発、実験、製造、取得、保有、配備及び使用を行わない。
三、前項にいう戦略兵器には、次のものを含む。
・大陸間又は長距離弾道ロケット及び誘導弾
・核兵器その他の大量破壊兵器を搭載するために設計された長距離爆撃機
・核兵器その他の大量破壊兵器を運搬するために設計された無人航空機及び誘導兵器
・前各号に掲げる兵器の開発、製造又は運用に不可欠な専用装置及び施設
四、英国及びフランスは、前各項に定める兵器の開発又は配備を目的として、外国政府、外国の軍事機関又は外国企業に対し、資金、技術、施設、原材料その他の援助を提供してはならない。
五、本条の規定は、通常兵器を搭載する航空機、艦船その他の通常の軍事装備の保有を一律に禁止するものではない。ただし、これらを前各項に定める禁止兵器の運搬又は使用に転用することは、本条に違反するものとする。
【核分裂性物質及び関連施設の管理】
一、英国及びフランスは、核兵器の製造に適する核分裂性物質の生産、取得、保有及び貯蔵について、別途定める国際原子力監視委員会(以下「監視委員会」)の管理及び査察に服するものとする。
二、英国及びフランスは、核兵器の製造又は実験に使用される施設、設備及び関連資料を、監視委員会に申告しなければならない。
三、前項の施設及び設備については、監視委員会の監督の下に、廃止、転用、解体又はその他必要な措置を講ずる。
四、平和的な科学研究、医療及び民生用発電を目的とする原子力の利用は、本条約及び監視委員会が定める管理条件に従う限り、禁止されない。
【申告、査察及び履行確認】
一、英国及びフランスは、本条約の効力発生後120日以内に、本章に定める禁止兵器、関連施設、核分裂性物質及び関連計画について、監視委員会に完全な申告書を提出する。
二、監視委員会は、本条の履行を確認するため、英国及びフランスの領域内において、施設への立入り、記録の閲覧、物資の検査及び関係者への聴取を行う権限を有する。
三、英国及びフランスは、監視委員会による査察及び確認に必要な協力を行い、関連資料の隠匿、破棄又は改変を行ってはならない。
四、本条の履行に関する技術的手続、査察の方法及び報告様式は、附属議定書第七号に基づく実施規則により定める。
【違反及び是正措置】
一、英国又はフランスによる本章の違反が確認された場合、監視委員会は、その事実及び是正に必要な措置を記載した報告書を作成する。
二、違反国は、監視委員会が指定する期限内に、違反状態の停止、関連兵器及び施設の廃止その他必要な是正措置を講じなければならない。
三、違反が是正されない場合、大日本帝国は、本条約及びその附属議定書に基づく権利を行使することができる。
四、本条の規定は、本条約に基づく賠償請求権その他大日本帝国の有する権利を制限するものではない。
五、英国又はフランス、もしくは両国の監督による第三国の核兵器の保有は、大日本帝国に対する先制核攻撃と同等の行為と見なす。
第六章:最終条項
【附属議定書及び別表の効力】
一、本条約の附属議定書及びその別表は、本条約の不可分の一部を構成する。
二、本条約と附属議定書との間に解釈上の疑義が生じた場合、基本条約に定める原則に従い、当該議定書の目的及び規定を考慮して解釈する。
【批准及び発効】
本条約は、締約国それぞれの憲法上の手続に従って批准され、批准書の交換の日に効力を生ずる。ただし、附属議定書に別段の定めがある場合、個別の義務は当該議定書に定める日に履行を開始する。
【条約の解釈及び紛争処理】
本条約の解釈又は履行に関して締約国間に紛争が生じた場合、締約国は、まず外交上の協議によってその解決を図る。協議によって解決しない場合の処理は、附属議定書に定める手続に従う。
【最終規定及び条約の拘束力】
一、本条約及び附属議定書に定める義務の履行は、締約国間における戦争状態に起因する諸問題の最終的な清算を目的とする。
二、本条約に基づく最終的な清算は、附属議定書に定める履行確認手続に従って行われる。
三、本条約のいかなる規定も、明示的に留保された義務又は請求権を消滅させるものではない。
・附属議定書第一号
・アジア及び太平洋地域における領土及び権益の大日本帝国への移転に関する議定書
【移転の対象】
一、英国及びフランス共和国は、本議定書及び別表第一に掲げる領土、島嶼、属地、保護領、租借地その他の地域に対する一切の主権、統治権及び行政権を、大日本帝国に移転する。
二、前項の移転には、当該地域に対する領土的権原、行政上の権限、並びに英国又はフランス共和国が当該地域に関して有する公法上の権利及び請求権を含む。
三、移転の対象となる地域の境界は、別表第一に記載する地理的範囲及び付属地図によって確定する。
【主権及び統治権の移転】
一、前条に定める領土及び地域に対する主権、統治権及び行政権は、基本講和条約及び本議定書の発効日に、大日本帝国に移転する。
二、英国及びフランス共和国は、前項の移転に伴い、当該地域に対する主権的権利、保護権、宗主権、租借権その他これらに類する権利を放棄する。
三、英国及びフランス共和国は、第三国又は第三者に対し、当該地域に関する旧来の権利又は請求権を援用せず、また、大日本帝国による主権及び統治権の行使に異議を申し立てない。
【行政機関及び公的施設の引渡し】
一、英国及びフランス共和国は、移転対象地域に所在する植民地政府、行政機関、裁判機関、警察機関その他の公的機関及び施設を、大日本帝国又は大日本帝国が指定する機関に引き渡す。
二、前項の引渡しには、行政記録、地籍簿、統計資料、公共事業関係書類、租税記録その他統治及び行政の継続に必要な文書を含む。
三、引渡しの具体的な日程、手続及び現地における権限移行の方法は、地域ごとの実施取決めによって定める。
四、引渡しの遅延又は行政機関の一部が現地に残存することは、本議定書に基づく主権移転の効力を妨げない。
【軍事施設及び軍事上の権利】
一、英国及びフランス共和国は、移転対象地域において保有する軍事基地、海軍施設、航空基地、要塞、兵站施設その他の軍事用施設を、大日本帝国に引き渡す。
二、前項の施設に属する土地、建築物、固定設備、軍事用通信施設及びその他の公有財産の取扱いは、基本講和条約及び附属議定書第七号の規定に従う。
三、英国及びフランス共和国は、本議定書の発効後、移転対象地域において軍隊を駐留させ、軍事施設を維持し、又は軍事上の権利を行使する権原を有しない。ただし、大日本帝国が書面により別段の許可を与えた場合は、この限りでない。
【公有財産及び資産】
一、移転対象地域に所在する英国又はフランス共和国の国有財産及び公有財産は、基本講和条約及び関係附属文書の定めるところにより、大日本帝国に帰属する。
二、前項の財産には、土地、庁舎、港湾、鉄道、道路、電信電話施設、倉庫、発電施設その他行政及び公共事業に供される財産を含む。
三、財産の目録作成、評価及び引渡しに関する手続は、地域別の引渡し委員会がこれを実施する。
【住民の地位及び権利】
一、大日本帝国は、移転対象地域に居住する住民の生命、身体及び私有財産を尊重し、法令の許す範囲において、その日常生活及び経済活動の継続を確保する。
二、本議定書による主権移転は、それ自体を理由として、住民の私有財産を大日本帝国に没収させるものではない。
三、住民の国籍、居住資格、行政上の地位及び公務への従事に関する取扱いは、大日本帝国が別途定める法令及び基本講和条約の関係規定に従う。
四、英国及びフランス共和国は、移転に伴う住民の保護、移住又は帰還に関する必要な措置について、大日本帝国と協議する。
【条約及び行政上の取決め】
一、移転対象地域に適用されていた条約、協定、許可、免許その他の行政上の取決めは、本議定書の発効後、大日本帝国がその存続又は変更について決定する。
二、英国及びフランス共和国は、前項の決定に必要な情報及び関係文書を大日本帝国に引き渡す。
【実施委員会】
一、本議定書の実施を監督するため、大日本帝国、英国及びフランス共和国は、必要に応じ、地域別の移転実施委員会を設置する。
二、各委員会は、行政機関及び公的財産の引渡し、境界の確認、文書の移管並びに移転に伴う技術的事項を処理する。
三、委員会の設置又は活動の遅延は、本議定書に基づく主権移転の発効又は効力を停止させるものではない。
【基本講和条約との関係】
一、本議定書は、基本講和条約の不可分の一部を構成する。
二、基本講和条約と本議定書との間に抵触がある場合には、基本講和条約の規定を優先する。ただし、基本講和条約が本議定書に特別の定めを委ねた事項については、本議定書の規定を適用する。
【発効】
本議定書は、基本講和条約と同時に発効する。
・別表第一『移転対象地域一覧』
本別表は、附属議定書第一号に基づき、大日本帝国に移転される領土及び地域を列挙するものである。
【英国の統治又は管理下にある地域】
香港:香港島、九龍半島及び新界
マラヤ:マレー連合州、非連合州及び海峡植民地のうちシンガポールを除く地域
シンガポール:シンガポール島及び付属島嶼
ブルネイ:ブルネイ国の保護権及び英国が有する統治上の権利
サラワク:サラワク地域及び付属島嶼
北ボルネオ:北ボルネオ地域及び付属島嶼
ビルマ:ビルマ地域及び英国が有する統治上の権利
フィジー:フィジー諸島及び付属島嶼
ソロモン諸島:英国が統治するソロモン諸島地域
ギルバート諸島及びエリス諸島:英国が統治する各島嶼
その他の太平洋島嶼領:英国が主権又は統治権を有するアジア・太平洋地域の島嶼
【フランス共和国の統治又は管理下にある地域】
フランス領インドシナ:トンキン、アンナン、コーチシナ、カンボジア及びラオス
ニューカレドニア:ニューカレドニア島及び付属島嶼
フランス領ポリネシア:フランスが統治するポリネシアの島嶼及び群島
ウォリス・フツナ:ウォリス諸島及びフツナ諸島
その他の太平洋島嶼領:フランス共和国が主権又は統治権を有するアジア・太平洋地域の島嶼
【適用上の留保】
本別表に掲げる地域の名称は、条約発効日における行政上又は地理上の名称を基準とする。
・附属議定書第二号
・オーストラリアの主権移転並びに住民の保護及び移住に関する議定書
【移転対象領域】
一、本議定書において「移転領域」とは、オーストラリア大陸並びに本条約及び本議定書の附属地図において指定される島嶼及び属島をいう。
二、移転領域には、その領海、内水、領空及び当該領域に属する一切の公有地、港湾、道路、鉄道、通信施設その他の公的施設を含む。
【主権】
一、英国は、本条約の効力発生の日をもって、移転領域に対する一切の主権、統治権及び領域上の権原を大日本帝国に移転し、これを最終的かつ無条件に放棄する。
二、英国は、移転領域に関して有する国王大権、立法権、行政権、司法権その他の公権力に基づく権原を、前項に従い大日本帝国に移転する。
三、大日本帝国は、前二項に基づき移転領域に対する完全な主権を取得し、同地域の統治及び行政を行う権限を有する。
四、本条に基づく主権の移転は、住民の移住、財産の引渡し、行政機関の移転その他本議定書に定める実施措置の完了を条件としない。
【英国による権原の放棄】
一、英国は、移転領域に対する主権、保護権、統治権その他これに類する権利を主張せず、また、第三国又は国際機関に対し、当該権利を主張するための援助を求めない。
二、英国は、移転領域に関する条約、行政上の取決め及びその他の国際的義務について、大日本帝国と協議の上、その終了、承継又は適用変更に必要な措置を講ずる。
三、英国は、移転領域の主権移転を妨げ、又はこれを無効とすることを目的とする一切の措置を慎む。
【行政及び公的機能の引継ぎ】
一、英国は、移転領域における行政、司法、警察、港湾、交通、通信、郵便、公共事業及びその他の公的機能に関する記録、設備及び公有財産を、大日本帝国又は大日本帝国の指定する機関に引き渡す。
二、前項の引渡しは、現地の状況及び輸送能力を考慮し、日英両国が設置する移管委員会の定める計画に従って実施する。
三、大日本帝国は、引継ぎの過程において、公共秩序及び基礎的な行政機能の維持に必要と認める暫定措置を講ずることができる。
四、引継ぎの遅延、記録の欠損又は行政機関の機能停止は、前条に定める主権移転の効力に影響を及ぼさない。
【住民の定義及び基本的取扱い】
一、本議定書において「移転住民」とは、本条約の効力発生の日に移転領域に通常居住する者をいう。
二、移転住民の法的地位、国籍、居住及び移住に関する具体的な取扱いは、本議定書の定めるところによる。
【移住の原則】
一、英国は、移転住民のうち大日本帝国が移転領域における居住の継続を認めない者について、英国への受入れ及び再定住を実施する責任を負う。
二、英国は、前項の目的を達成するため、移転住民の輸送、受入施設の確保、生活物資の供給及び再定住に必要な措置を講ずる。
三、大日本帝国及び英国は、移住の実施に当たり、家族の分離、輸送中の危険及び生活基盤の喪失を可能な限り防止するため、相互に協力する。
四、移住の対象者、輸送計画、実施期間及び費用負担の細目は、本議定書附属書及び日英両国間の実施取決めに定める。
【英国による受入れ及び再定住】
一、英国は、移住対象者を英国の管轄下に受け入れ、その再定住に必要な行政上及び社会上の措置を講ずる。
二、英国は、移住対象者に対し、食料、住居、医療及び最低限の生活維持に必要な援助を提供する。
三、英国は、移住対象者の受入れに必要な港湾、輸送手段、宿泊施設及び再定住先を確保し、その実施状況を日英移管委員会に報告する。
四、英国は、移住対象者の受入れを理由として、本議定書に基づく義務の履行を拒み、又は主権移転の効力を争うことができない。
【移住対象者の財産及び権利】
移住対象者は、適法に保有する動産を、英国への移住に際して携行することができる。ただし、武器、軍需物資、輸送又は安全上の理由により制限を要する物品については、日英両国の定める規則に従う。
【国籍及び身分関係】
一、移転住民の国籍及び身分関係については、大日本帝国及び英国が別途締結する実施取決めにより処理する。
二、英国は、移住対象者の英国への入国及び再定住に必要な身分証明書、渡航文書その他の書類を発給し、又はその発給に必要な措置を講ずる。
【移住計画】
一、日英両国は、本議定書の効力発生後速やかに、移住対象者の登録、輸送港の指定、船舶の配船、受入施設及び再定住先の確保を含む移住計画を策定する。
二、大日本帝国は、移住の実施に必要な範囲において、港湾、鉄道、道路、通信施設その他の施設の使用を認めることができる。
三、移住計画の変更又は実施の遅延については、日英移管委員会において協議する。
【移管委員会】
一、本議定書の実施を監督するため、日英両国は、日英移管委員会を設置する。
二、同委員会は、移住計画の策定及び調整、行政機能の引継ぎ、財産目録の作成、輸送上の問題並びに移住対象者の保護に関する事項を取り扱う。
三、委員会は、必要に応じて現地に連絡所を設置し、関係行政機関及び援助機関との連絡を行う。
四、委員会の決定は、本議定書に定める主権移転の効力を変更し、又は停止するものではない。
【公有財産及び行政記録】
一、英国は、移転領域に所在する英国政府及びオーストラリアの公的機関に属する財産について、目録を作成し、大日本帝国に引き渡す。
二、前項の財産には、政府庁舎、港湾施設、鉄道、通信設備、公共事業施設、行政記録、地籍記録及びその他の公的記録を含む。
三、軍事上の機密又は第三国に関する情報を含む記録の取扱いについては、日英両国が協議して定める。
四、公有財産の引渡しに関する紛争は、移管委員会に付託するものとし、その紛争を理由として主権移転を遅延させてはならない。
【治安及び武装組織】
一、英国は、移転領域における英国軍その他英国の指揮下にある武装組織を、本条約及び本議定書に定める撤収計画に従って撤収させる。
二、大日本帝国は、主権移転後、移転領域の治安維持及び防衛に必要な措置を講ずる。
三、移転領域における武器、弾薬、軍事施設及び軍需物資の引渡し又は処分は、本条約附属議定書及び日英両国の実施取決めに従う。
四、移住対象者の安全及び輸送を妨げる武装行為については、日英両国は、移管委員会を通じて必要な措置を実施する。
【移住及び再定住の費用】
一、英国は、移住対象者の輸送、受入れ及び再定住に要する費用を負担する。
二、前項の費用には、輸送船舶の運航、港湾荷役、受入施設の整備、生活物資の供給及び再定住に必要な行政経費を含む。
三、大日本帝国は、移住の実施に必要な施設及び輸送経路の使用について、実施取決めに従い協力する。
四、本条に基づく費用負担は、本条約に定める英国の賠償義務を減免するものではない。ただし、日英両国が書面により別段の合意をした場合は、この限りでない。
【主権移転と移住義務の独立性】
一、移転領域に対する主権は、本条約の効力発生の日に大日本帝国へ移転する。
二、移住対象者の登録、輸送、受入れ又は再定住が未完了であることは、主権移転の効力を停止し、又は英国に移転領域に対する権原を回復させる理由とならない。
三、英国は、移住の未完了を理由として、本議定書に基づく義務の履行を拒絶し、又は移転領域に対する主権その他の権利を再主張することができない。
四、大日本帝国及び英国は、移住の未完了によって生じる問題を、移管委員会を通じて処理する。
【紛争の処理】
本議定書の解釈又は実施に関する日英両国間の紛争は、まず移管委員会において協議する。
【最終規定】
一、本議定書は、本条約と同時に効力を生ずる。
二、本議定書は、本条約の不可分の一部を成し、本条約と同一の効力を有する。
三、本議定書の解釈又は適用に関し、本条約の規定と抵触する場合には、本条約の規定に従う。ただし、本議定書が特定の事項について本条約の規定を補充し、又は具体化する場合は、この限りでない。
・附属議定書第三号
・ニュージーランドの地位及び英連邦関係の変更に関する議定書
【ニュージーランドの地位】
一、英国は、ニュージーランドが英国国王の主権又は英国政府の統治権に服する領域ではなく、独立した国家として国際関係を処理する権利を有することを確認する。
二、英国は、本議定書の効力発生の日をもって、ニュージーランドに対して有する一切の特別な政治的又は憲制上の権利を放棄する。
三、前二項の規定は、ニュージーランドが自らの憲法上の手続に従って独立国としての地位を確認し、又は必要な国内法上の措置を講ずることを妨げない。
【英連邦との関係】
一、英国は、ニュージーランドが英連邦の構成国として有する従前の地位を終了させることに同意する。
二、英国は、ニュージーランドに対し、英連邦の制度、会議、機構その他これに類する政治的結合への参加を継続する義務を課さない。
三、ニュージーランドが将来、英国その他の国家と通常の国際関係を有することは、本議定書によって妨げられない。
【軍事的関係の終了】
一、英国は、ニュージーランドに対する軍事的保護、軍事的保証その他これに類する特別の義務を、本議定書の効力発生の日をもって終了させる。
二、英国軍その他英国の指揮下にある外国軍隊は、ニュージーランドの領域、領海及び領空から撤退するものとする。ただし、ニュージーランド政府が明示的に同意した場合を除く。
三、英国は、ニュージーランド国内に所在する軍事施設、兵站施設、通信施設その他軍事目的に使用される施設について、ニュージーランド政府にその管理権を移転する。
四、前項の施設に所在する兵器、弾薬、軍用車両その他の軍事物資については、両政府間で別途締結する実施取極により処理する。
【海軍及び航空施設】
一、英国は、ニュージーランド国内又はその属領において英国が有する軍港、航空基地、補給施設その他軍事上の権利を放棄する。
二、ニュージーランド政府は、その領域内の軍事施設について自国の必要に応じてこれを接収、継承又は廃止することができる。
三、英国軍艦及び英国軍用航空機は、ニュージーランド政府の許可なく、ニュージーランドの港湾又は飛行場を軍事目的で使用してはならない。
【外交関係】
一、英国は、ニュージーランドが第三国との外交関係を自由に樹立し、外交使節を交換し、国際条約を締結する権利を有することを確認する。
二、英国は、ニュージーランドの外交政策について指示、承認又は拒否を行う権利を主張しない。
三、ニュージーランドに所在する英国の外交上又は領事上の機関は、通常の外国公館として取り扱われるものとする。
【通商及び関税】
一、ニュージーランドは、自国の関税、通商、航海及び為替に関する政策を自由に決定する。
二、英国は、ニュージーランドに対して英国又は英連邦の経済制度への参加を強制しない。
三、本議定書の効力発生前に締結された通商上の取極については、関係国間の合意により修正又は終了することができる。
【ニュージーランドによる受諾】
一、本議定書のニュージーランドに関する規定は、ニュージーランド政府がその受諾書を寄託した日に、ニュージーランドとの関係において効力を生ずる。
二、ニュージーランド政府は、本議定書の受諾に際し、必要な憲法上その他の国内手続を完了したことを宣言するものとする。
三、ニュージーランド政府が受諾書を寄託しない場合においても、英国と大日本帝国との間における英国の特別な権利及び軍事的権利の放棄に関する規定は、両国間において効力を妨げられない。
【第三国との関係】
本議定書は、ニュージーランドが第三国との間で独立した条約を締結する権利を害するものではない。
【最終規定】
一、本議定書は、本条約の不可分の一部を構成する。
二、本議定書は、本条約の批准書が寄託された日に効力を生ずる。
・附属議定書第四号
・インド洋、ペルシャ湾及びアラビア湾沿岸地域における経済的権益及び資源供給に関する議定書
【領土主権の確認】
一、本議定書は、インド洋、ペルシャ湾及びアラビア湾沿岸に所在する領土について、その領土主権を大日本帝国に移転するものではない。
二、前項の地域について従来有していた主権、行政権及び司法権は、それぞれの現有権力又は主権国家に帰属する。
三、ただし、本議定書に定める経済的権益、資源取得権、通商上の権利及び施設使用権については、大日本帝国がこれを取得する。
【対象地域】
本議定書の対象地域は、別表に掲げる地域とする。
別表には、少なくとも次の地域を含むものとする。
一、ペルシャ湾沿岸の主要産油地域
二、イラク及びイランに関係する主要石油輸送経路
三、アラビア半島東部及び南部の主要港湾
四、インド洋西部及び北部の主要補給港
五、英国又はフランスが保有する前記地域の港湾、石油施設、鉱山、鉄道及びその他の戦略的輸送施設
ただし、個々の地域についての具体的権利は別表に定める。
【石油資源】
一、英国は、対象地域において英国又は英国の国民若しくは法人が支配する石油資源について、大日本帝国に対して一定量を優先的に供給する権利を認める。
二、大日本帝国に対する年間供給量は、別表に定める数量を下限とする。
三、前項の供給は、原油、精製石油、燃料油、航空燃料その他両政府が指定する石油製品を含むものとする。
四、戦争その他の不可抗力によって供給量が減少した場合、その不足分については翌年度以降の供給量に加算することができる。
【鉱物資源】
一、英国及びフランスは、対象地域においてそれぞれが支配又は取得する石炭、鉄鉱石、銅、クロム、マンガン、錫その他の戦略的鉱物について、大日本帝国に優先的な取得権を認める。
二、大日本帝国が取得する資源の数量及び価格は、別表に定める。
三、資源の供給価格については、世界市場価格その他の基準を参照しつつ、当事国間で定めるものとする。
【港湾使用権】
一、大日本帝国の船舶は、対象地域に所在する指定港湾について、平時における入港、停泊、補給及び修理の権利を有する。
二、大日本帝国船舶に対する港湾使用料その他の公課は、第三国船舶に対して課されるものを著しく超えてはならない。
三、大日本帝国の軍艦による使用については、本議定書によって自動的に認められるものではなく、別途の安全保障上の取極によるものとする。
【石油輸送施設】
一、英国は、対象地域からインド洋沿岸の輸出港に至る石油パイプライン、鉄道その他の輸送施設について、大日本帝国による利用を保障する。
二、大日本帝国は、必要な輸送能力の確保のため、輸送費その他合理的な経費を負担する。
三、施設の所有権は、別途定める場合を除き、従来の所有者に留保される。
四、大日本帝国は、施設の維持、修理及び拡張について技術者を派遣することができる。
【大日本帝国による長期購入契約】
一、大日本帝国は、対象地域の資源について、無制限の長期購入契約を締結する権利を有する。
二、英国及びフランスは、第三国との契約を理由として、大日本帝国に対する本議定書上の供給義務を一方的に制限してはならない。
三、対象資源について供給能力に制限が生じた場合、大日本帝国は契約上の優先供給順位を有する。
【日本企業の参加】
一、大日本帝国の国民及び法人は、対象地域における石油、鉱業、輸送及び関連産業について、英国及びフランスの国民又は法人と同等の条件で投資、操業及び技術協力を行う権利を有する。
二、対象地域の主権国が別段の国内法を制定した場合には、その法律に従うものとする。
三、ただし、大日本帝国の取得した本議定書上の権利を、当該国内法によって事実上無効とすることはできない。
【決済及び賠償との関係】
本議定書に基づいて大日本帝国に供給される資源その他の経済的利益は、本条約に基づく英国及びフランスの賠償義務の一部として算入される。
【第三国の権利】
一、本議定書は、対象地域における第三国の既存の領土主権を変更しない。
二、英国及びフランスは、第三国との関係において、本議定書に基づく大日本帝国の権利を履行するため必要な措置を講ずる。
三、第三国の同意を必要とする権利については、英国及びフランスは、当該第三国との間で別途必要な取極を締結する。
【海上輸送の保障】
一、英国及びフランスは、対象地域から大日本帝国に向けた資源輸送について、平時における安全な海上交通を保障する。
二、大日本帝国籍船舶に対する差別的な港湾閉鎖、積荷没収又は航行制限を行ってはならない。
三、海賊行為その他の非国家主体による攻撃については、対象地域を管轄する当局が合理的な防止措置を講ずる。
【経済的権利の存続期間】
一、本議定書により大日本帝国に付与される経済的権利は、本議定書の効力発生の日から100年間存続する。
二、賠償義務の履行が前項の期間内に完了しない場合、大日本帝国の権利は、その未履行額に相当する範囲で存続する。
三、当事国の合意により、その期間を延長することができる。
【現地住民の権利】
一、本議定書の実施は、対象地域に居住する住民の生命、財産及び既得の民事上の権利を不当に侵害してはならない。
二、大日本帝国は、大日本帝国の取得する経済的権利を行使するに際し、現地の労働条件及び公衆衛生に関する法令を尊重する。
三、強制的な住民移転は、本議定書の実施を理由として行われてはならない。
【最終規定】
一、本議定書は、本条約の不可分の一部を構成する。
二、本議定書と本条約本文との間に抵触がある場合には、本条約本文を優先する。ただし、本条約が明示的に本議定書に委任した事項については、本議定書の規定を適用する。
三、本議定書は、本条約の批准書が寄託された日に効力を生ずる。
・附属議定書第五号
・旧アメリカ合衆国連邦政府債権の移転及び国際戦後清算基金の設置に関する議定書
【国際管理基金の設置】
本条約の発効と同時に、「国際戦後清算基金」(以下「基金」)を設置する。
基金は法人格を有する国際機関とし、その運営は大日本帝国北米管理委員会の監督の下に行う。
【旧米国連邦政府債権の移転】
一、英国及びフランスは、旧米国連邦政府がそれぞれに対して有していた債権を、基金に移転することを承認する。
二、前項の移転は、本議定書の効力発生の日をもって行われるものとし、英国及びフランスは、当該債権について旧米国連邦政府又はその後継機関に対して負担していた債務を、基金に対する債務として履行する。
三、英国及びフランスは、前二項に定める債権の移転を妨げる一切の抗弁、相殺権又は第三者に対する権利を、基金の権利を害する目的で行使してはならない。
【大日本帝国の参加権】
一、大日本帝国は、基金の管理、資産の処分及び賠償履行額の認定に関する決定に関する拒否権を有する。
二、基金の資産を英国又はフランスの債務の免除、減額若しくは繰延べに充当する場合、又は基金の資産を大日本帝国に対する賠償以外の目的に処分する場合には、大日本帝国の同意を要する。
三、大日本帝国の同意なくして行われた前項の処分は、大日本帝国に対して効力を有しない。
【基金に対する支払義務】
一、英国及びフランスは、基金に対して負担する債務を、別表に定める期日及び方法に従って履行する。
二、基金に対する支払は、本条約に基づく賠償義務の履行として取り扱われる。ただし、大日本帝国に対する賠償として算入される額は、大日本帝国北米管理委員会の認定を要する。
三、英国又はフランスが支払を遅延した場合、未払額及びその利息は、基金の帳簿に記録される。
【基金資産の処分】
一、基金は、その資産を次の目的に使用することができる。
・大日本帝国に対する賠償の履行
・基金の管理及び清算に必要な費用の支払
・委員会が承認する旧米国連邦政府関係債務の整理
・本議定書及び基金規約に定めるその他の目的
二、基金資産の処分に際しては、大日本帝国に対する賠償履行額を不当に減少させるものであってはならない。
三、基金資産の処分によって生ずる損失は、委員会が別段の決定を行わない限り、基金の資産から控除する。
【債権の評価】
一、基金に移転される債権の評価は、原則として本議定書の効力発生時における元本及び未払利息に基づいて行う。
二、外貨建て債権については、委員会が指定する基準為替相場により評価する。
三、債権の存在、金額又は履行状況について争いがある場合には、委員会が関係書類及び証拠を審査し、その評価額を決定する。
【記録及び監査】
一、基金は、すべての収入、支出、債権、債務及び資産処分について正確な記録を保持する。
二、大日本帝国は、基金の帳簿、証憑書類及び関連記録を閲覧し、必要な説明を求める権利を有する。
【基金の解散】
一、基金は、承継した債権の回収又は処分が完了し、その設置目的を達成したと大日本帝国北米管理委員会が認めたとき、解散する。
基金の残余財産は、署名国の協議により処分する。
二、大日本帝国の賠償請求権が未履行である間は、大日本帝国の同意なく基金を終了させることはできない。
【最終規定】
一、本議定書は、本条約の不可分の一部を構成する。
二、本議定書は、本条約の批准書が寄託された日に効力を生ずる。
・附属議定書第六号
・賠償額の評価、履行及び請求権の最終整理に関する議定書
【賠償義務の原則】
一、英国及びフランスは、本条約に基づき、大日本帝国に対して賠償義務を負う。
二、賠償は、金銭、金、外貨、有価証券、物資、施設、経済的権益、役務その他大日本帝国が受領することに同意した財産又は利益によって履行することができる。
三、賠償の履行は、本議定書に定める評価及び認定の手続に従って行う。
四、本議定書に定める賠償義務は、本条約又はその附属議定書に基づく領土及び権益の移転義務を免除するものではない。ただし、当該移転が賠償履行額に算入される場合は、その認定額の範囲に限り、賠償額から控除する。
【賠償総額の確定】
一、英国及びフランスの賠償総額は、それぞれ別表に定める。
二、前項の賠償総額は、大日本帝国が被った人的、物的及び経済的損害、戦争遂行に伴う費用、その他当事国が合意する要素を考慮して定める。
三、本議定書に定める賠償総額は、当事国の合意なく一方的に減額又は変更することができない。
【賠償履行の分類】
賠償履行は、次の区分により記録する。
第一類:領土及び主権に関する履行 本条約及びその附属議定書に基づく領土、島嶼その他の主権移転。
第二類:経済的権益に関する履行 資源取得権、長期供給権、港湾使用権、輸送権その他の経済的利益の付与。
第三類:金銭及び金融資産による履行 金、外貨、有価証券、預金その他の金融資産の引渡し。
第四類:物資及び設備による履行 工業設備、輸送機材、船舶、航空機、機械、原材料その他の物資の引渡し。
第五類:役務及びその他の履行 技術者の派遣、施設の建設、修復、輸送その他当事国が合意する役務の提供。
【領土移転の評価】
一、本条約に基づき大日本帝国に移転される領土のうち、賠償履行額に算入されるものは、別表に明記する。
二、領土の評価に際しては、土地、公共施設、港湾、鉄道、鉱山、農地、その他の資産及び収益能力を考慮する。
三、領土の移転に伴う債務、維持費、住民保護費その他の負担については、別表に定める方法で評価額に反映させる。
四、領土移転の評価額は、当該領土の主権移転が法的に完了したことを確認した後、賠償履行額として認定する。
【経済的権益の評価】
一、附属議定書第四号に基づく資源供給権、港湾使用権その他の経済的権益は、本条の規定に従い評価する。
二、経済的権益の評価は、原則として、当該権益の存続期間において大日本帝国が取得することのできる利益の総額を基礎とする。
三、供給量、取得価格、権益の存続期間、履行確実性その他の条件は、評価に際して考慮される。
四、経済的権益の評価額は、実際の履行状況に応じて定期的に調整することができる。
【金銭及び金融資産による履行】
一、英国及びフランスは、別表に定める金銭及び金融資産を、大日本帝国又は指定された清算機関に引き渡す。
二、金銭による支払は、金、米ドル、英ポンド、フランその他委員会が認める通貨によって行うことができる。
三、支払期日までに履行されない金額については、別表に定める利率に従って遅延利息を加算する。
【物資及び設備による履行】
一、英国及びフランスは、別表に定める物資、設備及び輸送機材を大日本帝国に引き渡す。
二、引渡しに際しては、品目、数量、品質、使用状態、引渡場所及び引渡期限を確認する。
三、引渡しに伴う輸送費、保険料、梱包費その他の費用は、別表に定めるところによる。
四、引渡し物資の評価額は、委員会が認定する。
【賠償監督委員会】
一、賠償の評価及び履行を監督するため、賠償監督委員会を設置する。
二、委員会は、大日本帝国が任命する委員をもって構成する。
三、委員会は、賠償履行の状況を審査し、各履行項目の認定額、未履行額及び履行期限を記録する。
四、委員会の決定方法及び議決要件は、別途定める規則による。
【履行の認定】
一、賠償は、当該財産又は利益が大日本帝国若しくは指定された機関に引き渡され、又は大日本帝国がその権利を実際に行使できる状態となったときに、履行されたものと認定する。
二、単なる約束、将来の供給予定又は未実施の契約は、別段の合意がない限り、賠償履行として認定されない。
三、分割履行の場合には、実際に履行された部分に限り認定する。
【履行期限及び分割履行】
一、英国及びフランスは、履行期限に従い賠償義務を履行する。
賠償の分割履行は、別表に定める年度別計画に従う。
二、英国又はフランスが履行期限の変更を求める場合には、その理由及び代替履行計画を大日本帝国に提出しなければならない。
三、履行期限の変更は、大日本帝国の書面による同意がある場合に限り効力を生ずる。
【未履行及び履行遅滞】
一、英国又はフランスが本議定書に定める義務を履行しない場合、その未履行額は賠償監督委員会により記録される。
二、履行遅滞は、当該賠償義務を消滅させるものではない。
三、大日本帝国は、未履行額に相当する範囲で、別途定める追加的履行措置を要求することができる。
四、追加的履行措置は、本条約及びその附属議定書に基づく他の権利を害するものではない。
【請求権の整理】
一、本条約及びその附属議定書に基づく賠償請求権は、本議定書に従って整理する。
二、英国及びフランスは、本条約に定める賠償義務の履行を理由として、大日本帝国に対する反対請求又は相殺請求を行ってはならない。ただし、当事国が別途合意した場合は、この限りでない。
三、大日本帝国は、賠償監督委員会により最終履行が認定された項目について、当該項目に関する追加請求を行わない。ただし、隠匿された財産、虚偽の申告又は重大な不履行が後日判明した場合は、この限りでない。
【最終清算】
一、英国及びフランスの賠償義務は、賠償履行委員会が各国の賠償総額の全額履行を認定したときに、当該認定額の範囲で消滅する。
二、最終清算書には、賠償総額、履行済額、未履行額、利息、控除額及びその他必要な事項を記載する。
三、最終清算書は、大日本帝国、英国及びフランスの署名により確定する。
【最終規定】
一、本議定書は、本条約の不可分の一部を構成する。
二、本議定書は、本条約の批准書が寄託された日に効力を生ずる。
・附属議定書第七号
・軍隊の撤退、領土及び施設の引渡し並びに講和条約の履行監視に関する議定書
【目的】
本議定書は、次の事項について実施手続を定める。
一、本条約に基づく領土及び島嶼の引渡し
二、英国軍及びフランス軍並びにその指揮下にある軍隊の撤退
三、軍事施設、港湾、飛行場、兵站施設及びその他の指定施設の引渡し
四、軍事物資、文書、設備及びその他の財産の処理
五、本条約及びその附属議定書の履行状況の確認及び監視
【履行機関】
一、本議定書の実施を監督するため、太平洋移管委員会(以下「委員会」)を設置する。
二、委員会は、大日本帝国、英国及びフランスがそれぞれ任命する代表者をもって構成する。
三、委員会は、領土引渡し、軍隊撤退、施設移管及びその他の履行事項について、現地調査、文書審査及び履行状況の確認を行う。
四、監視委員会の決定方法、議決要件及び事務局の組織は、別途定める規則による。
【履行期限】
一、本議定書に基づく各履行事項の期限は、別表に定める。
二、各履行事項の期限は、本条約の効力発生日を基準として算定する。ただし、別段の定めがある場合はこの限りでない。
三、英国又はフランスは、履行期限の変更を必要とする場合、その理由及び代替履行計画を委員会に提出しなければならない。
四、履行期限の変更は、大日本帝国の書面による同意がある場合に限り効力を生ずる。
【領土及び島嶼の引渡し】
一、英国及びフランスは、本条約及びその附属議定書に基づき大日本帝国に移転される領土、島嶼及びその他の地域を、別表に従って大日本帝国に引き渡す。
二、引渡し対象地域の範囲、境界、行政区画及び付属島嶼は、別表及び別途作成する地図により確定する。
三、引渡し対象地域における行政権、司法権、警察権その他の公権力は、別表に定める引渡し期日に大日本帝国へ移転する。
【引渡しの方法】
一、英国及びフランスは、引渡し対象地域における統治機関、行政機関及び公共施設を、大日本帝国が指定する機関に引き渡す。
二、引渡しに際しては、行政記録、地籍簿、租税記録、公共施設台帳、港湾及び鉄道の運営記録その他統治に必要な文書を引き渡すものとする。
三、英国及びフランスは、引渡し対象地域における公務員、警察官その他の行政要員の処遇及び移管について、大日本帝国と協議する。
【オーストラリアに関する特別規定】
一、英国は、本条約に基づき、オーストラリア大陸及び別表に定める付属島嶼に対する一切の主権上の請求権を放棄し、大日本帝国への主権移転を承認する。
二、オーストラリアの領域に関する行政権及び統治権の移転は、別表に定める期日に行われる。
三、英国は、オーストラリアにおける行政機能の崩壊、政府機関の消失その他の事情を理由として、前二項に定める主権移転の効力を争わない。
四、英国は、オーストラリアに残留する住民について、本条約及び附属議定書第二号に従って受入れ及び移住を実施する。
五、前項の移住の完了は、オーストラリアの主権移転の条件とはならない。
六、オーストラリアの引渡しに関する実施上の事項は、大日本帝国及び英国が別途締結する実施取極により定める。
【その他の地域に関する特別規定】
一、アジア及び太平洋地域における領土移転は、附属議定書第一号及び本議定書別表に従って実施する。
二、附属議定書第四号に定める経済的権益の対象地域については、本議定書に基づく領土引渡しの対象とはしない。ただし、別途明示的に定める場合はこの限りでない。
三、本条約により移転されない英国又はフランスの領土については、本議定書による主権移転又は行政権移転を生じない。
【撤退義務】
一、英国及びフランスは、本条約により大日本帝国に移転される領土並びに本条約に基づき軍事的権利を放棄する地域から、自国軍隊及びその指揮下にある軍隊を撤退させる。
二、前項の撤退には、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、補助部隊及び軍事目的に従事するその他の組織を含む。
【撤退計画】
一、英国及びフランスは、本議定書の効力発生後60日以内に、撤退計画を委員会に提出する。
二、撤退計画には、部隊の名称、兵員数、装備、輸送手段、撤退経路及び完了予定日を記載する。
三、大日本帝国は、撤退計画の実施状況について委員会を通じて確認する権利を有する。
四、英国及びフランスは、委員会による確認に必要な情報を提供する。
【撤退の完了】
一、撤退は、対象地域から該当する軍隊が撤収し、軍事施設及び軍事的権利の処理が完了したときに完了したものとする。
二、撤退の完了は、委員会による確認書の発行をもって証明する。
三、撤退の未完了又は一部未履行が確認された場合、監視委員会は、その内容及び是正期限を記載した報告書を作成する。
【軍事的権利の放棄】
一、英国及びフランスは、本条約に基づき大日本帝国に移転される地域において有する軍事基地使用権、駐屯権、軍港使用権、航空基地使用権その他の軍事的権利を放棄する。
二、英国及びフランスは、前項の地域において、第三国を通じて前項の権利を維持又は再取得してはならない。
三、本条の規定は、本条約により大日本帝国に移転されない地域における通常の外交的及び商業的活動を禁止するものではない。
【軍事施設の引渡し】
一、英国及びフランスは、本条約に基づき大日本帝国に移転される地域に所在する指定軍事施設を、大日本帝国に引き渡す。
二、指定軍事施設には、軍港、飛行場、兵站基地、通信施設、造船施設、弾薬庫、燃料貯蔵施設その他別表に定める施設を含む。
三、施設の引渡しに際しては、施設の所在地、設備、状態、付属資産及び管理記録を記載した引渡目録を作成する。
四、施設の引渡しに伴う損傷、欠損又は設備の撤去については、委員会が確認し、必要な措置を勧告する。
【軍事物資及び設備】
一、引渡し対象地域に所在する兵器、弾薬、軍用車両、航空機、艦船、通信機器、燃料その他の軍事物資は、別表に従って処理する。
二、大日本帝国に引き渡す物資については、品目、数量、状態及び引渡場所を記載した目録を作成する。
三、大日本帝国への引渡し対象とされない物資は、英国又はフランスの責任において撤去又は処分する。
【軍事文書及び情報】
一、英国及びフランスは、大日本帝国に移転される地域の統治、施設管理及び公共安全に必要な軍事文書、地図、港湾記録、施設図面その他の資料を大日本帝国に引き渡す。
二、前項の資料には、地雷、機雷、爆発物その他の危険物の所在に関する記録を含む。
三、英国及びフランスは、引渡し対象地域に残存する危険物の所在について、保有する情報を可能な限り完全に提供する。
【履行報告】
一、英国及びフランスは、本議定書に基づく各履行事項について、監視委員会に定期報告書を提出する。
二、報告書には、履行済事項、未履行事項、履行遅延の理由及び今後の履行予定を記載する。
三、大日本帝国は、必要に応じて追加の報告又は説明を求めることができる。
【不履行及び是正措置】
一、英国又はフランスが本議定書に基づく義務を履行しない場合、監視委員会は当該国に対し、是正を求める通知を発することができる。
二、通知を受けた国は、通知に定める期限内に是正措置を講じ、その結果を委員会に報告する。
三、是正措置が講じられない場合、大日本帝国は、本条約及びその附属議定書に基づく権利を行使することができる。
三、本条の規定は、大日本帝国が本条約に基づき有するその他の権利を制限するものではない。
【他の附属議定書との関係】
一、本議定書は、本条約及びその附属議定書と一体をなす。
二、本議定書は、附属議定書第一号から第六号までに定める権利及び義務の実施手続を定めるものであり、これらの権利及び義務を変更するものではない。
【最終規定】
一、本議定書は、本条約の不可分の一部を構成する。
二、本議定書は、本条約の批准書が寄託された日に効力を生ずる。
植民地キャッチ&リリース
本来エリート公務員の頭数と時間をフル活用して作るような文書を場末のアマチュア人間が真似するのは無謀と理解した。




