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その少女・異世界でも非常識  作者: フラック
1章 勇者召喚の儀式
8/50

7話 ・・・の女性

 



 第7の塔の勇者である、マフは

体格の良い男性神官に担がれ

第4の塔に向かう

第7の塔から第4の塔まで

自身の足で歩くほど体力が回復していないためである。


 マフの横に付き添うのは

第4と第7の塔神官長

第4の塔の長い階段を上がり

儀式の間に踏み入れるマフ達だった。


 階段の途中からすでに聞こえてきた

少女の泣き声、そして叫び声

そして、儀式の間で泣き叫ぶ姿を見たマフは核心する。


 あの少女は【日本人】だと。


そして、たぶん同じ世界の出身だと塔神官長に告げ

すこし悲しげに

彼女の叫んでいる言葉を告げた・・・。


「母親と兄に、家族に助けを求めている

 そして、家に帰りたい

 家族の元に帰りたい・・・

 ただ、それだけを泣き叫んでいる」と・・・。


 神官達は少女の叫びが何なのかは

言葉が通じなくても分かっていたが

それを、理解できる言葉で聞くと

少女に対する哀れみが今まで以上に大きくなっていくのだった。


 マフも、グ!っと歯を噛み締める・・・。


(僕は・・・いつ死んでも不思議ではない病気だった

 だから、あの声(神天使)の召喚に応じた・・・

 そこに、生きる希望があったから

 だから・・この世界に来た・・・

 だけど、この子は

 たぶん・・無理やりだ

 幼い事をイイ事に

 訳も分からず連れて来られた

 この子の為に、僕ができる事があるだろうか

 無力で非力なこの僕に・・・。)


「あの子を見守っていていいですか?」と


 マフは、少女が泣き止んだ時に

言葉が解る人間が居た方が、少しでも心が休まるかと

申し出るが

帰ってきた言葉に絶句する


「先程も言いましたが、あの少女は・・・

 すでに8日間もあの状況でございます

 一切の疲れ見せないまま

 泣き叫んだままでございます・・・。」


 いや、マフの頭にも有ったのだ

少女が8日も泣き叫んだままだと言うことは

ただ、だれが想像できるだろうか

今、泣き始めたと言っても信じれる少女の姿が

すでに200時間も続いているなんて

とくに、体力が人並み以下な、マフにとって

信じられない事実

常識では有り得ない真実だった。


 いつ泣き止むか解らない少女に付き合えるほどマフの体力は無い

これは少年自身が一番理解し

無理をすれば、周りの人間に迷惑が掛かる事も

一番理解しているのが、この少年なのだ


 マフは、大きな紙とペンを用意するようにお願いし

その紙に、大きな日本語の文字で


[ もし泣きやんだら、コレを読んで欲しい

 この国では言葉が通じないかもしれないけど

 僕は日本人で、この場所の近くにいます

 君が気が付けば、すぐに呼んでもらえるようお願いしています

 どうか、僕が行くまで待っていてください ]と書き綴り


少女からよく見えるだろう場所に置いてもらうことにした。


この日から、マフは体力と時間が許す限り

少女の近くに居ることにした。




 そんな状況が3日ほど続いた日




とうとう最後の勇者

第1の塔の勇者召喚が成功の兆しが見えてきた。


 待ちに待った勇者召喚

召喚魔法陣が光を増す中

第1の塔神官長は、その背に冷たい汗を流す。


 現在6人の勇者が存在する中

本当に【勇者】と呼べるのは【キュロス】のみ

そして、残りの5の内、2人?は人間では無かった

のこった人間である3人の勇者も

【会話すらままならない青年】

【泣き叫ぶ少女】

【病気で出歩く事もできない少年】と

1人として、勇者と呼べる存在ではなかったのだ


 大神殿の大神官達の期待が

第1の塔に重く伸し掛る

そんなプレッシャーの中

第1の塔の勇者が召喚された。


 魔法陣の中心に立つ1人の女性

美しいまでの容姿

薄緑色の長い髪の毛

瞳は輝くエメラルドグリーン

そして、横に伸びた長い耳


そう、エルフの女性であった。


 エルフの女性は、魔法陣の光が薄くなってきた事で

ゆっくりと周りを見渡しいく

塔神官長は、覚悟を決める


(エルフ・・・まぁ亜人ではあるが

 人族より魔力と知識あると言われる存在だ

 魔法は人族より多少強いが

 肉体面では、大いに劣る

 頭でっかちな、バランスの悪い種族

 全てをバランスよく兼ね備えた人族から見れば

 落ちこぼれ種族・・・ではあるが

 問題は、種族ではない

 アレが言葉が通じ

 人族の為に勇者として戦うかどうか・・・)


「勇者様、よくぞ、おいでになられました

 私はこの塔【スプンタ・マンユ】様を称える

 【聖霊】が塔の塔神官長を努めます【カスティーラ】と申します。

 もしよければ、勇者様のお名前を聞かせていただけないでしょうか」


 エルフの女性は

カスティーラに視線を向けると

すこし考えた後

「私の名前は【D (ディー)】

 【7人の勇者の・・。】

 まぁ、その事も

 唯一神や神天使の事も理解してるわ

 まずは皇帝にあわしてもらえるかしら?」と


「申し訳ございませんが

 皇帝様は此度の聖戦の為、各国を回っておられ

 数日は戻ってこられません。」


「どういいことかしら?

 仮にも、この私を召喚しておいて

 この場にいないとか?」


「も・・・申し訳ありません

 勇者召喚の儀式は時間が掛かるものでして

 かくいう勇者D様の召喚成功も

 儀式開始から14日も時間が経ち

 忙しい皇帝様も、待ち続ける訳もいかず

 早急に連絡は致しますが

 皇帝様とも御拝見には

 もう数日頂く事になると思われます。」


 大きく頭を下げる塔神官長に

悪びれる訳もなく


「っそ。

 まあいいわ

 確か召喚された勇者の中で

 私が最後だったはずよね?」


「はい、そのとおりでございます。」


 Dはある場所に視線を向けた

その方にあるのは、第2の塔であり


「なら

 第2の塔の勇者【ドラゴニーズ】は

 やはり・・・アレの用ね

 とりあえず、挨拶にでも行ってみようかしら

 案内を頼みます

 たしか・・・・」

 

「第1の塔

 塔神官長の、カスティーラと申します。」


「言いにくいわね・・・

 【カス】でいいわね。」


「はい、どのようにも」


再び大きく頭を下げる、カスティーラであった。


 だが

いくつもの違和感に襲われるカスティーラ

ある程度の情報は、召喚のさい

神天使から勇者に伝えられる事は

キュロスからの言葉で、知り得ている情報ではあった。


だがDと名乗る女エルフの発言は違和感だらけでもあった


その中でも、第2の塔に召喚された存在の名前は

まだ誰も知らなかった

同じ世界の出身でもある第3の塔の巨神の女勇者クラリスは

第2の塔の勇者の事を口にしたがらないのだ

その為、誰も知るはずのない

彼の名前を口にした女エルフに

カスティーラは、何かしらの畏怖を感じ


自分の後ろを歩いているのが


覗いてはいけないパンドラの箱だと


その魂が叫びをあげ


背中に冷たい雫が流れ落ちるのだった。



 

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